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Zeus(ゼウス)に焼き殺されたセメレー

Semelē(セメレー)はThēbai(テーバイ、現在の中央ギリシャ地方Voiotía〈ヴィオティア〉県の県都Thiva〈ティーヴァ〉)の王Kadmos(カドモス)とその妻Harmonia(ハルモニアー)の娘で、Autonoē(アウトノエー)、Agauē(アガウエー)、Īnō(イーノー)、Polydōros(ポリュドーロス)、Illyrios(イリュリオスと)兄弟です。Zeus(ゼウス)の子Dionȳsos(ディオニューソス)の母となります。セメレーの名は「月」をあら わし、Artemis(アルテミス)やSelēnē(セレーネー)と関係があります。また、元はPhrygia(プリュギア、現在のトルコ中西部)やTrakya(トラーキア、バルカン半島東部)で信仰されたZemele(ゼメロ)という大地の女神が起源であるという説もあります

 ゼウスは密かに人間の姿をとってセメレーと交わり、セメレーは身重となります。このことを聞きつけたヘーラーは、嫉妬心を燃やします。ヘーラーはセメレーのかつての乳母であった老婆に身をやつし、セメレーに近づいてこう唆したのです。「あなたの交際相手は、本当は恐ろしい化け物かもしれない。怪しいと思ったら、本当の身分を明かすように言いなさい」。セメレーはこの忠告に従い、ゼウスに「愛の証(あかし)に私の願いを一つ聞いて欲しい」と持ちかけるのです。ゼウスが「Styx(ステュクス)川に誓って必ず叶える」と約束しますと、セメレーはゼウスに真の姿を見せるよう迫ったのです。雷火をまとった神の本性を現せば、生身の人間の体では耐えきれず、たちどころに焼け死んでしまいます。ゼウスは約束したことを後悔しましたが、ステュクス川にかけた誓いは神といえど背けない絶対的なものであったのです。ゼウスは変身を解いたのですが、セメレーはまばゆい灼熱の閃光に焼かれて絶命してしまいます。(あるいは、正体を明かすように迫ったが、ゼウスがこれを聞き入れないので、セメレーは本当の姿を示さない限り寝室に入ることを許さないようにし、ついに怒ったゼウスが雷光に包まれた真の姿を現し、セメレーは雷光に当たって焼け死んでしまった、とする話もあります。)

 

セメレーの胎児はHermēs(ヘルメース)が取り上げ、ゼウスの大腿のなかに縫い込みました。この時胎児は6ヶ月であり、さらに3ヵ月後に誕生したのがDionȳsos(ディオニューソス)でした。ディオニューソスは、このために「二度生まれた者」「二つの門の子」などと呼ばれています。

古代ギリシアの地にディオニューソスの信仰が確立され、神の座を占めるようになったとき、彼はLerne(レルネー)の底なし沼を通ってTartaros(タルタロス、奈落)に下ったといいます。ディオニューソスは、ギンバイカの木をPersephonē(ペルセポネー)に贈り、これと引き替えに母親のセメレーを連れ戻します。ディオニューソスから神性を分け与えられたセメレーは女神となったのです。セメレーはTroezen(トロイゼーン、ペロポネソス半島北東部)のArtemis(アルテミス)の神殿に入り、そこから天に昇ったといいます。ディオニューソスは、他の死者たちがセメレーを嫉妬したり、憤慨したりしないように、母の名前を改め、Thyone(テュオーネー)として神々に紹介したといいます。
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目高 拙痴无
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1932/02/04
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