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福岡市在住のDr.HNが、Facebookに舞鶴公園の藤の花を撮影して投稿していました。曰く、
 
今年の藤の花もすばらしかった。いま舞鶴公園の一角で満開です。外国人も含めて多数の見物客で賑わっていました。
  
かんざしの蝶ちらつくや藤の花  正岡子規


 
この(淺草)の近くの藤の名所と言えば、亀戸天神です。江戸時代から、「亀戸の五尺藤」、「亀戸の藤浪」として多くの人に愛され続けてきたそうです。

 
今では15100株の藤が咲く、東京一の藤の名所ともいわれています。今の時季境内では藤まつりが行われているはずです。かつては、我が家から歩いて朝の散歩に出かけたものですが、今はままならず残念です。


藤の花房は、風が吹くと美しさが増します。その風にのって、藤の甘い香りが狭い境内のアチコチに広がっていきます。藤は開花すると、藤棚は紫色に変わります。紫色の藤棚の下には心字池が広がり、赤い太鼓橋が池に架かる。このコントラストがとてもキレイでした。


太鼓橋の上からは、一面の藤棚を独り占めすることもでき、橋の上には東京スカイツリーが間近かに見えるので、藤棚とスカイツリーツリーのコラボレーションも楽しめます。



 藤はマメ科フジ属に属する「つる性植物」で日本にはフジ(ノダフジ)とヤマフジが分布します。フジは本州・四国・九州に分布し、ヤマフジは本州の近畿以西・四国・九州に分布します。西日本には両方が普通に分布しますが、万葉の頃には両者を区別していなかったようです。両者の区別は意外に簡単で、フジのツルは右巻き、ヤマフジのツルは左巻きです。

 
フジはまた、そのしなやかさを利用して、繊維として利用されてきました。フジが繊維として利用されていたという記述は古事記にも見られます。

 
樹皮をむき、灰汁で煮たものを裂いて、糸にしていたようです。その糸で織った衣は大変丈夫で、ノイバラの藪に入っても破れず、また水にも強いので江戸時代まで仕事着として用いられていました。また、藤衣は平安時代の貴族の間では喪服として利用されました。このように、衣類としては粗末なもの、忌むべきものとされてきました。
 
一方で、フジは二面的な意味を持つ植物であり、花が垂れ下がった稲穂を連想させることから豊作を予兆する木として、非常に神聖なものと考えられていました。またフジの花は神を招く依代(よりしろ)であったともいわれています。神職であった中臣氏が、大化の改新後に藤原氏と名乗るのもフジの神聖性にちなむものであったようです。
 
フジは文様や意匠として古くから用いられています。例えば京の三大祭りの1つである葵祭の牛車の飾りはフジですし、小袖の文様や陶器、蒔絵など様々な場所に用いられています。

 
また、家紋としても藤のつく名字の家紋として、良く用いられています。例えば加藤性には下り藤・丸に下り藤・上り藤が多く、佐藤性には下り藤や丸に下り藤の家紋が良く用いられています。


 
 万葉集ではフジを詠んだ歌は26首あります。サクラの46首と比べても見劣りしない数です。万葉の人々にとって、フジはサクラと並んで春の息吹を感じる花として、なじみの深いものだったのでしょう。


 


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目高 拙痴无
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1932/02/04
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