瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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淮南子 天文訓 第三 より
 帝張四維、運之以斗、月徙一辰、複反其所。正月指寅、十二月指醜、一歲而匝、終而複始。指寅、則萬物螾螾也、律受太蔟。太蔟者、蔟而未出也。指卯、卯則茂茂然、律受夾鍾。夾鍾者、種始莢也。指辰、辰則振之也、律受姑洗。姑洗者、陳去而新來也。指巳、巳則生已定也、律受仲呂。仲呂者、中充大也。指午、午者、忤也、律受蕤賓。蕤賓者、安而服也。指未、未、昧也、律受林鍾。林鍾者、引而止也。指申、申者、呻之也、律受夷則。夷則者、易其則也、德以去矣。指酉、酉者、飽也、律受南呂。南呂者、任包大也。指戌、戌者、滅也、律受無射。無射、入無厭也。指亥、亥者、閡也、律受應鍾。應鍾者、應其鍾也。指子、子者、茲也、律受黃鍾。黃鍾者、鍾巳黃也。指醜、醜者、紐也、律受大呂。大呂者、旅旅而去也。其加卯酉、則陰陽分、日夜平矣。故曰規生矩殺、衡長權藏、繩居中央、為四時根。
(訳)
 天帝は、四維(四方の隅)を大きく拡げ、そこを北斗をたよって運(めぐ)らせる。月ごとに〔十二辰の〕一辰ずつを移動し、循環してもとの位置に返らせる。正月には〔斗杓は昏(日没時)に〕寅(いん)を指し、〔めぐって〕十二月には、丑を指す。〔かくて〕一年かかって一帀(いっそう、一周)する。一終(ひとめぐり)すると始めに復する。
 寅を指(おざ)すのは、寅(いん)は万物が〔生まれおちて〕動く〔螾(いん)〕さまであるから。〔その月の〕音律では、大蔟(たいそう)を受け持つ。大蔟とは、〔万物が〕群生〔族〕していてまだ現われないことである。
 卯を指すのは、卯(ぼう)は〔万物が〕生い茂る〔茂〕さまであるから。音律では夾鍾(きょうしょう)を受け持つ。夾鍾とは、種子が萌え(莢)始めることである。
 辰を指すのは、辰(しん)は〔万物を〕振るいたたたせる〔辰〕さまであるから。音律では姑洗(こせん)を受け持つ。姑洗とは、陳(ふる)いもの(故)が遠ざかって〔洗われた〕新しいもの〔洗〕がきたることである。
 巳を指すのは、巳(し)は〔万物〕の生育がすでに固定した〔巳〕さまであるから。音律では仲呂(ちゅうろ)を受け持つ。仲呂とは、中味〔中〕が充実して大きく〔呂〕なることである。
 午を指すのは、午(ご)は〔陰気と陽気が〕あい交わる〔牾〕さまであるから。音律では蕤賓(ずいひん)を受け持つ。蕤賓とは、安らかな気持ち〔綏〕でつき従う〔賓〕ひとである。
 未を指すのは、未(び)は〔万物〕が味わいゆたかな〔味〕さまであるから、音律では林鍾(りんしょう)を受け持つ。林鍾とは、引きしめて〔綝〕止めることである。
 申を指すのは、申(しん)は〔万物が陰気に傷められて〕うめく〔呻〕さまであるから。音律では、夷則を受け持つ。夷則とは、〔万物は陰気に〕法(おきて)〔則〕を傷(やぶ)られる〔夷〕ことである。徳恵〔の気は〕すでにとおざかったのである。
 酉を指すのは、酉(ゆう)は〔万物が〕飽き足りた〔就〕さまであるから。音律では南呂(なんろ)を受け持つ。南呂とは〔万物を〕助け保つ〔任〕のことの大きい〔邑〕であるから。
 戌を指すのは、戌(じゅつ)は〔万物が〕尽き果てる〔減〕さまであるから。音律では無射(ぶえき)を受け持つ。無射とは〔万物が地下に〕入蔵して厭う〔斁(えき)〕ことのない〔無〕ことである。
 亥を指すのは、亥(がい)は〔万物が〕もとを閉ざす〔閡(がい)〕さまであるから。音律では、応鍾(おうしょう)を受け持つ。応鍾とは、〔陽気が〕収(あつ)まる(鍾)ときに〔万物の〕対応する〔応〕さまであるから。
 子を指すのは、子(し)は〔万物が地下で〕はぐくむ〔孳(し)〕さまであるから。音律では、黄鍾(こうしょう)を受け持つ。黄鍾とは、〔陽気が、地中の〕黄泉に〔黄〕にあつまる〔鍾〕ことである。
 丑を指すのは、丑(ちゅう)は〔万物が芽吹いて〕まだ結ぼれている〔紐〕さまであるから。音律では大呂(たいりょ)を受け持つ。大呂とは、〔陰気が〕一斉に伴(つれ)だってとおざかることである。
 〔以上のうち〕卯と酉とに当たるときは、陰気と陽気とが均分され、昼と夜とが〔等しい長さに〕平分されるのである。
 さても、規〔コンパス〕は生み育てるもので、矩〔く、ものさし〕はそぎ落とすもの、衡〔竿秤〕はものを成らすもので、権〔秤のおもり〕は蔵(た)めこむもの。縄〔すみなわ〕は中央の位を占めて、四時〔しじ、四季〕の根本である。
f8c12634.JPG
05e0b2a9.JPG *音律〔十二律〕とは、中国の伝統音楽で用いられる12種類の標準的な高さの音。1オクターブ間に平均律でない半音の間隔で配された12の音である。律とは本来、音を定める竹の管であり、その長さの違いによって12の音の高さを定めた。周代において確立した。律を低いものから高いものへと並べ、西洋音楽の音名と対照すると図のようになる(規準音である黄鐘をCとした場合。時代によって違い、あくまでも目安である)。
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