1.メーティス
オーケアノスとテーテュースの娘オーケアニデスの1人であり、ティーターン神族に数えられています。ゼウスの最初の妻であり、アテーナーの母であるとされています。
ティーターン神族の末弟クロノスは母ガイアの命を受けて父であるウーラノスを倒し、神々の王となりました。しかし、その際にウーラノスによって自身も同様に子に倒されるという予言を受け、子が生まれるたびにそれを飲み込んでしまいました。クロノスの妻レアーはそれを悲しみ、ガイアに相談して闇夜の外で末子ゼウスを産み、石をゼウスと偽って持ち帰り、それをクロノスに飲み込ませたためにゼウスは助かります。ゼウスはクレタ島で育てられ、成人すると母レアーと知恵の女神メーティスと共に、食べられた兄姉たちの仇を打つことにしました。ゼウスはメーティスに命じ、メーティスは自分の作った嘔吐薬をネクタル(神酒)に混ぜてクロノスに飲ますことに成功しました。クロノスはまずゼウスと偽られて飲み込んだ石を吐き出し、続いてポセイドーン、ハーデース、ヘーラー、デーメーテール、ヘスティアと、飲み込んだ際とは逆の順で彼らを吐き出したのです。ただし、一説によればメーティスは関与しておらず、ゼウス自身がクロノスの背中をたたき吐き出させたといわれています。
そして、ゼウスは吐き出された兄姉たちと力を合わせ、クロノスを始めとするティーターンとの戦いティーターノマキアーに勝利しました。この戦いにはティーターン神族の長兄であるメーティスの父オーケアノスは参加しなかったといいます。
その後、神々の王となったゼウスはメーティスを妻として迎え入れました。一説によればメーティスはゼウスの妻ではなく、ゼウスから逃げ回った末に子を身ごもったとされています。このことを知ったガイアとウーラノスは、メーティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、もし男児であったらゼウスの地位を脅かすであろうと予言するのでした。そのため、ゼウスは祖父ウーラノスや父クロノスのように子に権力を奪われることを恐れ、用心のために父クロノスのようにメーティスを飲み込んでしまいます。一説では飲み込まれる際にメーティスは様々な姿に化けて逃れたものの、蠅に変身したところを飲み込まれてしまったともいわれています。このことでメーティスとゼウスは同化し、ゼウスは知恵の神としても信仰されるようになったのだといわれています。
しかし時はすでに遅く、メーティスはすでに懐妊しており、胎児はゼウスの頭部へ移って生きていたといわれます。さらにメーティスは胎児のために甲冑を作り、その行為がゼウスに激しい頭痛をもたらしました。やがて子が生まれる月になると、ゼウスは痛みに耐えかね、リビアのトリートーニス湖のほとりでプロメーテウスやヘーパイストス、ヘルメースなどに相談し、ヘパイストスに斧で頭を叩き割るように命じました。すると、中からすでに成人し、甲冑で完全に武装した女神が飛び出したのです。これがアテーナーであったのです。
この後、メーティスはゼウスの体内で善悪を予言するようになったといいます。
2.ディオーネ
ディオーネーは、ウーラノスとガイアの娘で、ティーターンの一柱です。一説によるとティーターンは14人おり、ディオーネーはポルキュースとともにティーターンに加えられています。しかしオーケアノスの娘とも、ネーレウスの娘ともいわれ、ゼウスとの間にアプロディーテーをもうけたとされます。
神話によるとディオーネーはレアー、テミス、アムピトリーテーとともにレートーのアポローン出産に立ち会ったといわれます。またトロイア戦争で娘のアプロディーテーがディオメーデースに傷つけられたとき、ディオーネーはアプロディーテーをなぐさめ、アレースがアローアダイに苦しめられた話や、ヘーラーやハーデースがヘーラクレースに傷つけられた話を語ったといいます。
エーペイロスのドードーナの神託所では、ディオーネーはゼウスとともに祭祀され、ディオーネーの女祭司たちとゼウスの祭司たちが神託を司った。ここにはゼウスに捧げられた1本の樫があり、ディオーネーの女祭司は樫の葉が揺れるのを見て神託を下したとされています。ちなみにドードーナの神託の記述は『オデュッセイア』に見られます。またドードーナの発掘によって人々がディオーネーとゼウスへの質問を鉛片に刻んで神託を伺ったことも判明しています。
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