桜を詠んだ歌5
巻9-1776: 絶等寸の山の峰の上の桜花咲かむ春へは君し偲はむ
※石川君子(いしかわの-きみこ、生没年不詳)
奈良時代の官吏。和銅8 (715) 年、播磨守(はりまのかみ)となり、兵部大輔(たいふ)をへて侍従。「万葉集」に短歌があり、その注によれば、神亀(じんき)年間に大宰少弐(だざいのしょうに)に任官したようです。「播磨国風土記(ふどき)」を編集した可能性のある人物のひとりです。名は吉美侯とも書きます。
※播磨娘子(はりまのおとめ、生没年未詳)
伝未詳。養老四 (720) 年十月頃、播磨国守の任を解かれて帰京する石川君子に贈った惜別の歌二首が万葉集巻九に残ります。播磨国の遊行女婦(うかれめ)かといいます。
巻10-1854: 鴬の木伝ふ梅のうつろへば桜の花の時かたまけぬ
巻10-1855: 桜花時は過ぎねど見る人の恋ふる盛りと今し散るらむ
巻10-1864: あしひきの山の際照らす桜花この春雨に散りゆかむかも
巻10-1866: 雉鳴く高円の辺に桜花散りて流らふ見む人もがも
巻10-1867: 阿保山の桜の花は今日もかも散り乱ふらむ見る人なしに
巻10-1869: 春雨に争ひかねて我が宿の桜の花は咲きそめにけり
巻10-1870: 春雨はいたくな降りそ桜花いまだ見なくに散らまく惜しも
巻10-1872: 見わたせば春日の野辺に霞立ち咲きにほへるは桜花かも
巻10-1887: 春日なる御笠の山に月も出でぬかも佐紀山に咲ける桜の花の見ゆべく
◎旋頭歌(せどうか)
5・7・7・5・7・7の6句形式の歌をいいます。片歌を繰り返した形です。上代に多く、記紀歌謡にみられ、《万葉集》にも60余首がありますが、平安時代になるとほとんど姿を消し、《古今和歌集》《千載和歌集》などに数首あるにすぎません。〈旋頭〉は頭句にかえるの意で、5・7・7の3句を繰り返す詩形の意であろうといいます。
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