ウェブニュースより
藤井聡太四段29連勝、歴代単独トップ ―― 6月26日(月)に行われた第30期竜王戦決勝トーナメント、増田康宏四段-藤井聡太四段戦は91手で藤井聡太四段が勝ちました。藤井聡太四段はこれでデビュー後負けなしの29連勝を達成し、歴代連勝記録の単独トップとなりました。関係者のコメントは下記の通りです。
◆羽生善治三冠
29連勝は歴史的な快挙です。結果も素晴らしいですが内容も伴っていいる点でも凄みがあります。この記録は時が経つにつれ重みを増して来るはずですし、将棋界の新しい時代の到来を象徴する出来事になりました。檜舞台で顔を合わせる日を楽しみにしています。
◆谷川浩司九段
新記録おめでとうございます。タイトル戦の本戦に勝ち進むようになり、トップ棋士との対局も増えてくると思います。10代半ばの一番強くなる時期に、トップ棋士と戦えるのは幸せな事。トップとの差は何なのか。実際に肌で感じることでまた、大きな可能性が開けてくるでしょう。
◆神谷広志八段
28という完全数は一番好きな数字ですのでそれが一位でなくなることは個人的に少々寂しいのですが凡人がほぼ運だけで作った記録を天才が実力で抜いたというのは将棋界にとってとてもいいことだと思います。藤井さんがこれからの数十年でどんな世界を見せてくれるのかファンの皆様とともに寿命の限り見続けていきたいです。
◆杉本昌隆七段
竜王戦本戦という大舞台で神谷八段の記録を抜く29連勝は驚愕です。師匠の私も至福の時間をもらいました。28連勝を達成した帰り道、いつもと同じようにずっと将棋の話をしていたのが印象的で、このとき29連勝を確信しました。歴代連勝記録のトップに立ちましたが、14歳の藤井四段にとってこれは序章。一喜一憂せず、これからもさらなる記録を目指して精進してください。
◆母・藤井裕子様
このような記録を達成することができ、本当にすばらしいと思います。一局一局を大切に、これからも「強くなる」という目標に向かって進んでいってほしいです。
次の対局は、7月2日(日)竜王戦トーナメントの佐々木勇気五段戦で、藤井四段がこの対局に勝つと30連勝となります。 (日本将棋連盟 更新:2017年06月26日 21:33)
藤井四段、強さ底なし 未到29連勝 「日ごとに成長」驚異的 ――プロデビュー以来無敗のまま、最多連勝記録を29に更新する快挙を成し遂げた史上最年少の将棋棋士、藤井聡太四段(14)。いまだ底が知れない中学3年の実力に列島の注目が集まっている。なぜ強いのか? 一体どこまで強くなるのか? 史上最年少のタイトル獲得など、さらなる記録の更新の期待も高まる。藤井四段の実力とその可能性に迫った。
「14歳なら、終盤は強くても粗削りというのが普通だが、藤井四段の将棋は既に『老成』している感じ」。初防衛を果たしたばかりの佐藤天彦名人(29)は、中学生の堂々とした棋風に驚きを隠さない。
プロアマ問わず、全国から猛者が集まる「詰将棋解答選手権」を2015年から3連覇中。その若い頭脳で、終盤の読みの速さ、正確さは誰もが想像していた。一方、序中盤は研究量や経験も大きく幅を利かす分野だ。若き日の羽生善治王位(46)も序盤がやや苦手で、不利な局面から終盤に「羽生マジック」と称される意表の手を放つ逆転術で恐れられた。
しかし、藤井四段の序中盤からの指し回しの完成度は周囲の予想以上で、相手がひるめば一気に優勢を築いてしまう。敗れた対局相手は「隙(すき)がない」と口をそろえる。師匠の杉本昌隆七段(48)は「もっと追い込まれたときに持ち味が出る」と話すが、今のところ、ほとんどの対局で追い込まれる状況になっていない。
非公式戦で対局した日本将棋連盟会長、佐藤康光九段(47)は「吸収力がある」と評し、「日を追うごとに強くなっている気がする」と語る。5連勝目で対局した北浜健介八段(41)は「棋譜を見ると、自分が対局した当時(2月)よりはるかに強くなっている。すいすいとリードを奪って逃げ切るパターンが多い」と舌を巻く。
プロ入り(四段昇段)後、無敗を続ける藤井四段だが、プロ入りを決めた際の三段リーグの戦績は13勝5敗だった。プロ入り後に驚異的な成長を遂げていることの証しともいえるだろう。
藤井四段は専門誌「将棋世界」で、羽生王位との非公式戦を自戦記で振り返り、三段リーグ時代に「将棋ソフトの感覚」を取り入れ、自身の弱点を克服したと記す。電王戦で「PONANZA」が佐藤名人を破ったことに象徴されるように、人間を上回ったとされる将棋ソフト。ソフトの影響は今期の名人戦にも表れ、玉を堅く囲ってから戦い始める従来の将棋から、攻撃態勢を速く築く将棋への転換が迫られている。藤井四段も、玉の守りの薄さを苦にしない将棋を指す。
しかし、研究だけで強くなるには限界があるかもしれない。通算97期のタイトル獲得と圧倒的な実績を誇る羽生王位。その偉業は森内俊之九段(46)や佐藤九段ら、いわゆる「羽生世代」と称される同世代の強力なライバルたちと実戦でも切磋琢磨(せっさたくま)したことが支えた。藤井四段にも今後、同世代のライバルが登場し、さらなる成長を遂げるのか、それとも孤高で将棋界の記録を塗り替えていくのか。その今後に、目が離せない。
藤井四段の連勝記録は偉業だが、将棋界はタイトル獲得が最も評価される世界だ。藤井四段には、屋敷伸之九段(45)が持つタイトル獲得の最年少記録(棋聖、18歳)、谷川浩司九段(55)の最年少名人獲得記録(21歳)の更新の期待もかかる。
名人など、棋界で特別な権威を持つタイトルは現在、八つある。名人を除く7タイトルは原則、プロ入り初年からタイトルに挑戦、獲得することも可能だ。藤井四段の場合、今年度中に獲得する可能性があるのは竜王、王将、棋王の三つとなる。
タイトル戦は予選、本戦、挑戦手合の3段階に分かれる。予選は一発勝負のトーナメント。予選を勝ち上がったり、成績や実績でシードされたりした棋士で争う本戦は、竜王戦や棋王戦のようにトーナメントで行うもの、王将戦のようにリーグ戦を行うものがある。本戦を勝ち上がった棋士が挑戦者となり、前年覇者とタイトルを争うのが挑戦手合だ。
竜王戦の挑戦手合は例年10~12月、王将戦は1~3月、棋王戦は2~3月に行われる。藤井四段がこの日戦ったのは竜王戦の本戦決勝トーナメント。王将戦と棋王戦は、本戦を目指し予選を戦っている。
叡王戦は予選が始まっているが、挑戦手合が決着するのは来年度の予定。棋聖戦、王位戦、王座戦は今後、予選から参加する。
名人戦の予選・本戦に当たる順位戦は5階級に分かれたリーグ戦で、最上位のA級の優勝者が名人に挑戦する。プロ入りした棋士は最下位のC級2組から出発し、好成績を上げ、毎年度一つずつ階級を上げていくしかないため、藤井四段も名人挑戦には最短で5年はかかる仕組みだ。
デビュー以来、連勝を続ける藤井四段だが、タイトル戦でシードされるような実績のあるトップ棋士との戦いはこれから。タイトル獲得へ、越えていかねばならない壁はまだ多い。 (毎日新聞2017年6月27日 東京朝刊)
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