芙蓉の花

　午前５時、我が家から隅田公園を南下し、東武伊勢崎線の橋梁を潜った花川戸の遊歩道から、白み始めた空にスカイツリーを写したアサヒビールの本社ビルが炎のオブジェと並んで見える。

　吾妻橋を渡り、向島の遊歩道を北上。白鬚橋の上に出ると、朝日に照らされた隅田川が広がる。東の空は今やご来光。西の橋場のマンション群と南のスカイツリーを朝の柔らかな陽の光りで包む。


　橋場の遊歩道に来ると木槿（むくげ）と並んで芙蓉が今を盛りと咲いている。芙蓉は美しく淑やかな顔立ちのことを「芙蓉の顔（かんばせ）」、美しい目元のことを「芙蓉の眦（まなじり）」などというように美しいものの形容に用いられる。富士山も芙蓉峰（ふようほう）と呼ばれている。
　李白の詩に後宮の女性を詠った「妾薄命」という五言絶句があったっけ。
　訳：昔は芙蓉の花のように華麗に咲く花の女王でもあり、天子の側にいて愛でられたものだったが、（歳をとり、容色が衰えた）今は根無し草となり、飛蓬（とびよもぎ）のように、零落して各地を流浪するようになった。色香をもって、人に仕えれば、一体どれほどの期間が、すばらしい時間としてあり得るというのだろうか。
　隅田公園の梅園にある花壇には見知らぬ名前の草花が植えてある。カメラに納め、帰宅後色々と調べてみた。
アキランサス：秋に鮮やかに紅葉した葉を観賞する、丈夫で育てやすい多年草。草丈は10～20㎝程で花壇の縁取りなどに適する。葉色は赤と黄色で、秋に花が出来ると葉色が鮮明になってくる。寒さには弱く、霜に当たると葉先が黒くなる。花言葉は「変身」
ダークベルグデージー：小雨の鮮やかな黄色の花と、やさしげな葉が魅力で人気があるという。初夏から晩秋までたくさん花を咲かせるが、雨が多いと開花が鈍りぎみになるという。葉は細い切れ込みの入った線状の葉を密に茂らせる。原産地は北アメリカのテキサス州～メキシコ。花言葉は「豊かさ」
ジニア・リネアリス(Zinnia linearis）：葉が細いのでホソバヒャクニチソウ（細葉百日草）とも呼ばれるキク科の一年草。花色には、白や黄色、橙色がある。枝分かれが良くて、背丈は低く、花は一重咲き。リネアリス(linearis)とは、ラテン語で「細い線のような」という意味で、葉が細いことによる。花言葉は「別れた友への思い」