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ウェブニュースより
 大阪都構想が否決 地方自治、問われる持続性 ―― 大阪市民が大阪都構想に再びノーを突きつけた。政令市としての大阪市が存続する一方、大阪府との非効率な二重行政は制度上、残ることになった。人口減と高齢化が進み、全国の2割の市区町村は2045年の人口が現在の半数を下回るとの推計もある。効率的で持続的な自治制度を問い直す時期にきている。
 
 都構想は大阪市と大阪府がともに手掛けてきた都市開発などの広域行政を府に一本化し、財源を合わせる。限られた財源を府主体で効率的に使うのが狙いだった。今回の否決でこうした構想は白紙に戻る。人口減や高齢化が進む小規模自治体を含めて、府全体に目配りした成長戦略をどう描くかも課題として残る。
 新型コロナウイルス禍は病床確保や検査受け入れなど、自治体の広域連携の必要性を改めて突きつけた。医師確保や介護なども広域で考えなければ立ちゆかなくなる。
 世界の主要都市には、活力と地域の持続可能性を両立させる形が様々ある。都構想は、広域の役割と身近な行政サービスを役割分担するロンドンに近い形といえる。ニューヨークは、都道府県と市町村の権限を併せ持ち、ロンドンとは異なる自治制度だ。いずれも、二重行政のない仕組みを取っている。こうした都市と競争する大都市は、二重行政を解消する形を探る必要があろう。
 都構想とは逆に、道府県の役割をすべて市が担う形として「特別自治市」構想がある。政令市長でつくる指定都市市長会は5日、横浜市で特別自治市の創設を提言する。これを受け、総務省が検討の場を設けることになりそうだ。
 活力と持続可能性を問われているのは、富を生むエンジン役となる大都市だけではない。
 政府の推計では、全国の約1700の市区町村のうち、45年の人口が15年比で増えるのは94のみ。半数以下に減少する自治体は334に上る。生活圏や経済圏の同じ市区町村でつくる新しい広域的な自治体の形「圏域」が取り沙汰されたこともあるが、市区町村の反発で議論は進まない。
 人口減と低成長が続けば税収は伸びず、自治体運営は一層厳しくなる。そのとき現在の都道府県や市区町村は残るのか。道州制といった新たな体制への移行も念頭に考えていく時代を迎えている。    (2020/11/2 1:30日本経済新聞 電子版)

 駒大・田沢で逆転V「令和の常勝軍団」可能性秘める ―― <全日本大学駅伝>◇1日◇熱田神宮西門前~伊勢神宮内宮宇治橋前(8区間1068キロ)
 駒大が5時間118秒の大会新記録で6年ぶり13度目の優勝を飾った。エース田沢廉(2年)が最終8区の残り1キロ余りで猛スパート。ずっと東海大アンカー名取燎太(4年)の背中に付き、勝機をうかがった。目まぐるしく順位が変わる歴史的な大激戦を、鮮やかに一発の仕掛けで決めた。連覇を狙った東海大は2位、1月の箱根王者・青学大は4位。今季はコロナ禍で出雲駅伝が中止となり、今大会が「大学3大駅伝」の開幕戦だった。
 
   ◇   ◇   ◇
 1068キロの長丁場の勝負が決したのは、残り12キロだった。田沢は横目で、名取の顔色を確認した。その瞬間だ。蓄えていた力を一気に爆発させた。タスキをもらってから、18キロ以上はライバル校エースの背後にピタリと付き、仕掛けずに「静」を貫いていた。まさに一撃必殺のスパート。もう1段の余力も残していたが、使う必要はない。接戦に終止符を打って、何度もほえながら、フィニッシュテープを切った。
 「もともと、どこで仕掛けるかの計画性はなかった。何となくで決めた。不意に仕掛けてることで、『えっ』という思いをさせたかった。それがうまくいった」と笑った。レース全体で見ても、駒大が先頭を走ったのはラスト12キロだけ。まさにエースの勝負強さが最たる勝因だった。5734秒は区間賞でもあった。
 偉大なOBからも影響を受ける。東京五輪マラソン代表の中村匠吾は、今も駒大が練習拠点。印象的な姿勢の1つが食生活だ。ジュースなどは控え、飲むのは水ばかりと知った。まだ同じくらいにストイックにマネできないことには苦笑いだが、「徐々に変えていこうと思う」。自然と目にできる背中を、成長の糧とする。「将来は中村選手のように五輪選手になりたい」と力強く語った。
 これで「平成の常勝軍団」は、単独最多22度目の「大学3大駅伝」制覇だ。令和になって以降は初優勝。62歳の大八木弘明監督は「令和の常勝軍団を作りたい」。下級生は粒ぞろい。再び黄金時代が到来する可能性は十分だ。
 ○…大会はコロナ対策で、例年とは違った様式だった。走り終えた選手はゴール地点ではなく、バスで名古屋方面に。ゴール後の胴上げもなし。密集を避けるため、開閉会式も実施されなかった。沿道は観戦自粛が促されていたが、応援する人の姿も一部で見られた。
 ◆田沢廉(たざわ・れん)2000年(平121111日、青森県八戸市生まれ。青森山田高3年時にアジアジュニア選手権5000メートル銀メダル。駒大1年時は出雲3区区間2位、全日本7区区間賞、箱根3区区間3位。自己ベストは5000メートルが1337281万メートルが281321180センチ、61キロ。    日刊スポーツ 20201111918]

 活動「あと50年」 81歳のスーパーボランティア 緑綬褒章の尾畠さん ―― 今でも忘れられない光景がある。40歳で初めて登った冬のくじゅう連山は見渡す限りの銀世界。「人間は何と小さいことかと思い知った」
 
 四季折々に表情を変える山の魅力に引かれ、全国各地に出かけた。そこで目にしたのが、傷んでいく登山道や荒廃する木々。山への恩返しにと、50歳から地元・大分の由布岳を中心に登山道整備を続けてきた。
 多いときで月に28日、危険な登山道に道標を設置し、石を入れた網の袋を並べて足場を固めた。負傷した登山者を背負って下山したことも4回ある。
 食べるものにも困った幼少期。「同じ地球で、お互いに生かされていると思うと、あらゆる生き物に優しくなれる」という。
 豪雨などの被災地支援のほか、2年前は山口県で行方不明の2歳児を救出し「スーパーボランティア」と称された。昨年からは海岸に漂着したペットボトルの回収活動も始めた。
 受章については「誰かに言われてやっていることじゃないのに、なぜ表彰されるのかな」。夢は「あと50年ボランティア活動を続けること」。“尾畠節”がさえ渡った。    (2020/11/2 6:00 西日本新聞 社会面 井中 恵仁)


 

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