瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 孟子は、小国である滕国の文公に招聘されることとなります。孟子が滕国の文公から仁政と税法について聞かれて、仁政の具体的なやり方を「古代の税制」を引いて答えました〔孟子 滕文公章句〕上〕。孟子は、井田で農作業をする8家族の百姓は、お互いに助け合う緊密な農業共同体となり、国家の生産力と防衛力の基盤となると考えました。この井田制は農本主義的なユートピアニズムなのでありますが、漢代の「限田制」やその後の「均田制」などに影響を与えました。井田制は、相互扶助的な共同体の建設につながるものであり、全ての百姓が平等な収穫を得るという社会主義思想(原始共産制)としての側面を色濃く持っています。

 

孟子曰、有布縷之征、粟米之征、力役之征、君子用其一、緩其二、用其二而民有殍、用其三而父子離。 孟子 盡心章句下より

 

 孟子曰く、布縷の征、粟米の征、力役の征有り。君子其の一つを用いて、其の二つを緩(ゆる)くす。其の二つを用いて民殍(ひょう)有り。其の三つを用いて父子離る、と。

 

 孟子は言う。

「税の取り方には、布や糸を出させるもの、穀物を出させるもの、労力を提供させるものの三種がある。よい政治家はその一つを用いたら、他の二つは緩めるものだ。その二つを併せ持ちいたなら、人民には飢えるものが出てくる。その三つを併せもちいたなら、父と子が離散することになるだろう」

 

※ 布や糸の貢納とは、後世の律令制度の調(ちょう)に当たります。同様に穀物の貢納は租(そ)に当たり、賦役は庸(よう)に当たります。朱子の注釈によれば、以上の課税はそれぞれ夏・秋・冬の季節に行なわれるべきものであるといいます。本章は、それを一辺(いっぺん)に行なえば人民は生活の維持ができずに疲弊するのだと主張しているとされています。

 

 孟子曰、諸侯之寶三、土地・人民・政事、寶珠玉者殃必及身。 孟子 盡心章句下より

 

 孟子曰く、諸侯の寶三つ。土地・人民・政事。珠玉を寶とする者、殃[わざわい]必ず身に及ぶ、と。

 

 孟子はいう。

「諸侯の宝三つある。土地・仁民・政治がそれである。実物の宝玉をたからとする者には、逃れがたい不幸が必ずその身におよぶであろう」

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