シュンギク(春菊、Glebionis coronaria)は、キク科シュンギク属に分類される植物です。原産地は地中海沿岸です。春に花を咲かせ、葉の形がキク(菊)に似ていることから春菊と呼ばれています。葉に切れ込みの少ない大葉(おおば)が四国・九州で(また「おたふく」・「ろーま」とも呼ばれる)、切れ込みのある中葉(ちゅうば)がそれ以東でそれぞれ栽培されています。中葉はさらに、株立ち型と株張り型とに分かれます。香りと葉や花の形から、関西では菊菜(きくな)とも呼ばれます。稀に新菊(しんぎく)と表記されることもあります。
春菊の原産地はトルコやギリシャなどの地中海沿岸といわれています。ただ欧米では観賞用として用いられ、野菜として最初に利用したのは中国だそうです。現在でも食用としているのは日本や中国、東南アジアなど一部の地域だけのようです。
日本に渡来した時期は定かではありませんが、文献で春菊が登場するのは、15世紀後半の「尺素往来(せきそおうらい)」です。これには菫菜(スミレ)、躑躅(ツツジ)、春蘭(シュンラン)、杜若(カキツバタ)などとともに春菊が登場しますが、これは「野春菊」の深山嫁菜(ミヤマヨメナ)ではないかと指摘されています。別の文献では、「お湯殿の上の日記(1563年)」に春菊の別名である「高麗菊」(こうらいきく)と「しゆんきく」の2つの名前が記されています。どちらか一方(または両方)は春菊ではないかと考えられています。
いずれにしても春菊は室町時代までには伝わっていたとされ、江戸時代の農書「農業全書」や「菜譜」には栽培方法が記載されています。
春菊の種類
春菊の生産地としては、千葉と大阪が年間収穫量の1位と2位を競っています。作付け品種は、千葉・茨城・群馬などの関東エリアと、大阪・福岡の西日本エリアに大別できるでしょう。前者は株が立ち、葉が中位の大きさで切れ込みが多い「株立ち中葉」がメインです。後者は大阪が「中葉春菊」、福岡が「大葉春菊」と、共に茎が立たずに葉のみを食す春菊の特産地となっています。
福岡の「大葉春菊」は北九州市周辺に畑が多く、お隣の山口県下関市との関係性も大きいようだ。下関は有名なフグの産地。アクが少なく、さっと湯にくぐらせれば美味しくいただける大葉春菊は、フグちりには欠かせない食材とされてきました。
いずれの品種も通年出回るが、鍋物の出番が多くなる10月以降~3月頃までの冬場が旬です。冬季の代表的な緑黄色野菜として、鍋物やおひたしにと、日々の食卓で活躍します。
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