大相撲9月場所の記事収録のため、お休みしていた七不思議の記事を続けます。
静岡県の遠州地方に伝わる七つの不思議な物語のことです。七不思議の組み合わせには諸説あり、合わせると7つ以上存在します。
①夜泣き石(掛川市佐夜鹿、小夜の中山)
静岡県(旧遠江国)掛川市佐夜鹿の小夜の中山峠にある石です。夜になると泣くという伝説があり、遠州七不思議のひとつに数えられています。
小夜の中山峠は、旧東海道の金谷宿と日坂宿の間にあり、急峻な坂のつづく難所です。曲亭馬琴の『石言遺響(せきごんいきょう)』(文化2年)(1805年)によれば、その昔、お石という身重の女が小夜の中山に住んでいました。ある日お石がふもとの菊川の里(現・静岡県菊川市菊川)で仕事をして帰る途中、中山の丸石の松の根元で陣痛に見舞われ苦しんでいました。そこを通りがかった轟業右衛門という男がしばらく介抱していたのですが、お石が金を持っていることを知ると斬り殺して金を奪い逃げ去りました。
その時お石の傷口から子供が生まれました。そばにあった丸石にお石の霊が乗り移って夜毎に泣いたため、里の者はその石を『夜泣き石』と呼んでおそれました。生まれた子は夜泣き石のおかげで近くにある久延寺の和尚に発見され、音八と名付けられて飴で育てられました。音八は成長すると、大和の国の刀研師の弟子となり、すぐに評判の刀研師となりました。
そんなある日、音八は客の持ってきた刀を見て「いい刀だが、刃こぼれしているのが実に残念だ」というと、客は「去る十数年前、小夜の中山の丸石の附近で妊婦を切り捨てた時に石にあたったのだ」と言ったため、音八はこの客が母の仇と知り、名乗りをあげて恨みをはらしたということでした。
その後、この話を聞き同情した弘法大師が、石に仏号をきざんでいったといいます。
なお、ほぼ同様な伝説は安永2年(1773年)刊行の随筆「煙霞綺談」(遠州の人・西村白鳥 著)にも記載されているといいます。
②桜ヶ池の大蛇(御前崎市佐倉)
平安末期の1169年6月13日、比叡山の皇円阿闍利が、56億7000万年後に現れるという弥勒菩薩に教えを乞うと言い残し、自ら桜ヶ池の底に沈んで竜神(大蛇)となったといわれます。以降、秋の彼岸の中日には赤飯を詰めたお櫃を池に沈めて竜神に供える奇祭「お櫃納め」が行われています。数日後には空になったお櫃が浮いてくると言われ、遠州七不思議のひとつになっています。
桜ヶ池に沈めたお櫃が、同じく竜神伝説の残る長野県の諏訪湖に浮いたことがあるとされ、諏訪湖と地底でつながっているという言い伝えがあります。これに関連して、静岡県浜松市の池の平では7年周期で池(幻の池)が湧くという不可思議な現象が起こりますが、これは桜ヶ池の竜神が諏訪湖に赴く際に休息するためであるという言い伝えがあります。
③池の平の幻の池(浜松市天竜区水窪町池の平)
静岡県浜松市の亀ノ甲山の中腹に突如現れる幻の池「池の平」。およそ7年周期で現れ、約20日間で水が引き、元のくぼ地に戻るそうです。
普段は沢や水たまりがない場所で、遠州七不思議の1つに数えられています。
④子生まれ石(牧之原市西萩間、大興寺)
大興寺には、遠州七不思議の一つである、「子生まれ石」の伝説があります。
大徹和尚は、自分の死後に、裏山の岩から、まゆ形の石が生まれるから、これを自分の身代わりとして大切にせよと言い残して息を引き取りますが、果たしてその通りになったといいます。人々はその石を和尚の墓石として、大事に扱ったそうです。
その後、住職の代が代わるごとに、裏山から新しい石が生まれるといわれています。
sechin@nethome.ne.jp です。
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