菫(すみれ)を詠んだ歌
菫(すみれ)は、スミレ科スミレ属のスミレです。春に野原や道端に小さな花を咲かせます。ちなみに、花が大工道具の墨入れ(すみいれ)に似ていることから菫(すみれ)と呼ばれているそうですが、はっきりとはしていません。
第8巻に3首、第17巻に1首が詠まれていて、「すみれ」、もしくは「つほすみれ」と詠まれています。
巻8-1424: 春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ野をなつかしみ一夜寝にける
巻8-1444: 山吹の咲きたる野辺のつほすみれこの春の雨に盛りなりけり
※高田女王(たかだのじょおう、生没年不詳)
奈良時代の歌人。「万葉集」巻4に大原今城(いまき)におくった歌6首、巻8に1首がおさめられ、注に高安王(大原高安)の娘とあります。
巻8-1449: 茅花抜く浅茅が原のつほすみれ今盛りなり我が恋ふらくは
※大伴田村大嬢(おおともの-たむらのおおいらつめ、生没年不詳)
奈良時代の歌人。大伴宿奈麻呂(すくなまろ)の娘。「万葉集」に異母妹大伴坂上大嬢(さかのうえのおおいらつめ)におくった歌9首や大伴稲公(いなきみ)からおくられた恋の歌がみえます。
※坂上大嬢(さかのうえのおおいらつめ、生没年不詳)
奈良時代の歌人。父は大伴宿奈麻呂(おおとものすくなまろ)で、母はその異母妹で万葉歌人の坂上郎女(いらつめ)です。従兄弟(いとこ)の大伴家持(やかもち)の妻。家持と恋愛関係にあったころ(730年代)彼に贈った短歌11首が『万葉集』に収められています。歌風は後期万葉の傾向を反映して、おおむね類型的で平明ですが、ときに新鮮な感覚・表現の作もあります。「春日山(かすがやま)霞(かすみ)たなびき心ぐく照れる月夜にひとりかも寝む」(巻4-0735)もその一例で、一種甘くやるせない思いを誘う眼前の景を通してひとり寝のせつなさを訴えた佳作です。
巻17-3973: おおきみの命かしこみあしひきの山野さはらず.......
◎この歌には、次のような標題がついています。
樒(しきみ)を詠んだ歌
樒(しきみ)は、シキミ科シキミ属の常緑小高木の樒(しきみ)です。3~4月に、ごく薄黄い、または白い細長い花をさかせます。樒の実は有毒なので気をつけましょう。
万葉集に樒(しきみ)を詠んだ歌は、一首だけです。
4476: 奥山のしきみが花の名のごとやしくしく君に恋ひわたりなむ
※大原今城(おおはらの-いまき、生没年不詳)
奈良時代の皇別氏族出身の官僚。歌人。姓は真人。もと今城王といいました。穂積皇子と大伴坂上女郎の子。天平11(739)年高安王らと共に大原真人の氏姓を与えられました。同20年兵部少丞正七位下などを経て、天平勝宝9(757)年、従五位下、治部少輔。天平宝字7(763)年左少弁に任じられますが、藤原仲麻呂の乱に連座して官職位階を奪われたようです。宝亀2(771)年従五位下に復し兵部少輔になり、翌年駿河守に任じられたとあるのが史料にみえる官歴の最後です。『万葉集』に18首の歌を残し、大伴家持と親交のあったことが知られます。
ウェブニュースより
<新型コロナ>願う 終息、秋の三社開催 浅草神社で氏子ら祈願祭 -― 台東区の浅草神社(浅草二)で十八日、新型コロナウイルスの早期終息を願う祈願祭があった。合わせて十五~十七日に実施予定だった三社祭の秋への延期を奉告する祭事も行われ、参列した氏子らは祭りが無事開催できるよう祈った。
祭事は、神職や参列者がマスクを着用して実施。神前で祝詞を奏上し、十月十六~十八日に延期された三社祭の開催と新型コロナウイルスの沈静化を祈った。笛の音が響く中、みこ二人が「浦安の舞」を舞い、終息を祈願した。神社の総代数人が参列した。
三社祭の今年の日程は当初、今月十五~十七日だった。約百基の町神輿(みこし)が繰り出す「連合渡御(とぎょ)」、三基の本社神輿を境内から担ぎ出す「宮出し」、木遣(きや)り隊や芸者衆らがにぎやかに歩く「大行列」、都無形民俗文化財に指定されている田楽舞「びんざさら舞奉納」などが予定されていた。
新型コロナウイルスの収束状況を考慮し、八月下旬に最終的な開催可否や規模について決定する見通し。三社祭が秋に開催されるのは初めてとなるという。
三社祭を主催する氏子団体、同神社奉賛会の宮本卯之助会長は「浅草だけでなく日本の人にとって、三社祭は一番重要なお祭り。なんとかやりたいという思いでいる」と強調。冨士滋美副会長(浅草観光連盟会長)も「今までとは違ったルールが必要になるかもしれないが、知恵を絞って開催したい」と話した。
浅草神社の土師(はじ)幸士宮司は「安全性を確保した上で祭礼、祭典を行うことが第一」とした上で、「神輿を担ぐことができない状況ならば、台車に載せて町を練り歩くなど、やり方を検討していきたい」と話している。
◆写真で、コメントで「祭待つ熱」寄せられ したまち支局ツイッター
心にぽっかり穴があいてしまった人もいる。みんなでお祭り気分を-と、本来なら三社祭本番だった十五~十七日に合わせ、東京新聞したまち支局は、支局ツイッターで祭りの過去の写真などを募集した。十四日に「#三社祭2020が待ち遠しい」のハッシュタグを付けての投稿を呼び掛けた。
アップされたのは、約百基の町神輿が集結して手締めが行われる壮大なシーンの動画や、祭りの衣装で笑顔の子どもたち、神酒所でくつろぐ町会役員の写真など。三社祭限定手ぬぐいの画像も。浅草観光連盟の関係者からは、目にするのが難しい本社神輿(みこし)が厳かに神輿庫から出発する様子の動画も寄せられた。
浅草の人たちは、秋開催への思いもツイート。「延期になった十月を目標に自粛を頑張りましょう」「まだまだ乗り越えるハードルはありますが(中略)明るい未来へと進みたい」と前向きなコメントがつづられた。
投稿内容は、「#三社祭2020が待ち遠しい」で検索すれば閲覧できる。 (東京新聞 2020年5月19日)
狭野方(さのかた)を詠んだ歌
万葉歌に詠まれている「狭野方(さのかた)」が何を示しているかは、はっきりしていないようですが、木通(あけび)だとの説があります。
木通(あけび)は、アケビ科アケビ属の落葉つる性の植物です。4~5月頃の山の中で、淡い紫色の花をつけているのを見ることができます。つるが丈夫なので、昔からかごを編むのに使われることもあったようです。
春の相聞歌(そうもんか)二首と譬喩歌(ひゆか)一首に詠まれています。
巻10-1928: さのかたは実にならずとも花のみに咲きて見えこそ恋のなぐさに
巻10-1929: さのかたは実になりにしを今さらに春雨降りて花咲かめやも
巻13-3323: しなたつ筑摩さのかた息長の越智の小菅.......(長歌)
ウェブニュースより
検察庁法改正案、今国会での成立断念 世論の反発配慮 ―― 政府・与党は18日、検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案の今国会での成立を断念した。野党や世論が同法案への反発を強め、採決を急げば政権運営に悪影響を与えかねないと判断した。今国会は継続審議とし、秋にも開く臨時国会での審議をめざす。
法案は検察幹部に役職定年を設ける一方、内閣の判断で幹部の定年を最長3年延長できる特例規定を盛り込んだ。SNS(交流サイト)を通じ、反対意見を表明する書き込みなどが相次いだ。
安倍晋三首相は18日夜、首相官邸で記者団に「様々な批判をいただくなかで国民のご理解をいただきながら進めていくことが肝要だ」と述べた。
首相は18日、自民党の二階俊博幹事長と官邸で会談し「国民の理解なくして審議を前に進めるのはどうだろうか」と伝えた。新型コロナウイルス対策を優先し、2020年度第2次補正予算案の速やかな成立につなげる方針で一致した。
これを踏まえ、自民、公明両党の幹事長と国会対策委員長が会談し、成立断念を決めた。一括審議する国家公務員法改正案と合わせて採決を見送る。自民党の森山裕国対委員長は定年延長の特例規定に関し、政府が具体的な基準などを示す必要性を指摘した。
検察庁法改正案は一般職の国家公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法改正案との束ね法案として衆院で一括審議している。政府・与党は今週中に衆院を通過させ、6月17日までの会期中に成立させる日程を描いていた。
政府は新型コロナウイルスの経済対策を盛り込んだ第2次補正予算案を27日にも閣議決定する。今国会での法案成立を断念した背景には野党の協力を得やすくし、第2次補正予算案の早期成立につなげる狙いもある。
【日本経済新聞 2020/5/18 15:16 (2020/5/19 0:30更新)】
桜を詠んだ歌8
巻18-4074: 桜花今ぞ盛りと人は言へど我れは寂しも君としあらねば
巻18-4077: 我が背子が古き垣内の桜花いまだ含めり一目見に来ね
巻19-4151: 今日のためと思ひて標しあしひきの峰の上の桜かく咲きにけり
巻20-4361: 桜花今盛りなり難波の海押し照る宮に聞こしめすなへ
巻20-4395: 龍田山見つつ越え来し桜花散りか過ぎなむ我が帰るとに
ウェブニュースより
オバマ氏「コロナ対応に指導者欠く」 トランプ氏批判 ―― 【ワシントン】オバマ前米大統領は16日、大学卒業式でのスピーチで新型コロナウイルスを巡るトランプ大統領の対応を念頭に「(政権の)多くの人たちが指導力を発揮するそぶりさえ見せていない」と痛烈に批判した。「社会や民主主義は自分だけでなく、お互いのことを思い合った場合にだけ機能する」とも語り、トランプ政権下で進む米社会の分断に警鐘を鳴らした。
オバマ氏は多くの黒人が通う高等教育機関「歴史的黒人大学」(HBCU)の卒業式で、オンラインを通じてスピーチを行った。歴代大統領が現政権を公然と非難するのは珍しい。オバマ氏は11月の大統領選で、民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領の支持を表明している。
オバマ氏はスピーチで政権の新型コロナに関し「責任ある多くの人たちが分かった上でやっているのだという考えにとうとう完全に終止符を打った」と指摘した。トランプ政権の後手に回る対応を批判した発言だ。
スピーチでは「この世界が良くなるとすればそれはみなさん次第だ」とも強調した。「みなさんが指導力を発揮するときだ」と訴え、若者の力で米社会を変革してほしいとエールを送った。トランプ氏に人種差別と受け取られかねない言動が目立つことを念頭に「皮肉や恐怖に覆われることのないビジョンを持つことを望む」とも語った。
トランプ氏はオバマ氏のスピーチ後に「オバマゲート!」とツイートした。トランプ氏は自身の元側近を訴追するためオバマ氏が政権末期に不正な工作活動をしていた疑いがあると主張。疑惑をニクソン元大統領の辞任につながった「ウォーターゲート事件」になぞらえて「オバマゲート」と繰り返し非難している。16日のツイートはオバマ氏のスピーチに反発する意思を示したものとみられる。 【日本経済新聞 2020/5/17 7:20 (2020/5/17 16:46更新)】
桜を詠んだ歌7
巻17-3967: 山峽に咲ける桜をただ一目君に見せてば何をか思はむ
◎この歌には次のような標題がついています。
巻17-3970: あしひきの山桜花一目だに君とし見てば我れ恋ひめやも
巻17-3973: おおきみの命かしこみあしひきの山野さはらず.......(長歌)
◎この歌の前には、長い標題が述べられています。以下、2つに分けて、その標訓と標訳を記します。
題詞:七言、晩春三日遊覧一首并序
題訓:七言、晩春の三月三日に遊覧せる一首并せて序
標題:上巳名辰、暮春麗景、桃花昭瞼以分紅、柳色含苔而競緑。于時也、携手曠望江河之畔、訪酒迥過野客之家。既而也、琴樽得性、蘭契和光。嗟乎、今日所恨徳星己少欠。若不扣寂含之章、何以摣逍遥野趣。忽課短筆、聊勒四韻云尓、餘春媚日宜怜賞 上巳風光足覧遊 柳陌臨江縟袨服 桃源通海泛仙舟 雲罍酌桂三清湛 羽爵催人九曲流 縦酔陶心忘彼我 酩酊無處不淹留
三月四日、大伴宿禰池主
標訓:上巳の名辰(めいしん)は、暮春の麗景(れいけい)、桃花(とうくわ)瞼を昭(あ)かし以ちて紅(くれなゐ)を分ち、柳は色を含みて苔(こけ)と緑を競う。その時に、手を携へて曠(はる)かに江河の畔を望み、酒を訪(とぶら)ひて迥(はる)かに野客の家を過ぐ。既にして、琴樽(きんそん)の性(さが)を得、蘭契(らんけい)光を和(やわら)ぐ。嗟乎(ああ)、今日、恨むるは徳星己(すで)に少きことか。若(も)し寂(じゃく)を扣(たた)き之の章を含(ふふ)まずは、何を以ちて野を逍遥する趣(こころ)を摣(の)べむ。忽(たちま)ちに短筆に課(おほ)せ、聊(いささ)かに四韻を勒(ろく)し云ふに、餘春の媚日(びじつ)は怜賞(あは)れぶに宜(よろ)しく 上巳(じやうし)の風光は覧遊するに足る。柳陌(りうはく)は江に臨みて袨服(げんふく)を縟(まだらか)にし 桃源は海に通ひて仙舟を泛(うか)ぶ。雲罍(うんらい)に桂(けい)を酌(く)みて三清を湛(たた)へて 羽爵(うしゃく)は人を催(うなが)して九曲に流る。縦酔(しょうすい)に心を陶して彼我(ひが)を忘れて 酩酊し處として淹留(えんりう)せぬなし
三月四日に、大伴宿禰池主
標訳:三月三日の佳日には、暮春の風景は美しく、桃花は瞼を輝かしその紅色を見せ、柳は色を含んで苔とその緑を競う。その時に、友と手を携えて遥かに入り江や川のほとりを眺め、酒を供に遠くの野に住む人の家を行き過ぎる。そして、琴を奏で酒を楽しむことを得、君子の交わりは人の気を和らぐ。ああ、今日の日を怨むことは賢人を最初から欠くことでしょうか。もし、この風景に心を結びて文章としなければ、何をもって野をそぞろ歩く、その趣を顕そう。そこで拙い文才でもって、いささかな四韻の詩をしるし云うには、暮春の媚日は称賛するにふさわしく、 三月三日の風光は遊覧するのに十分だ。堤の柳は入り江に臨んで晴れの姿を美しくし、桃源郷は海に通じて仙人の舟が浮かぶ。雲雷の酒樽に桂の酒を酌んで盃に清酒を湛え、 羽爵の盃は人に酒を勧めて曲水を流れる。酔うままに心は陶酔してすべてを忘れ、 酩酊して一つ所に留まることはない。
三月四日に、大伴宿禰池主。
標題:昨日述短懐、今朝汗耳目。更承賜書、且奉不次。死罪々々。
遺下賎、頻恵徳音。英雲星氣。逸調過人。智水仁山、既韞琳瑯之光彩、潘江陸海、自坐詩書之廊廟。騁思非常、託情有理、七歩成章、數篇満紙。巧遣愁人之重患、能除戀者之積思。山柿謌泉、比此如蔑。彫龍筆海、粲然得看矣。方知僕之有幸也。敬和謌。其詞云
標訓:昨日短懐(たんくわい)を述べ、今朝耳目(じもく)を汗(けが)す。更に賜書(ししょ)を承(うけたまは)り、且、不次(ふじ)を奉る。死罪々々。
下賎を遺(わす)れず、頻(しきり)に徳音を恵む。英雲星氣あり。逸調(いつてう)人に過ぐ。智水仁山は、既に琳瑯(りんらう)の光彩を韞(つつ)み、潘江(はんかう)陸海は、自(おのづ)から詩書の廊廟(ろうべう)に坐す。思(おもひ)を非常に騁(は)せ、情(こころ)を有理に託(よ)せ、七歩章(あや)を成し、數篇紙に満つ。巧みに愁人の重患を遣り、能く戀者(れんしゃ)の積思(せきし)を除く。山柿の謌泉は、此(これ)に比(くら)ぶれば蔑(な)きが如し。彫龍(てうりゅう)の筆海は、粲然(さんぜん)として看るを得たり。方(まさ)に僕が幸(さきはひ)あることを知りぬ。敬みて和(こた)へたる謌。その詞に云ふに、
標訳:昨日、拙い思いを述べ、今朝、貴方のお目を汚します。さらにお手紙を賜り、こうして、拙い便りを差し上げます。死罪々々(漢文慣用句)。
下賤のこの身をお忘れなく頻りにお便りを頂きますが、英才があり優れた気韻があって、格調の高さは群を抜いています。貴方の智と仁とはもはや美玉の輝きを含んでおり、潘岳や陸機の如き貴方の詩文は、おのずから文学の殿堂に入るべきものです。詩想は高く駆けめぐり、心は道理に委ね、たちどころに文章を作り、多くの詩文が紙に満ちることです。愁いをもつ人の心の重い患いを巧みに晴らすことができ、恋する者の積る思いを除くことができます。山柿の歌はこれに比べれば、物の数ではありません。龍を彫るごとき筆は輝かしく目を見るばかりです。まさしく私の幸福を思い知りました。謹んで答える歌。その詞は、
桜を詠んだ歌6
巻11-2617: あしひきの山桜戸を開け置きて我が待つ君を誰れか留むる
巻12-3129: 桜花咲きかも散ると見るまでに誰れかもここに見えて散り行く
巻13-3305: 物思はず道行く行くも青山を振り放け見れば.......(長歌)
巻13-3309: 物思はず道行く行くも青山をふりさけ見れば.......(長歌)
巻16-3786: 春さらばかざしにせむと我が思ひし桜の花は散りにけるかも
◎巻十六の歌は、題詞にあるように伝承された各種の歌を集めて作られた巻です。そこで、この題詞に従って、それぞれの歌がここで取り上げられた「由縁」を想像するのも鑑賞の一つです。
巻16-3787: 妹が名に懸けたる桜花咲かば常にや恋ひむいや年のはに
桜を詠んだ歌5
巻9-1776: 絶等寸の山の峰の上の桜花咲かむ春へは君し偲はむ
※石川君子(いしかわの-きみこ、生没年不詳)
奈良時代の官吏。和銅8 (715) 年、播磨守(はりまのかみ)となり、兵部大輔(たいふ)をへて侍従。「万葉集」に短歌があり、その注によれば、神亀(じんき)年間に大宰少弐(だざいのしょうに)に任官したようです。「播磨国風土記(ふどき)」を編集した可能性のある人物のひとりです。名は吉美侯とも書きます。
※播磨娘子(はりまのおとめ、生没年未詳)
伝未詳。養老四 (720) 年十月頃、播磨国守の任を解かれて帰京する石川君子に贈った惜別の歌二首が万葉集巻九に残ります。播磨国の遊行女婦(うかれめ)かといいます。
巻10-1854: 鴬の木伝ふ梅のうつろへば桜の花の時かたまけぬ
巻10-1855: 桜花時は過ぎねど見る人の恋ふる盛りと今し散るらむ
巻10-1864: あしひきの山の際照らす桜花この春雨に散りゆかむかも
巻10-1866: 雉鳴く高円の辺に桜花散りて流らふ見む人もがも
巻10-1867: 阿保山の桜の花は今日もかも散り乱ふらむ見る人なしに
巻10-1869: 春雨に争ひかねて我が宿の桜の花は咲きそめにけり
巻10-1870: 春雨はいたくな降りそ桜花いまだ見なくに散らまく惜しも
巻10-1872: 見わたせば春日の野辺に霞立ち咲きにほへるは桜花かも
巻10-1887: 春日なる御笠の山に月も出でぬかも佐紀山に咲ける桜の花の見ゆべく
◎旋頭歌(せどうか)
5・7・7・5・7・7の6句形式の歌をいいます。片歌を繰り返した形です。上代に多く、記紀歌謡にみられ、《万葉集》にも60余首がありますが、平安時代になるとほとんど姿を消し、《古今和歌集》《千載和歌集》などに数首あるにすぎません。〈旋頭〉は頭句にかえるの意で、5・7・7の3句を繰り返す詩形の意であろうといいます。
桜を詠んだ歌4
巻9-1747: 白雲の龍田の山の瀧の上の小椋の嶺に咲きををる.......(長歌)
巻9-1748: 我が行きは七日は過ぎじ龍田彦ゆめこの花を風にな散らし
巻9-1749: 白雲の龍田の山を夕暮れにうち越え行けば瀧の上の.......(長歌)
巻9-1750: 暇あらばなづさひ渡り向つ峰の桜の花も折らましものを
巻9-1751: 島山をい行き廻れる川沿ひの岡辺の道ゆ昨日こそ.......(長歌)
巻9-1752: い行き逢ひの坂のふもとに咲きををる桜の花を見せむ子もがも
ウェブニュースより
黒川氏人事、無関係と主張 行革相、検察官の定年延長 ―― 武田良太行政改革担当相は13日の衆院内閣委員会で、検察官の定年延長を含む国家公務員法改正案に関し、今年1月に異例の延長が決まった黒川弘務東京高検検事長(63)の定年問題とは無関係だと主張した。黒川氏の人事と法改正の関連性を問われ「黒川氏のための法改正ではない」と述べた。国民民主党の後藤祐一氏は「後付け」で黒川氏の定年延長を正当化するためだと批判した。
野党は検察幹部の定年延長を巡る武田氏の答弁が不十分だとして内閣委を退席、委員会は休憩となった。与党は週内に衆院を通過させる構えを崩していない。13日の質疑は採決を前提としていないが、与野党攻防が活発化した。
(東京新聞 2020年5月13日 13時01分)
巡業人気者の勝武士さん、土俵下で糖尿発症不戦敗も ―― 大相撲で初めて新型コロナウイルス感染が判明していた東京・江東区の高田川部屋の三段目力士、勝武士(しょうぶし、本名末武清孝=すえたけ・きよたか)さんが13日午前0時半、新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため都内の病院で死去した。28歳だった。
新型コロナ感染での死者は角界初。国内で20代の死亡は年齢が明らかになっている中では初とみられる。28歳の早すぎる死は、ウイルスの恐ろしさを改めて世間に伝える形となった。
◇ ◇ ◇
最高位は三段目11枚目、勝武士さんは持病と付き合いながらの力士人生だった。糖尿病のため、インスリン注射は欠かすことができなかった。16年には取組直前に土俵下の控えで全身が赤らんで手が震え、異例の不戦敗を経験している。糖尿病による低血糖障がいだった。
巡業や花相撲では知られた人気者だった。元気で明るい性格。相撲の所作や禁じ手などを力士2人が面白おかしく実演する「しょっきり」を担当することが多く、ファンを楽しませた。兄弟子で1学年上の前頭竜電とは幼なじみで、山梨・竜王中ではともに柔道部に所属。気心の知れた仲で、付け人を長く務め兄弟子を支えた。
あまりにも早い別れに、周囲も胸を痛めた。竜王中柔道部の恩師、佐々木秀人さん(65)は「ワシより早くいっちゃダメだよ」と、声を震わせながら悲しんだ。中学時代の勝武士さんは稽古熱心で「何事にも一生懸命。体が小さいぶん、人の倍は稽古をしていた」と、170センチに満たない体で奮闘していた教え子を誇る。最後に会ったのは今年の2月だった。山梨県内で行われた竜電の後援会による激励会後に、佐々木さん、竜電、勝武士さんの3人だけで酒を酌み交わした。「そのときも元気だった。そんなにひどい糖尿病ではなかったと聞いていた。本当に残念」と肩を落とした。
09年に現師匠に部屋を譲った先代高田川親方の清水和一さん(75)は、勝武士さんの入門時を知っているだけに「びっくりした。まだ若いのに、考えられない」と驚きを隠せない様子。高田川親方の誘いを受けて入門したため、自身がスカウトした弟子ではなかったが「真面目な子。たまにふざける姿も見せていたけど、仕事に関しては無口で黙々とこなしていた」。丁寧な仕事ぶりを知っていただけに、沈痛な思いを吐露した。
◆勝武士幹士(しょうぶし・かんじ)本名・末武(すえたけ)清孝。1991年(平3)11月4日、山梨・甲府市生まれ。竜王中では柔道部に所属し、中学卒業後に高田川部屋に入門。07年春場所で初土俵を踏んだ。最高位は17年九州場所の東三段目11枚目で、通算79場所で260勝279敗。165センチ、107キロ。得意は突き、押し。 [日刊スポーツ 2020年5月13日21時21分]
桜を詠んだ歌3
巻7-1212: 足代過ぎて糸鹿の山の桜花散らずもあらなむ帰り来るまで
巻8-1425: あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいたく恋ひめやも
巻8-1429: 娘子らがかざしのために風流士の蘰のためと.......
※若宮年魚麻呂(わかみやの-あゆまろ、生没年不詳)
奈良時代の歌人。経歴などは不明。「万葉集」巻3に歌1首をのこすほか、長歌2首、短歌2首の伝誦(でんしょう)者としてその名がしるされています。
巻8-1430: 去年の春逢へりし君に恋ひにてし桜の花は迎へけらしも
巻8-1440: 春雨のしくしく降るに高円の山の桜はいかにかあるらむ
※河邊東人(かわべのあづまひと、生没年不詳)
奈良時代の官吏。宝亀(ほうき)元(770)年石見守(いわみのかみ)となります。「万葉集」巻8に歌1首がおさめられています。
巻8-1456: この花の一節のうちに百種の言ぞ隠れるおほろかにすな
巻8-1457: この花の一節のうちは百種の言持ちかねて折らえけらずや
巻8-1458: やどにある桜の花は今もかも松風早み地に散るらむ
※厚見王(あつみおう、生没年不詳)
奈良時代の官吏。天平勝宝(てんぴょうしょうほう)6年(754)太皇太后藤原宮子の葬儀の御装束司(みそうぞくし)となります。7年伊勢(いせ)大神宮奉幣使(ほうへいし)となりました。「万葉集」に久米女郎(くめの-いらつめ)とのあいだの相聞歌(そうもんか)がみえます。
巻8-1459: 世間も常にしあらねばやどにある桜の花の散れるころかも
※久米女郎(くめのいらつめ、生没年不詳)
奈良時代の女性。万葉集にここにある厚見王との贈答歌があるだけです。
ウェブニュースより
自公、検察定年延長14日にも採決=野党は修正案、徹底抗戦へ ―― 検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案について、自民、公明両党は12日の衆院内閣委員会理事懇談会で、13日の採決を提案した。立憲民主党など野党共同会派が拒否したため見送る方向だが、14日にも採決に踏み切り、週内に衆院を通過させる方針。野党は徹底抗戦の構えで、検察幹部の留任を特例的に可能とする条項を削除する修正案を提示した。
衆院内閣委は12日の理事懇談会で、13日は同法改正案の質疑を行い、採決については協議を続けることで折り合った。与党は14日に同委で、15日に衆院本会議で採決、参院に送付する日程を描く。週内の衆院通過を明言している自民党の森山裕国対委員長は記者団に「スケジュール感に変わりはない」と強調した。
同法改正案は、検察官の定年を63歳から65歳に段階的に引き上げる内容。63歳に達した検察幹部がポストから退く「役職定年」を設ける一方、「内閣が定める事由」がある場合、最大3年間、留任させることが可能となる。検察人事への恣意(しい)的な介入につながりかねないとして、野党は反対している。 (05/12 18:50 時事通信社)
桜を詠んだ歌2
巻6-0971: 白雲の龍田の山の露霜に色づく時にうち越えて.......(長歌)
※高橋虫麻呂(たかはしの-むしまろ、生没年不詳)
奈良前期の官人・歌人。藤原宇合(うまかい)の下僚と思われます。「高橋虫麻呂歌集」があり、伝説に取材した歌が多く万葉集に収められています。一説に「常陸風土記」の撰に関与したといわれています。
巻6-1047: やすみしし我が大君の高敷かす大和の国は.......(長歌)
※田辺福麻呂(さきまろ)
奈良時代の万葉歌人。下級官吏として世を終えたらしい。『万葉集』によると,天平 20 (748)年造酒司 (みきのつかさ) 令史で,左大臣橘諸兄(もろえ)の使いとして越中国におもむき、国守大伴家持らと遊宴し作歌しています。そのほか同12年頃から同16年頃にかけて、恭仁京、難波京に往来して作歌し、また東国での作もあります。『万葉集』に「田辺福麻呂之歌集所出歌」を含めて長歌10首、短歌34首を残しています。長歌の多いこと、主題、素材、表現に先行歌人の影響の著しいことが特色で、柿本人麻呂、山部赤人の流れをくむ宮廷歌人とみる説もあります。
ウェブニュースより
持ち帰り弁当など半額補助 名産牛ステーキも 兵庫・丹波篠山市 ―― 新型コロナウイルス感染拡大を受け、市民が弁当などの持ち帰り食品を購入する場合に半額を補助する丹波篠山市の「丹波篠山半額グルメ」が20日から始まった。食品の販売を促進することで、消費者と事業者双方を支援する。約50店の参加を見込んでおり、実施は7月末まで。
同市黒岡の飲食店と特産品などを扱うJA丹波ささやま直営店「特産館ささやま」(熊谷美鈴館長)ではこの日から看板メニューの「丹波篠山牛ステーキ弁当」(5000円)などが半額となり、さっそく来店客が買い求めていた。
半額グルメに参加するのは、本店が同市にあり丹波篠山観光協会会員か丹波篠山市飲食業組合員、市商工会会員などの店。市民が3000円以上の持ち帰り食品を購入した場合、半額になり、差額を市が事業者に補助する。1回の買い物の補助限度額は3万円。
熊谷館長は「団体客のキャンセルなど例年の今ごろに比べて70%ぐらい落ちている厳しい状況。半額グルメの事業はありがたい。この機会に市民の皆さんに丹波篠山牛のおいしさを改めて知ってもらう機会になれば」と期待を示した。
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また、同市は17日から、市役所の市民課窓口などで遮蔽(しゃへい)板の設置を始め、順次各支所などへも設置する予定という。
丹波市は、21日から予定していた「かいばら1番館」(同市柏原町柏原)のオープンを5月7日に延期した。同施設は観光客や地域住民、高校生の休息所や自習などのスペースとして活用される予定。 [毎日新聞2020年4月21日 12時00分(最終更新 4月21日 12時00分)]
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