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【棋王戦】藤井聡太竜王が渡辺明棋王に先勝、史上最年少6冠へ好発進 メリハリ指し手さらに洗練 ―― 藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が渡辺明棋王(38)に挑戦する、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第1局が5日、長野市「長野ホテル犀北館」で行われた。
午前9時から始まった対局は、午後7時1分、125手で先手の藤井が勝ち、初の棋王奪取と史上最年少6冠に向け、好発進した。第2局は18日、金沢市「北國新聞会館」で行われる。
藤井が攻めかかった。鋭く着実に、自玉の安全も確認しながら寄せの構図を描く。過去12勝2敗と分がいい渡辺との約1年ぶりの対局で、しっかり先勝した。
角換わり腰掛け銀から開始1時間すぎには、66手も進むハイペース。お互いの研究手順から離れると一転、時間を使いながらの長考となった。正午の昼食休憩時、持ち時間4時間のうち渡辺がわずか21分使ったのに対し、藤井は1時間55分。約半分を使っていた。「こちらの玉も危険な形。リスクもあるが速い攻めが必要な局面でした」。
中盤は時間を使いながら優勢を築き、終盤の直線勝負で踏み込んだ。「しっかり考える時間と、決断良く指すのと、その見極めが必要」。前日会見で話した通りの戦い方を披露した。
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時間の配分と決断の良さは、昨年からの早指し戦の好成績に現れている。銀河戦は2連覇し、JT杯日本シリーズは初優勝。朝日杯は2年ぶりのベスト4、NHK杯は初のベスト4にそれぞれ勝ち残っている。メリハリをつけた指し手は、昨年6~7月の棋聖戦以来の1日制5番勝負でも、さらに洗練されていた。
本年度、これで先手番は23連勝。1日のA級順位戦8回戦では永瀬拓矢王座(30)に敗れたが、初の連敗も食い止めた。
今月からは初防衛を目指す2日制7番勝負の王将戦と、タイトル戦をかけ持ちする。棋王戦第2局は、王将戦第3局を制したのと同じ金沢だ。「よいスタートが切れたし、次局もしっかり準備して精いっぱい頑張りたいです」。長丁場と短期決戦、うまく使い分けて6冠を目指す。
◆棋王戦 将棋の8大タイトル戦の1つ。序列は竜王、名人、王位、叡王、王座に次いで6番目(以下王将、棋聖)。全棋士と女流棋士、アマ名人が参加できる。予選トーナメントの通過者と、シード者で本戦トーナメントを行い挑戦者を決める。本戦ベスト4以上は棋王戦独自の「2敗失格制」というルールで、敗者復活戦がある。挑戦者決定戦は変則2番勝負。勝者組優勝者は2局のうち1回勝てば挑戦権を得られるが、敗者復活戦優勝者は連勝が条件となる。5番勝負は例年2~3月に開催。1990年(平2)の第15期では南芳一棋聖(当時)に3連敗したが、故大山康晴十五世名人が66歳11カ月の史上最年長で挑戦している。 [日刊スポーツ 2023年2月5日19時8分]
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