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 ウェブニュースより


音声データで判明 甘利事務所こそ補償金つり上げの張本人 ――  完全にアウトだ。甘利明・前経済再生担当相の“口利きワイロ疑惑”。民主党の追及チームは15日、甘利氏にカネを渡したと証言した千葉県白井市の建設会社の元総務担当、一色武氏(62)と甘利氏の元公設秘書の清島健一氏(39)がUR(都市再生機構)との補償交渉について交わした音声データとメモを公開した。

 音声データは昨年11月2日、神奈川県大和市の回転ずし店で録音されたという。秘書が〈(URに対し要求補償額は)推定20億かかりますとか、言葉にしてほしい〉と一色氏に促す場面が生々しく記録されており、清島氏が一色氏を主導する会話が随所にみられる。
(URは)具体的に金額を言っていかないと、こちらも分かりませんという言い方なんですよ。じゃあそれに乗りましょうと〉
〈最悪、文章だけ、これいくらとか、例えばいくらがどうかとか、文章にして証拠に残るようなものを〉
〈コンクリートの費用かかったと。地下に埋まった分はどうするんだとか。そういうモノなりをつくってください〉
 音声データを聞く限り、1月下旬の辞任会見で「秘書による金額交渉への介入はなかった」とした甘利氏の釈明は大嘘だっただけでなく、むしろ甘利事務所が補償金額を吊り上げていた“張本人”だったことが分かる。追及チームの会合に出席したUR担当者も、音声データの声について「清島さんのような感じがします」と認めた上で、補償交渉は一色氏と秘書のどちらが熱心だったのかと問われると、やんわり「秘書の方」と認めた。
 こうなったら、甘利氏も秘書も何が何でも国会に引っ張り出してギュウギュウ絞り上げる必要があるが、この期に及んでも自民党が猛反対しているというから呆れる。
「衆院の理事懇で、自民党は『甘利疑惑を調べている弁護士が反対している』として証人喚問に応じず、それなら音声データを聞くよう求めると『音声データ自体の真偽がハッキリしないので聞かない』と突っぱねています。これだけの証拠が突き付けられていながら、往生際が悪過ぎる。甘利前大臣は国会にも姿を見せておらず、許せません」(民主党議員)
 甘利氏が辞任会見で説明していた「特捜部出身の弁護士の調査」は果たして本当に行われているのか。15日の会合でも、URも国交省もこの匿名ヤメ検弁護士からの接触はいまだに「ありません」と説明していた。
 ヤメ検弁護士は疑惑発覚から2週間も経つのに当事者のURや国交省の担当者を聴取せず、一体、どんな真相を調べているのか。弁護士は存在しないのではないか、あるいは調査とは名ばかりで、ひたすら証拠隠しに走り回っているのではないかと疑いたくなる。
 甘利氏や秘書と一緒にこの匿名ヤメ検弁護士も証人喚問した方がいい。  (日刊ゲンダイ2016217日)


 


川崎・老人ホーム連続転落死 警察・運営側「事件」見抜けず後手 ――  川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で二〇一四年、入所者三人が転落死した事件は、わずか二カ月の間に入所者三人が、職員に投げ落とされる連続殺人事件の可能性が高くなった。相次いだ異常事態に、管理する施設、捜査関係者に防ぐ手だてはなかったのか。
 事件が起きた「Sアミーユ川崎幸町」を運営する「積和サポートシステム」の岩本隆博社長によると、職員の当直は当時三人体制。今井容疑者は三人が転落したいずれの夜も当直だった。
 同社によると、入所者の各部屋はかぎがかかるが、本人や家族が希望すれば施錠しない場合もあるという。事件で亡くなった男性の部屋は施錠されておらず、就寝時はドアも開いた状態だったという。
 お年寄りが相次いで転落死したのは、二〇一四年十一月三日~十二月三十一日にかけて。岩本社長は、一件目の転落死を事故と認識し、二件目も「事件とは想像できなかった」。
 三件目が起きた後の一五年一月、サポートシステムは今井隼人容疑者=殺人容疑で逮捕=ら職員に運営会社として聞き取りをしたが、説明に違和感は感じられず「性善説で職員を見ていた」と岩本社長。
 今井容疑者は一件目と三件目の第一発見者。そんな不自然な点があったのに、深く追及しなかった。その後、相次ぐ転落死に職員から「気持ち悪い」などと不安の声が上がり、取りあえず、施設内の不安感を解消するため同月、今井容疑者を当直から外した。

 岩本社長は「運営を施設にまかせることが多く、本社の関与が少なかった。甘く見た」と悔やんだ。
 一方、神奈川県警の捜査幹部は「結果論として(連続する可能性を)気付けずに三件目が起きた」と苦渋の表情を見せる。転落死の発生のたび、県警本部からは、それぞれ別の検視官が現場を訪れ、事件か事故か分からない変死として処理し、死因特定のための司法解剖も行わなかった。


 県警捜査一課によると、二件目が発生した時点で、管轄する幸署は事件の可能性を疑っていたが、捜査一課にはその旨を伝えておらず、事件と断定して捜査しなかった。同じ老人ホームで三件の転落死が相次いで起きていることが、幸署から捜査一課に報告されたのは昨年五月以降になってからだったという。
 事件が起きた老人ホームでは入所者への暴力や暴言などの虐待行為も発生。川崎市は、介護保険法に基づき施設側に監督責任を問う形で介護報酬の請求を今月から三カ月停止する行政処分をした。
 菊地義雄副市長(福祉担当)は「本来、一番安全なところに預けているはずで、ご遺族はいたたまれない」とし、川崎市は老人ホームへの指導体制を充実する方針を示した。
◆元職員 3人殺害認める
 「Sアミーユ川崎幸町」で入所者三人が相次いで転落死した事件で、無職丑沢(うしざわ)民雄さん=当時(87)=をベランダから投げ落として殺害したとして、神奈川県警に殺人の疑いで逮捕された元職員の今井隼人容疑者(23)=横浜市神奈川区立町=が、犯行時、「丑沢さんとベランダで二人きりだった」と話していることが捜査関係者への取材で分かった。残る二件の転落死についても殺害を認めており、県警は連続殺人事件とみて関連を調べている。
 県警などによると、今井容疑者は一四年十一月に丑沢さんが転落死したとき、三人体制の当直勤務をしていた。逮捕の数日前から任意で県警に事情を聴かれ、当初は否認していたが、十五日に容疑を認めたという。
 ほかの当直勤務者らに事情を聴いた結果でも関わった人物はおらず、県警は他の勤務者のすきを見て単独で投げ落としたとみて調べている。
 この老人ホームでは一四年十二月にも、当時八十六歳と九十六歳だった入居者の女性二人が相次いでベランダから転落死している。捜査関係者によると、三件すべてで当直勤務していたのは今井容疑者だけだった。  (東京新聞 2016217日 朝刊)


 

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