常用漢字表の見直しを進めていた文化審議会が「改定常用漢字表」を川端達夫文部科学相に答申した。年内にも告示される予定だという。
日頃から漢字制限なんて気にせず自由に文章を書いている爺は「お前の書くものは読めない漢字が多すぎる」と顰蹙(ひんしゅく)を買っているようだが、昨今はパソコンのワードでもかなり難解の字が打てるようになり、一昔まで言われていた「ワープロでの日本語表記は無理だ」といわれていたのが嘘のようで、別にその漢字が書けなくても読める字ならば難解な字でも殆んど打てるようになった。
朝日テレビ系列の「Qさま」という番組があり、やくみつる、宇治原史規、有賀さつき、金田一秀穂、市川亀治郎、 ラサール石井、宮崎美子などの漢字物知り博士を自認する面々が漢字の知識を競うクイズ番組がある。あまり機智に富んだクイズ番組とはいえない。
別に漢字を沢山識っていたからといって人に自慢できることでもあるまいに、昨年は「日本漢字能力検定協会」が、公益事業では認められない多額の利益を上げていたことが明らかになったほど、一つのブームを作り出しているのは確かである。
世説新語「捷悟篇第十五」に次のクイズばりの説話が掲載されている。
魏の武帝(155~220年、曹操)があるとき曹娥(そうが)の碑の下を通り過ぎたことがあるが、楊修(? - 219年、曹操に仕えた武将、字は徳祖)もお供をしていた。碑の裏に「黄絹幼婦外孫韲臼」の八字が書かれているのを見て、魏の武帝は楊修にいった。「わかるか、どうかね」
楊修は答えた。「わかります」
魏の武帝はいった。「お前はまだ言ってはいかん。わしが思いつくまで待て」
三十里ほど行ったとき、魏の武帝はいった。「わしには解ったぞ」
楊修が理解したことを別に書かせた。楊修の答えは次のとおりである。
「黄絹とは色のある糸のいで、文字にすると『絶』になる。幼婦は少女であり文字にすると『妙』となる。外孫とは女(むすめ)の子であり、文字にすると『好』となる。韲臼(せいきゅう)《韲=なます、野菜を辛子であえたもの。臼=韲を受け入れるものが臼》は辛(からし)を受けるものであるから文字にすると『辤(辞)』となる。つまり『絶妙好辞』ということである」
魏の武帝も自分の回答を書いたが、楊修のものと同じであったので、感嘆していった。
「わしの才能はお前に遅れること三十里であることがやっとわかったぞ」 (以上、平凡社刊、中国古典文学大系「世説新語」より)
とはいうものの、漢字の数は膨大。まだまだパソコンで打てない字がかなりある。今日のブログにも原文の「あえもの(19画)」が打てないので音が「セイ」と同音で意味もよく似ている韲(なます)
で代用させてもらった。
sechin@nethome.ne.jp です。
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