瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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老子偃武第三十一の言葉に「兵者不祥之器(兵は不祥の器なり)」というのがあります。不祥の器とは「不吉な道具」と言う意味です。軍事力は必要であるが、あくまでもそれは「不祥の器」、つまり必要悪で有って無闇にこれを使うことを戒めています。「悪だから即刻廃止」と声高に叫ばず必要悪と認めてその運用に釘を刺す老子の論は、現実を目にした結果なのでしょう。

 不祥には 1.不吉であること 2.運の悪いこと と言う意味がありますが、「不祥事」となると「好ましくない事、不行き届きな事」と言う意味にもなります。

 

人有三不祥:幼而不肯事長,賤而不肯事貴,不肖而不肯事賢,是人之三不祥也。人有三必窮:為上則不能愛下,為下則好非其上,是人之一必窮也;則不若,則謾之,是人之二必窮也;知行淺薄,曲直有以相縣矣,然而仁人不能推,知士不能明,是人之三必窮也。人有此三數行者,以為上則必危,為下則必滅。 荀子 悲相篇第五より

 

 人に三不祥有り。幼にして長に事ふるを肯んぜず、賤にして貴に事ふるを肯んぜず、不肖にして賢に事ふるを肯んぜざるは、是れ人の三不祥なり。人に三必窮有り。上と爲りては則ち下を愛すること能はず、下と爲りては則ち好んで其の上を非るは、是れ人の一必窮なり。郷えば則ち若はず、背けば則ち之を謾るは、是れ人のニ必窮なり。智行淺薄にして、曲直有た以に相縣す、然り而して仁人に推すこと能はず、知士を明すること能はざるは、是れ人の三必窮なり。人にして此の數行有るは、以て上と爲りては則ち必ず危く、下と爲りては則ち必ず滅ばん。

 

 人には三つの不届きな行為がある。幼少なのに年長者につかえることを喜ばず、卑賤なのに高貴につかえることを喜ばず、愚かなのに賢者につかえることを喜ばない。これが人として三つの不届きな行為である。また、人には三つの必ず困窮する行為がある。上位におりながら下の者を愛することができず、下位におりながら好んで上のものを非難するのは、人として必窮する第一である。面と向かっては従順でなく、裏に廻ると悪口をいうのは、人の必窮する第二である。知慮行動が浅薄で能力も人とかけ離れて劣るのに、仁人を推奨し、知者を尊ぶことができないのは人の必窮する第三である。

 これらの行為のあるものは人の上に立てば必ず危険であり、人の下におれば必ず身を滅ぼすであろう。
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