瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
宝塚市在住のKA氏より、久し振りに封書が届いた。曰く、
前略 先日、YK兄から大谷美術館で開かれたトラモンティ展絵葉書の便りを頂きました。
文面があまりにも懐かしく感じられましたので、当方の写真とともに、KD兄の奥様から愚妻宛に送られてきた四月二四日・読売新聞地方版の切り抜きも同封しました。
当方のチューリップは「母ちゃんに感謝する会」で、毎年YO兄の主催でSO・HS・JT・KD各兄が送ってくれるものです。二ヶ月間ほど、この綺麗な花が友情の証かのように思え、慰められております。楽しみの一助となればと送らせて頂きました。電話で友と話す時は、いつも「ここまで生きているはなぁ…」と、一日一日が未知の世界散歩を、喜びともつかぬ不可思議とも感じる口調で喋り合っております。ただ私達が戦時・終戦ならびに一時の繁栄の積み重ねの歩みを、一つでも現在の人達に反映することが出来ず、残念の極みに思えてなりません。この様に思える事こそ、年寄の為せる業でしょうかね。
変動の激しい、おかしな季節ですが、方々体調に留意されますことを念じております。
最後になりましたが奥様によろしくお伝え下さい。
これと同じものをYK兄にも送っておきました。
平成二四年五月一五日 KS
日高節夫 学兄
東坡志林 巻三 記先夫人不殘鳥雀
吾昔少年時、所居書室前、有竹、柏、桃、雜花、叢生滿庭、眾鳥巢其上。武陽君惡殺生、兒童婢僕、皆不得捕取鳥雀。數年間、皆巢於低枝、其鷇可俯而窺也。又有桐花鳳四五、日翔集其間、此鳥羽毛至為珍異難見、而能馴擾、殊不畏人。閭里間見之、以為異事。此無他、不忮之誠、信於異類也。有野老言、「鳥雀巢去人太遠、則其子有蛇、鼠、狐、貍、鴟、鳶之憂;人既不殺、則自近人者、欲免此患也。」由是觀之、異時鳥雀巢不敢近人者、以人為甚於蛇、鼠之類也。「苛政猛於虎」、信哉!
〔訳〕《鳥と人》私がむかし子供の頃に使っていた書斎の前には竹柏(なぎ)などのいろんな花が庭にいっぱい植わっていて、鳥が沢山その上に巣くっていた。しかし武陽公(蘇軾の父蘇洵の諡号)が殺生を忌まれたので、子供も召使たちも鳥を捕ることができなかった。そのため数年の間に、鳥たちはみな低い枝に巣を作って、その雛をのぞき見ることさえ出来た。また桐の花には鳳凰が四、五羽、毎日飛んできてとまった。鳳凰の羽毛(はね)は非常に珍しくてなかなか見られないのである。ところがこれはよくなれて、少しも人を畏れなかったので、郷里の人々は時々見に来て、珍しいことだといった。これはほかでもない。決して害を与えないというこちらのまごころが異類にしんじられたからである。
「小鳥は人からあまり遠くに離れていると、その子を蛇や鼠や狐や狸や鷹やとんびなどに取られる心配がある。だから人間が殺しさえしなければ、そうした被害を免れるために、自然に人に近づいてくるものだ」
というのを聞いたことがある。してみると、鳥が人の近くに巣を作ろうとしないのは、人が蛇や鼠などよりもこわいと考えているからであろう。「苛政は虎より猛し」というが、たしかにそのとおりである。
※中国からの伝えでは、鳳凰は桐の木に棲み、竹の実を食べたとのことから桐と竹、想像上の瑞鳥である鳳凰(ほうおう)を組み合わせた文様がつくられている。鳳凰は想像上の霊鳥とされる。
前略 先日、YK兄から大谷美術館で開かれたトラモンティ展絵葉書の便りを頂きました。
文面があまりにも懐かしく感じられましたので、当方の写真とともに、KD兄の奥様から愚妻宛に送られてきた四月二四日・読売新聞地方版の切り抜きも同封しました。
当方のチューリップは「母ちゃんに感謝する会」で、毎年YO兄の主催でSO・HS・JT・KD各兄が送ってくれるものです。二ヶ月間ほど、この綺麗な花が友情の証かのように思え、慰められております。楽しみの一助となればと送らせて頂きました。電話で友と話す時は、いつも「ここまで生きているはなぁ…」と、一日一日が未知の世界散歩を、喜びともつかぬ不可思議とも感じる口調で喋り合っております。ただ私達が戦時・終戦ならびに一時の繁栄の積み重ねの歩みを、一つでも現在の人達に反映することが出来ず、残念の極みに思えてなりません。この様に思える事こそ、年寄の為せる業でしょうかね。
変動の激しい、おかしな季節ですが、方々体調に留意されますことを念じております。
最後になりましたが奥様によろしくお伝え下さい。
これと同じものをYK兄にも送っておきました。
平成二四年五月一五日 KS
日高節夫 学兄
東坡志林 巻三 記先夫人不殘鳥雀
吾昔少年時、所居書室前、有竹、柏、桃、雜花、叢生滿庭、眾鳥巢其上。武陽君惡殺生、兒童婢僕、皆不得捕取鳥雀。數年間、皆巢於低枝、其鷇可俯而窺也。又有桐花鳳四五、日翔集其間、此鳥羽毛至為珍異難見、而能馴擾、殊不畏人。閭里間見之、以為異事。此無他、不忮之誠、信於異類也。有野老言、「鳥雀巢去人太遠、則其子有蛇、鼠、狐、貍、鴟、鳶之憂;人既不殺、則自近人者、欲免此患也。」由是觀之、異時鳥雀巢不敢近人者、以人為甚於蛇、鼠之類也。「苛政猛於虎」、信哉!
〔訳〕《鳥と人》私がむかし子供の頃に使っていた書斎の前には竹柏(なぎ)などのいろんな花が庭にいっぱい植わっていて、鳥が沢山その上に巣くっていた。しかし武陽公(蘇軾の父蘇洵の諡号)が殺生を忌まれたので、子供も召使たちも鳥を捕ることができなかった。そのため数年の間に、鳥たちはみな低い枝に巣を作って、その雛をのぞき見ることさえ出来た。また桐の花には鳳凰が四、五羽、毎日飛んできてとまった。鳳凰の羽毛(はね)は非常に珍しくてなかなか見られないのである。ところがこれはよくなれて、少しも人を畏れなかったので、郷里の人々は時々見に来て、珍しいことだといった。これはほかでもない。決して害を与えないというこちらのまごころが異類にしんじられたからである。
「小鳥は人からあまり遠くに離れていると、その子を蛇や鼠や狐や狸や鷹やとんびなどに取られる心配がある。だから人間が殺しさえしなければ、そうした被害を免れるために、自然に人に近づいてくるものだ」
というのを聞いたことがある。してみると、鳥が人の近くに巣を作ろうとしないのは、人が蛇や鼠などよりもこわいと考えているからであろう。「苛政は虎より猛し」というが、たしかにそのとおりである。
※中国からの伝えでは、鳳凰は桐の木に棲み、竹の実を食べたとのことから桐と竹、想像上の瑞鳥である鳳凰(ほうおう)を組み合わせた文様がつくられている。鳳凰は想像上の霊鳥とされる。
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プロフィール
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目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
sechin@nethome.ne.jp です。
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