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5b477e16.jpeg  「清少納言智恵の板」のターゲット読者だが、「是を閲するに幼稚の児女智の浅深によって万物の形を自然にこしらへもろもろの器の図はからずも作り出すこと」というくだりから、どうも女子供向けということが窺われる。これを裏付けるのが、ボストン美術館蔵、喜多川歌麿(1753~1806年)の「角玉屋内誰袖 きくの しめの」に描かれている智恵の板だ。
bd27a472.jpeg この『清少納言智恵の板』の本の中には42題の問題と解答を載せている。この知恵の板は7片からなっていて、左図に示すように正方形を作るのに2つの組み方が可能である。

f90a010c.jpeg 「清少納言の本に、智恵の板を描いた巻があり、その図に倣って当世風の並べ図を考案した……云々」といっているが、これはおそらく、戯作者風の創作であろう。「清少納言智恵の板」の特色として、「釘貫(くぎぬき)」という題で左図のように真ん中が中空の正方形が出題されていることで、アメリカのパズル研究家Martin Gardner (マーチン・ガードナー、1914~2010年)が絶賛をしている。
 
69d5ef8a.jpeg この知恵板はその後結構流行ったようで、中田高寛(なかたたかひろ、1739~1802年、富山藩士、和算家)が安永(1772 ~1780年)のころに『並物 一百十余品』(写本)を著しているほか、天保8(1836)年にも『江戸ちえかた』というパターン集(306題収録)が出ている。
 http://www.chronos.co.jp/kenno/edo-chiekata.cgi
 
 その後、明治時代が近くなるまで「清少納言智恵の板」は楽しまれていたようだが、さらに明治時代にも続いたようだ。樋口一葉の「たけくらべ(明治28《1895》年刊)」にも登場するからである。
※『たけくらべ』の「五」に、次のような件(くだり)がある。
あゝ面白くない、おもしろくない、彼の人が來なければ幻燈をはじめるのも嫌、伯母さん此處の家に智惠の板は賣りませぬか、十六武藏でも何でもよい、手が暇で困ると美登利の淋しがれば、夫れよと即坐に鋏を借りて女子づれは切拔きにかゝる
 
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