瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 「字余り」句の句中には必ず単独母音「あ」「い」「う」「お」のいずれかが組み込まれてているという宣長の法則を『古今集』三百余例の実例について調べてみても、西行の歌における「ちるとみれば」「友になりて」のような例外現象は見当たりません。一応問題となる「字余り」は、
    ひぐらしの  鳴きつるなへに  日は暮れぬと 
       思ふは山の  かげにぞありける
         読み人知らず 古今集巻四 204

    忘れなむと  思ふ心の  つくからに 
       ありしよりけに  まづぞ恋しき
         読み人知らず 古今集巻一四 718

の類ですが、宣長がこれを見逃すはずがありません。彼の見解は『字音仮音用格(じおんかなづかい、安永五年刊)』から十八年後の著書『玉あられ(寛政四年刊)』に明記されています。

 すなわち、204番の第三句は句末の序詞「と」を次の句に送って、「日は暮れぬ と思ふは山の ……」と読むべきもの、718番の第一句は「忘れなむ とおもふ心の ……」と読むべきものなのです。実に明解爽やかな解釈ではあります。


 


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