瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
陰陽家(おんようか)は諸子百家の一つで、六家の一つに数えられる思想集団である。世界の万物の生成と変化は陰と陽の二種類に分類されると言う陰陽思想を説いた。代表的な思想家として騶衍(すうえん。鄒衍と表記する場合もある)や、公孫発などが挙げられる。後、戦国時代末期に五行思想と一体となった陰陽五行思想として東アジア文化圏に広まった。陰陽家の思想は主に2つある。
1 「陰陽説」: 世界は「陰」と「陽」、「男」と「女」、「天」と「地」のように、2つのものに分かれ、それらがうまく混じりあって万物が「調和」しているのだ、という考え。
2 「五行説」: 陰と陽から「木」「火」「土」「金」「水」の五つの要素がうまれ、またその5つの要素から万物が生まれていくという考え。
これら2つを総称して「陰陽五行説」と呼ぶ。
史記 孟子・荀卿列伝 第十四 より
齊有三騶子。其前騶忌、以鼓琴干威王、因及國政、封為成侯而受相印、先孟子。其次騶衍、后孟子。騶衍睹有國者益淫侈、不能尚德、若大雅整之於身、施及黎庶矣。乃深觀陰陽消息而作怪迂之變、終始、大圣之篇十餘萬言。其語閎大不經、必先驗小物、推而大之、至於無垠。先序今以上至黃帝、學者所共術、大并世盛衰、因載其禨祥度制、推而遠之、至天地未生、窈冥不可考而原也。先列中國名山大川、通谷禽獸、水土所殖、物類所珍、因而推之、及海外人之所不能睹。稱引天地剖判以來、五德轉移、治各有宜、而符應若茲。以為儒者所謂中國者、於天下乃八十一分居其一分耳。中國名曰赤縣神州。赤縣神州內自有九州、禹之序九州是也、不得為州數。中國外如赤縣神州者九、乃所謂九州也。於是有裨海環之、人民禽獸莫能相通者、如一區中者、乃為一州。如此者九、乃有大瀛海環其外、天地之際焉。其術皆此類也。然要其歸、必止乎仁義節儉、君臣上下六親之施、始也濫耳。王公大人初見其術、懼然顧化、其后不能行之。
〈訳〉
斉に三騶子がいた。最初の騶忌〈すうき〉は琴を弾くのがうまいという理由で、威王に仕官を求め、それをきっかけにして国政にあずかり、封ぜられて成侯となり、宰相の印綬を受けた。時代は孟子より先である。
その次の騶衍(すうえん)は時代は孟子より後である。騶衍は、当時の君主がますます淫逸奢侈に走り、徳をたっとぶ点において、『詩経』の大雅篇にうたわれている君主(周の文王・武王)が、まず道によって身を整えてから、次第に庶民に及ぼしたようにはできないのを見て取って、陰陽の消長変化を深く観察し、「怪迂の篇」「終始大聖の篇」(騶衍の書は伝わっていないが、おそらくその篇名)など、十余万字の書を著した。その説は広遠雄大で常法を無視し、必ずまず小さな事物を検討してある結論を引き出し、それを基に推論して、拡大し、ついには無限大のことまで論及している。たとえば、時についての考察においては、まず現代(戦国時代)を述べてから遡って黄帝にいたるまでを述べているが、それは学者たちが共通して述べているところで、大抵は世の盛衰を論じたものである。これに関連して、吉凶の兆や法令制度を記し、さらに推論して拡大し、天地がまだ生じない前の幽遠で根源を考究できない時代にまで至っている。物についての考察においては、まず中国の大山・大川・大谷や禽獣その他水陸に繁殖するところのもの、珍奇な物類を列挙し、それらから推論して、人々が見ることのできない海外の物に及び、天地が別れて以来、五行(木火金水土)の徳が順次に転移するに随って、宜しきを得た治世がそれぞれ成立し、吉凶が応報すると論じている。その説に言う。
「儒者のいわゆる中国は、全天下においては八十一分の一にすぎない。中国を名付けて赤県神州という。この赤県神州の内に、おのずから九州がある。禹が整理した九州がこれで、これは州の数には入らない。中国の外に赤県神州と同様のものが九つあって、これがいわゆる九州である。小海があって九州の一つ一つを取り巻いており、人民禽獣は互いに交流することが出来ず、それぞれ一つの区域を形成しているわけで、それが一州である。そのような大きな州が九つあって、大海がその外を取り巻いている。これが天地の際限である」
騶衍の述べるところは、みなこの類である。しかし、その帰するところを要約すれば、必ず仁義・節倹を強調しているのであって、君臣・上下・六親(父母兄弟妻子)の間に施し行うべき道である。ただ、始めが虚誕でつかみどころがないだけである。王侯・貴人ははじめてその説に接すると、驚いてひきつけられるが、その後、実行することは出来なかった。
1 「陰陽説」: 世界は「陰」と「陽」、「男」と「女」、「天」と「地」のように、2つのものに分かれ、それらがうまく混じりあって万物が「調和」しているのだ、という考え。
2 「五行説」: 陰と陽から「木」「火」「土」「金」「水」の五つの要素がうまれ、またその5つの要素から万物が生まれていくという考え。
これら2つを総称して「陰陽五行説」と呼ぶ。
史記 孟子・荀卿列伝 第十四 より
齊有三騶子。其前騶忌、以鼓琴干威王、因及國政、封為成侯而受相印、先孟子。其次騶衍、后孟子。騶衍睹有國者益淫侈、不能尚德、若大雅整之於身、施及黎庶矣。乃深觀陰陽消息而作怪迂之變、終始、大圣之篇十餘萬言。其語閎大不經、必先驗小物、推而大之、至於無垠。先序今以上至黃帝、學者所共術、大并世盛衰、因載其禨祥度制、推而遠之、至天地未生、窈冥不可考而原也。先列中國名山大川、通谷禽獸、水土所殖、物類所珍、因而推之、及海外人之所不能睹。稱引天地剖判以來、五德轉移、治各有宜、而符應若茲。以為儒者所謂中國者、於天下乃八十一分居其一分耳。中國名曰赤縣神州。赤縣神州內自有九州、禹之序九州是也、不得為州數。中國外如赤縣神州者九、乃所謂九州也。於是有裨海環之、人民禽獸莫能相通者、如一區中者、乃為一州。如此者九、乃有大瀛海環其外、天地之際焉。其術皆此類也。然要其歸、必止乎仁義節儉、君臣上下六親之施、始也濫耳。王公大人初見其術、懼然顧化、其后不能行之。
〈訳〉
斉に三騶子がいた。最初の騶忌〈すうき〉は琴を弾くのがうまいという理由で、威王に仕官を求め、それをきっかけにして国政にあずかり、封ぜられて成侯となり、宰相の印綬を受けた。時代は孟子より先である。
その次の騶衍(すうえん)は時代は孟子より後である。騶衍は、当時の君主がますます淫逸奢侈に走り、徳をたっとぶ点において、『詩経』の大雅篇にうたわれている君主(周の文王・武王)が、まず道によって身を整えてから、次第に庶民に及ぼしたようにはできないのを見て取って、陰陽の消長変化を深く観察し、「怪迂の篇」「終始大聖の篇」(騶衍の書は伝わっていないが、おそらくその篇名)など、十余万字の書を著した。その説は広遠雄大で常法を無視し、必ずまず小さな事物を検討してある結論を引き出し、それを基に推論して、拡大し、ついには無限大のことまで論及している。たとえば、時についての考察においては、まず現代(戦国時代)を述べてから遡って黄帝にいたるまでを述べているが、それは学者たちが共通して述べているところで、大抵は世の盛衰を論じたものである。これに関連して、吉凶の兆や法令制度を記し、さらに推論して拡大し、天地がまだ生じない前の幽遠で根源を考究できない時代にまで至っている。物についての考察においては、まず中国の大山・大川・大谷や禽獣その他水陸に繁殖するところのもの、珍奇な物類を列挙し、それらから推論して、人々が見ることのできない海外の物に及び、天地が別れて以来、五行(木火金水土)の徳が順次に転移するに随って、宜しきを得た治世がそれぞれ成立し、吉凶が応報すると論じている。その説に言う。
「儒者のいわゆる中国は、全天下においては八十一分の一にすぎない。中国を名付けて赤県神州という。この赤県神州の内に、おのずから九州がある。禹が整理した九州がこれで、これは州の数には入らない。中国の外に赤県神州と同様のものが九つあって、これがいわゆる九州である。小海があって九州の一つ一つを取り巻いており、人民禽獣は互いに交流することが出来ず、それぞれ一つの区域を形成しているわけで、それが一州である。そのような大きな州が九つあって、大海がその外を取り巻いている。これが天地の際限である」
騶衍の述べるところは、みなこの類である。しかし、その帰するところを要約すれば、必ず仁義・節倹を強調しているのであって、君臣・上下・六親(父母兄弟妻子)の間に施し行うべき道である。ただ、始めが虚誕でつかみどころがないだけである。王侯・貴人ははじめてその説に接すると、驚いてひきつけられるが、その後、実行することは出来なかった。
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