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 Archimedes(アルキメデス)は幾何学よりも計算の方に興味をもった。その一つの例として、円周率の計算がある。
 彼は『円と計測』という著書の中で、円周率が3と1/7(3.142…)より小さく、3と10/71(3.140…)より大きいことを理論的に証明している。
 古代から円周率を求めることに多くの人々が関心を示していたようで、紀元前2000年頃から、バビロニアでは円周率がだいたい3であることが知られていた。また、エジプトのなわばり師たちは縄を使って地面に大きな円を描き、円周の長さが直径の縄のいくつ分あるかを求めた。そして、3つ分とれて半端がでた。そこで、その半端で直径を測って大体7つ分とれることがわかった。このようにして、円周率は大体 3と1/7 であることを知っていた。一方、ギリシアでは円についてずいぶん研究されていたが、「円の性質」とその証明が中心になっていて、円の面積など計量関係はあまり問題にされていなかったのである。よって、当時の状況から考えると、Archimedes(アルキメデス)の証明は驚くべきことである。彼は、円周率の値というものを正しく評価した最初の人であり、円周率の値を小数点以下第二桁「3.14」まで正しく求めた最初の人でもある。
 
 それでは、一体どのような方法で円周率の値を求めたのだろうか。
f2d511ef.jpeg まず、直径1の円に内接する正六角形と、円に外接する正六角形をかいて、この円の円周の長さは、これに内接する正六角形の周よりは長く、これに外接する正六角形の周よりは短いと考えた。(左図参照)
 そしてこの図から出発して、次々とその辺の数を2倍にして、円に内接および外接する正十二角形、正二十四角形、正四十八角形、そしてついに正九十六角形をかき、この円の円周の長さは、これに内接する正九十六角形の周よりは長く、外接する正九十六角形の周よりは短いと考えた。こうしてついに、円周率πが、 3と1/7<π<3と10/71 すなわち 3.140…<π<3.142… という不等式を満たしていることを証明した。
 
 ここに出てくる 3と1/7 すなわち 22/3 というπの近似値は、いまでもよく用いられている。この計算をするにあたって、Archimedes(アルキメデス)は √3 の計算や大きい数の開平計算にも取り組んだ。
 このようにArchimedesの発想と粘り強さをもって、円周率の近似値3.14が求められた。ちなみに、Archimedesが活躍したこの時代には、0や小数の概念はまだ無かった。このなかでこれだけの発見をしたのは驚くべきことだある。
 以来、世界中の多くの学者が同じ方法で、さらに辺の数を増やして、より多くの桁数のπの値を求めている。17世紀にドイツのLudolph van Ceulen(ルドルフ・ファン・コーレン、1539~1610年)が35桁まで求めたという記録が残っている。17世紀には微分積分の発見によってπを無限級数を使って計算する方法ができるようになった。そして近年、計算機の発達によってπの桁数は飛躍的に増加した。
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