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 デパートのすし店の前に立つと、色々な商品名の中に「バッテラ」というのがあります。御存じのとおり鯖の押しずしのことです。考えてみるとバッテラという名は少し異様です。すしがヨーロッパの言葉と関係があるのはおかしいのですが、片仮名で書かれているところと言い、語感といいどうも元はヨーロッパ系の言葉ように思われます。

 パソコンの語源由来辞典で調べてみると「バッテラの語源は、ポルトガル語で小舟を意味する「bateira(バッテイラ)」。/明治26年(1893年)頃、大阪順慶町の鮨屋がコノシロの片身を鮨に乗せた形が、小舟に似ていたため「バッテラ」と名付けられた。/これが鯖寿司に応用され、次第に〆鯖の押し鮨を「バッテラ」というようになった。/江戸時代の文献にも「バッテラ」や「バッテイラ」の語は見られるが、「小舟」の意味以外では用いられていない。」とあります。

 江戸前のにぎり寿司に対して、大阪は押し寿司。バッテラはその代表的な大阪寿司です。明治24年創業、バッテラ発祥のお店『寿司常』の三代目店主がのれんを下ろして(閉店して)から約30年経った同じ場所で、今年(2016年)7月11日に現在の四代目が、再びのれんを揚げることになったそうです。その店内に書道の先生に書いてもらった「バッテラの由来」があるそうです。

 明治時代中期、大阪湾ではコノシロ(コハダ)が豊漁となり、コノシロを使って、お店の創業者・中恒吉さんが、明治24年に大阪湾で大量に捕れた『コノシロ』を使って考案した寿司が『バッテラ』の始まりといわれています。幕末から明治にかけて大阪では小舟のことをポルトガル語『バッテイラ(bateira)』と呼んでいたそうです。コノシロを開いて酢でしめ、酢飯にのせて作った寿司は、中央が太くて尾が上がり、形が小舟に似ていたことから『バッテラ』の名がつきました。コノシロは漁獲量が一定ではなく後に価格が高騰したため、より安価な鯖が代わりに使われるようになったのです。
 とにかく「鯖の押しずし」を船の形をした木枠に入れて作り、これを「バッテラずし」といって売り出したのです。だから本来から言えば、鯛であろうが、海老であろうが、鯖以外の材料を使っても舟形でありさえすれば立派に「バッテラずし」のはずですが、いつの間にか肝心の「舟」という意味が忘れられて、ただバッテラは「鯖の押しずし」と受け取られてしまうようになったのです。


 


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