藻(も)を詠める歌15
巻13‐3266:春されば花咲ををり秋づけば丹のほにもみつ.......(長歌)
原文:春去者 花咲乎呼里 秋付者 丹之穂尓黄色 味酒乎 神名火山之 帶丹為留 明日香之河乃 速瀬尓 生玉藻之 打靡 情者因而 朝露之 消者可消 戀久毛 知久毛相 隠都麻鴨
万葉集 巻13‐3266
作者:不明
よみ:春されば 花咲ををり 秋づけば 丹のほにもみつ 味酒を 神奈備山の 帯にせる 明日香の川の 早き瀬に 生ふる玉藻の うち靡き 心は寄りて 朝露の 消なば消ぬべく 恋ひしくも しるくも逢へる 隠り妻かも
意訳:春がやってくると枝もたわわに花が咲き乱れ、秋になると鮮やかに黄葉する神奈備山。その神奈備山(かむなびやま)が帯にしている明日香川の早瀬に生える玉藻(水草)が揺れて靡くように、心が靡いて朝露のように消え入らんばかりになりながら恋した甲斐があって、やっと逢えたよ。私の隠し妻に。
◎神南備と神名火とは、意味するものが違います。神南備は神が宿る神聖な場所ですが、神名火は明日香の甘橿の丘を意味します。そうしたとき、明日香川が裾野を取り巻くように流れる雰囲気が出て来ます。すると、飛鳥浄御原宮に居る官女や官僚の子女に恋した歌と推定出来ますから、この歌は飛鳥浄御原宮から藤原宮時代の歌となります。
巻13‐3267:明日香川瀬々の玉藻のうち靡き心は妹に寄りにけるかも
巻13‐3336:鳥が音の聞こゆる海に高山を隔てになして.......(長歌)
原文:鳥音之 所聞海尓 高山麻 障所為而 奥藻麻 枕所為 <蛾>葉之 衣<谷>不服尓 不知魚取 海之濱邊尓 浦裳無 所宿有人者 母父尓 真名子尓可有六 若を之 妻香有異六 思布 言傳八跡 家問者 家乎母不告 名問跡 名谷母不告 哭兒如 言谷不語 思鞆 悲物者 世間有 <世間有>
万葉集 巻13‐3336
作者:不明
よみ:鳥が音の 聞こゆる海に 高山を 隔てになして 沖つ藻を 枕になし ひむし羽の 衣だに着ずに 鯨魚取り 海の浜辺に うらもなく 臥やせる人は 母父に 愛子にかあらむ 若草の 妻かありけむ 思ほしき 言伝てむやと 家問へば 家をも告らず 名を問へど 名だにも告らず 泣く子なす 言だにとはず 思へども 悲しきものは 世間にぞある 世間にぞある
訳:鳥の鳴き声が聞こえる海に、高山を隔て(背後にし)、沖に浮かぶ藻を枕にして、海の浜辺に無心に横たわっている人。その人は母や父にとっては愛しい子だろうに。また若草のような妻もあるだろうと思えるのに。何か言づけもあるだろうと思って、家を訊ねたが家の在処も名乗らない。名前を聞いてもそれさえ言わない。まるで泣きじゃくる子のように言葉を発しない。思えば悲しい世の中だねえ。世の中だねえ。
巻14-3397:常陸なる浪逆の海の玉藻こそ引けば絶えすれあどか絶えせむ
巻14-3562:荒礒やに生ふる玉藻のうち靡きひとりや寝らむ我を待ちかねて
ウェブニュースより
小林亜星さん死去88歳「この木なんの木」作曲家 「寺内貫太郎一家」主演 ―― 「北の宿から」などで知られる作曲家で、ドラマ「寺内貫太郎一家」の主演でも親しまれた小林亜星さんが5月30日、心不全のため亡くなっていたことが14日、分かった。88歳だった。すでに葬儀などは済ませており、「お別れの会」なども予定していないという。
所属事務所によると、5月30日の早朝、自宅で転倒した姿で見つかり、緊急搬送されたものの、心不全で帰らぬ人になったという。それまでは大病などもなく、自宅で妻と暮らしていた。
最後の仕事は、14年の「六花亭製菓」のCMソング「花咲く六花亭」。同曲をはじめ、「この木なんの木」でおなじみの日立製作所「日立の樹」などでタッグを組んだ作詞家伊藤アキラさんが先月22日に亡くなったことが明らかになった際には、伊藤さんについて「プライベートではお酒も呑まず、大変真面目な方でしたので、私のような飲兵衛とはほとんど接点はなかったのですが、仕事ではいつも彼の歌詞が回ってくると、スムーズにメロディをつけれるという、気が合うのか合わないのか、そんな不思議な関係でした」などとコメントも寄せていた。
https://www.youtube.com/watch?v=WYNC8JzV5j8
◆小林亜星(こばやし・あせい)1932年(昭7)8月11日、東京都生まれ。慶大卒。作曲家服部正氏に師事、音楽の道に。レナウン「ワンサカ娘’64」やブリヂストン「どこまでも行こう」などのCM曲や、「魔法使いサリーのうた」「ひみつのアッコちゃん」など人気アニメソングも多数。02年NHK連続テレビ小説「さくら」にも出演。 [日刊スポーツ 2021年6月14日16時26分]
sechin@nethome.ne.jp です。
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