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5.ヘーラー

神話ではクロノスとレアーの娘で、ゼウスの姉に当たります。ティーターノマキアーの間オーケアノスとテーテュースがヘーラーを預かって、世界の果てで養育したといいます。もっとも養育したのは他の神であるとの伝承もあります。ヘーシオドスによればヘーラーはゼウスが三番目に兄弟姉妹婚した正妻であるといいます。その婚礼の場には諸伝があります。ヘーラーとゼウスの婚礼は「聖なる婚姻」としてギリシア各地で行われました。ゼウスとの間に、アレース、エイレイテュイア、ヘーベーをもうけました。ヘーパイストスはヘーラーの子でありますが、ゼウスとの間の子か、ヘーラーが一人でもうけた子かについては異伝があります。

オリュンポス十二神の一柱である。オリュンポス十二神の中でも情報収集能力に優れた描写が多く、夫ゼウスの浮気を迅速に察知するなど高い監視能力を発揮します。ギリシア神話に登場する男神は総じて女性にだらしがなく、夫であるゼウスはその代表格であります。そのため、結婚の守護神でもあるヘーラーは、嫉妬心が深く、彼の愛人(セメレー、レートー、イーノー、カリストーとヘーラーに仕える巫女・イーオーなど)やその間に生まれた子供(ディオニューソス、ヘーラクレースなど)に復讐する残酷な女神として描かれています。頭に血が上ると自分の子孫にも容赦の無い一面も持ち、ゼウスの愛人になった曾孫セメレーに人間が直視すると致命的な危険があるゼウスの真の姿を見たがるように仕向けたり、ヘーラクレースに惚れ込んで黄金の帯を譲る約束をした孫のヒッポリュテーの部下を煽動してヘーラクレース一行を襲わせ、最終的には潔白を示すため無抵抗のまま弁明を試みるヒッポリュテーをヘーラクレースに殺させたり、と自分の手を汚さずに両人に悲惨な最期を遂げさせています。しかし、ヘーラー自身は貞淑であるとされています。

最も特殊な異伝は『ホメーロス風讃歌』の中の「アポローン讃歌」でしょう。ゼウスが女神アテーナーをひとりで生み出したことや、彼女の産んだヘーパイストスがアテーナーに見劣りすることに腹を立てて、ティーターン神族の助けを借りて単性でテューポーンを産んだとされています。

ヘーラーの母乳は飲んだ人間の肉体を強化し不死身にする力があり、ヘーラクレースもこれを飲んだため乳児時代から驚異的な怪力を発揮することが出来たといいます。また、この時へーラクレースの母乳を吸う力があまりにも強かった為、へーラーはヘーラクレースを突き飛ばし、その際に飛び散ったへーラーの母乳が天の川になったともつたえられています。なお、ヘーラクレースは、ヘーラーの子ではありませんか「ヘーラーの栄光」と言う意味の名を持つといわれています。

トロイア戦争ではアテーナーと組んでギリシア側に味方します。ギリシア側の英雄を助けて戦い、アテーナーと力を合わせ、敵対したアプロディーテーの情人で、自らの息子の戦を司る神・アレースを撃退します。また、意外と腕っぷしも強く、トロイアを支援したアルテミスを素手で打ちのめす逸話もあります。

毎年春になるとナウプリアのカナートスの泉で沐浴し、処女性を取り戻すともいわれています。

 

6.テミス

 ギリシア神話においては、ティーターンとオリュンポス神の戦いの後、敗れたティーターンは主要な神の地位を失い、神話においても多くの神が言及されなくなり、また地位が低下しています。オリュンポスの時代になって、なおその地位と威勢を変わりなく維持した神はテミスだけであります。

 ヘーシオドスの『神統記』によると、ゼウスは二番目の妻としてテミスを娶り、二人のあいだには、エウノミアー(秩序)、ディケー(正義)、エイレーネー(平和)のホーライの三女神が生まれ、更に、クロートー、ラケシス、アトロポスのモイライの三女神が生まれたといいます。

ヘーラクレースの第11番目の課題は、ヘスペリデースの黄金の林檎を獲得することでありました。Apollodoros(アポロドーロス、『Bibliotheca(ビブリオテーケー、ギリシャ神話)』の編纂者として知られる。1世紀から2世紀頃の人物)によると、ヘスペリデースの園を知る海神ネーレウスの居場所をヘーラクレースに教えたニュンペーたちは、ゼウスとテミスの間の娘であったといいます。またAischylos(アイスキュロス,BC525456年、古代アテナイの三大悲劇詩人のひとりであり、アッティカ悲劇の確立者)によれば、プロメーテウスはテミスの子であるといいます。

 ゼウスは「青銅の時代」の人間たちが暴乱の様をつのらせたのを知り、大洪水を起こして彼らを滅ぼす計画を立てます。こうしてほとんどすべての人間は滅ぼされますが、プロメーテウスの息子デウカリオーンとその妻ピュラーは、大洪水の起こることをあらかじめに父より教えられていましたので、箱船を造り洪水の難を逃れました。人間が滅び、一組の正しい男女だけが生き延びたことを知ったゼウスは、大洪水を終焉させます。二人が乗った箱船は、九日九夜、水の上を彷徨った後、パルナッソスの二つの高峰近くに止まりました。天候の回復を知ったデウカリオーンは船より降り、ゼウスに犠牲を献げ、デルポイに託宣所を持っていたテミス女神にも感謝の祈りを捧げました。二人は人間がすべて滅び消えたことを知り、テミス女神に祈って、人間の種族を再び回復させる方法を尋ねました。テミスは二人の問いに答え、「爾らの大いなる母の骨を歩を進めつつ背後に投げよ」と教えるのです。二人は、地上の岩の塊(大いなる母の骨)を歩みつつ背後に投げるとそこから新しい人間の種族が生まれ出たといいます。
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