小楢(こなら)を詠んだ歌
小楢(こなら)は、ブナ科コナラ属のの落葉高木です。15メートルくらいのものもあります。薪(たきぎ)、炭、家具などに使われます。5月頃に黄色い花を垂れ下げるように咲かせます。
万葉集には1首だけに登場します。
巻14-3424: 下つ毛野みかもの山のこ楢のすまぐはし子ろは誰が笥か持たむ
児の手柏を詠んだ歌
万葉集には2首に登場しますが、現在のどの草木にあたるのかはよく分かっていません。ここでは、ヒノキ科のコノテガシワ属の「児の手柏(このてかしわ)」を紹介させていただきます。「児の手柏(このてかしわ)」は4月頃に白いこんぺいとうのような花を咲かせます。
現在の「児の手柏(このてかしわ)」は、江戸時代に日本に来たという説があります。他の説としては、次のようなものがあります。
・柏(かしわ)の若葉
・男郎花(おとこえし): オミナエシ科の多年草
・柞(ははそ): 小楢(こなら)、橡(つるばみ)などのブナ科の樹木のこと
巻16-3836: 奈良山の児手柏の両面にかにもかくにも侫人の伴
※背奈 行文(せな の ゆきふみ、生没年不詳)
奈良時代の官吏。
幼少より学をこのみ明経第二博士となり、養老5年(721)学業優秀として賞されました。神亀(じんき)4年従五位下。「万葉集」にこの1首とられています。また「懐風藻」に従五位下大学助、年62とあり、五言詩2首が載っています。武蔵(むさし)高麗郡(埼玉県)出身。姓は消奈ともかきます。
巻20-4387: 千葉の野の児手柏のほほまれどあやに愛しみ置きて誰が来ぬ
三枝(さきくさ)を詠んだ歌
三枝(さきくさ)が何なのかははっきりしていません。三椏(みつまた)、福寿草(ふくじゅそう)、沈丁花(じんちょうげ)などの説があります。ここでは、三椏(みつまた)として説明します。
三椏(みつまた)はジンショウゲ科の落葉低木です。枝が先で3本ずつに分かれるので、この名前がついたとのことです。3月頃に、葉が出てくる前に黄色い毬(まり)のような花をつけます。樹皮は紙の原料としても有名です。
万葉集には2首に登場しますが、いずれも花そのものではなくて、枕詞として使われています。
0904: 世間の貴び願ふ七種の宝も我れは何せむに我が中の.......(長歌)
※山上憶良(660~733ころ)
奈良時代の万葉歌人。文武5 (701) 年遣唐少録として名を記録されたのが『続日本紀』の初出で,このとき 42歳で無位でした。霊亀2 (716) 年伯耆守し、養老5 (721) 年東宮 (のちの聖武天皇) 侍講となり、この頃『類聚歌林』を編纂したとされます。神亀2 (725) 年頃筑前守となり、同じ頃大宰帥となった大伴旅人らとともに盛んな作歌活動をし、いわゆる筑紫歌壇を形成しました。『万葉集』には長歌約 10首、短歌約 50~80首、旋頭歌1首があるが、彼の作とする歌の範囲については説が分れています。ほかに漢詩2首,漢文数編が収められています。『貧窮問答歌』に代表される社会や人生の問題を題材とした、思想性に富んだ歌が特色です。
1895: 春さればまづさきくさの幸くあらば後にも逢はむな恋ひそ我妹
sechin@nethome.ne.jp です。
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