瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
南の空は雨雲が垂れ込めていたが、北東方向の空は明るく茜雲さえ射している。桜橋を渡り、墨堤通りを千住汐入大橋まで北上。橋を渡って、何時ものように遊歩道を南下。白鬚橋の手前まで来ると、背後から薄日が射し始めたが、顔に冷たいものが当たる。大したことはないが天気雨――狐の嫁入りらしい。
桜橋までくると、U氏夫妻が橋を渡ってくるのが見えた。写真に撮らせてもらえるようお願いすると、夫婦仲良くカメラに収まってくれた。彼は隣の猿若町(淺草6丁目)に住んでいるが、爺が兼愛塾を始める(1964年)前に勤務していたJ塾で確か小学6年生ぐらいであったから、まもなく還暦に近い年齢のはずだ。
帰宅して、朝食前にパソコンのメールを開くとN氏よりのメールに曰く、『日高 節夫 様/いろいろご教示ありがとう。一生懸命、君の資料を読み、他のネット資料を紙に打ち出し、繰り返し読んでも、肝心なところは、ちっとも分からない。/そこで、本日(6月8日)付掲載の、宮城谷さんの説明を、このメールで書いてみる。これでもよく分からない。今、無理に全部分かるよりも、いずれそのうち分かるような展開になるだろうと一応、お預けにする積りで素直に作品の字面を追うことにします。/この連載の詳細は、来月、〈地の声〉の章を君にお届けする時に、詳細はご覧いただけるので、今回は、わたしのとんまなまごつきだけを表にだしただけで終わりにしましょう。/厳尤邸をあとにした祭止は、ひたいの汗をぬぐい、「初九って、なんですか」と、乾いた唇をなめつつ訊いた。/易には独特の用語がある。初九(しょく)もそのひとつで、これについての説明は長くならざるをえない。なるべくかんたんにいえば、占うことを、卦をたてる、という。/卦は六本の卦木(かぼく)から成る。卦木には陰と陽をあらわす二種類があり、それを下から六回積み上げてゆく。/初九というのは、最初に置いた卦木が陽であることをいう。九は陽数字で、六が陰数字の代表ということになる。すなわちその最初の陽に、どのような意味があるか、易学では明示されている。それを劉秀は憶えていて、よどみなく答えたのであるから、劉秀の占い好きは尋常ではない。/「おっしゃったことの半分もわかりませんが、今日は、ほんとうに助かりました。それにしても、厳将軍はりっぱなかたですね」と、祭止は劉秀に敬意をいだくとともに親しさを増したような話しかたをした。/「将軍をみましたか」「いえ、お声だけきいていました」「わたしも目をあげられなかった。が、雅やかさをもっているように感じられた。文武にすぐれている人とは、あのような人をいうのだろう」「文叔さまもりっぱでしたよ。占いが、おくわしい」/祭止はようやく劉秀の特質をつかんだ。/「いや、買いかぶってもらってはこまる。わたしの占いの知識は、半可通です。その証拠に、向後の自分の運命は、さっぱりわからない」/劉秀は笑って祭止と別れた。/これに多少の枝葉がつくが、初九の部分は洩らさず記した。私は、初九とは、立てた卦の最初の9文字の言葉だろうと思ったのだが、文字数を数えてもそうとも限らない。君のブログの岩波文庫から引用した部分がいちばん分かりやすいが、それでも、霧が立ち込めた理解の状況は変わらない。/初九、六二、九三、六四、六五、上六などさっぱり分からない。』
爺は易の数理については関心があるのだが、占いそのものには余り興味が持てない。
卦には三爻から成る小成すなわち八卦と、六爻から成る大成すなわち六十四卦とがある。「爻」とは卦を成す算木をいうのであって、陰爻、陽爻の別があり、陰爻を「六」陽爻を「九」と称する。卦中の爻は下より上に(草木の芽が上に伸びるように)数えるのを例(ためし)とする。最下の爻が陽ならば初九(しょきゅう)、陰ならば初六といい、それより上は順次九二(きゅうじ)・六二(りくじ)、九三・六三、九四(きゅうし)・六四(りくし)、九五・六五といい、最上の爻を上九・上六というのである。
易卦はもともと二進法で表す数字であるという説があり、次のように数を当てはめることができる。右側は二進法の表示であり、易卦と全く同じ並びになることが理解できる。易卦が二進法の数字であると喝破したのは、ライプニッツであり、「坤」→「剥」→「比」から「乾」までに0から63までの数をあてはめたという。
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プロフィール
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目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
sechin@nethome.ne.jp です。
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