瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
抱卜子 外篇 第三十八 博喩
11.抱樸子曰:否終則承之以泰,晦極則清輝晨耀。是以垂耳吳阪者,騁千裏之逸軌;縈鱗九淵者,淩虹霓以高蹈。
行き詰まった時代が終れば、その次には運の開ける時世が来る。夜の闇が極まれば、そのあと夜明けの清々しい光がかがやく。
だから呉の坂道には耳をたれて塩を運ぶ車を引いて名馬も、いつかは千里をの足を飛ばす時が来る。底なしの淵の底にじっと蟠っていた龍も、いつかは虹を越えて天に昇る時が来る。
戦国策 楚(四) 汗明見春申君(塩車の憾み)
汗明見春申君,候問三月,而後得見。談卒,春申君大說之。汗明欲復談,春申君曰:“僕已知先生,先生大息矣。”汗明憱焉曰:“明願有問君而恐固。不審君之聖,孰與堯也?”春申君曰:“先生過矣,臣何足以當堯?”汗明曰:“然則君料臣孰與舜?”春申君曰:“先生即舜也。”汗明曰:“不然,臣請為君終言之。君之賢實不如堯,臣之能不及舜。夫以賢舜事聖堯,三年而後乃相知也。今君一時而知臣,是君聖於堯而臣賢於舜也。”春申君
曰:“善。”召門吏為汗先生著客籍,五日一見。汗明曰:“君亦聞驥乎?夫驥之齒至矣,服鹽車而上太行。蹄申膝折,尾湛胕潰,漉汁灑地,白汗交流,中阪遷延,負轅不能上。伯樂遭之,下車攀而哭之,解紵衣以冪之。驥於是俛而噴,仰而鳴,聲達於天,若出金石聲者,何也?彼見伯樂之知己也。今僕之不肖,阨於州部,堀穴窮巷,沈洿鄙俗之日久矣,君獨無意湔拔僕也,使得為君高鳴屈於梁乎?”
汗明(説客)が春申君(黄羯、楚の相)に見(まみ)えようとした。起源伺いをすること三ヶ月、やっとまみえることが出来た。説き終えると、春申君は大いに悦んだ。そこで、汗明がさらに談じようとすると、春申君が言うには、
「僕(わし)には先生という方が分った。ゆっくり休息されるがよい」
すると、汗明が浮かぬ顔をして言った。
「君にお伺いしたいのですけれども、固陋(ころう)のため、君のご聖徳が尭に比べて如何かを弁えぬのではないか、ときぐいたします」
春申君が、 「とんでもない、臣如きがなんで尭にくらべられよう」というと、汗明が言った。
「では、君は、臣と舜とではどう思し召します?」
春申君は言った。「先生は、即ち舜だ」 そこで汗明が言うよう、
「どういたしまして。君のために、あけすけに申し上げさせていただきましょう。君のご賢徳は、事実尭に置かないになりませんし、臣の才能は舜に及びは致しません。そもそも賢人の舜が聖人の尭に仕えてさえ、三年か買ってやっと理解されたのでございます。いま、君は一度で臣をお判りになりました。これでは、君は尭よりも聖人、臣は舜よりも賢人ということになりましょう」
春申君は、「なるほど」といい、門下の吏を召し寄せて、汗先生のために、賓客の籍に入れ、五日目毎に見(まみ)えるよう、取り計らわせるのであった。さて、汗明が言うには、
「君にも、かの駿馬のことをお聞き及びでございましょう? かの駿馬は適齢に達しておりました。それが塩車を挽いて太行山脈を登らされ、蹄は延び、膝は曲がり、尾は垂れ、足はつぶれ、流れる汗は地に滴り、白い飛沫をさえ交え、坂半ばにしてよろめき退(すさ)り、轅を負うたまま登れなくなってしまったのでございます。伯楽がこれに往き遇い、車を降り、縋り付いて慟哭し、麻の衣を脱いで覆いかけてやりました。すると、駿馬が、俯いて鼻を鳴らし、仰いでは嘶き、声天に達し、さながら金石から発する声の如くであったのは、何故でございましょう? 伯楽が自分を理解してくれた、と知ったからでございます。いま、僕(それがし)は不肖世の片隅に喘ぎ、陋巷にわび住いして、鄙俗(ひぞく)に沈湎(ちんめん)すること日久しいものがございます。君こそは僕(それがし)を祓い清めて、魏に苦しんでいたこの義憤を、君のために高らかに嘶かせてやろう、とは思し召しませぬか?」
11.抱樸子曰:否終則承之以泰,晦極則清輝晨耀。是以垂耳吳阪者,騁千裏之逸軌;縈鱗九淵者,淩虹霓以高蹈。
行き詰まった時代が終れば、その次には運の開ける時世が来る。夜の闇が極まれば、そのあと夜明けの清々しい光がかがやく。
だから呉の坂道には耳をたれて塩を運ぶ車を引いて名馬も、いつかは千里をの足を飛ばす時が来る。底なしの淵の底にじっと蟠っていた龍も、いつかは虹を越えて天に昇る時が来る。
戦国策 楚(四) 汗明見春申君(塩車の憾み)
汗明見春申君,候問三月,而後得見。談卒,春申君大說之。汗明欲復談,春申君曰:“僕已知先生,先生大息矣。”汗明憱焉曰:“明願有問君而恐固。不審君之聖,孰與堯也?”春申君曰:“先生過矣,臣何足以當堯?”汗明曰:“然則君料臣孰與舜?”春申君曰:“先生即舜也。”汗明曰:“不然,臣請為君終言之。君之賢實不如堯,臣之能不及舜。夫以賢舜事聖堯,三年而後乃相知也。今君一時而知臣,是君聖於堯而臣賢於舜也。”春申君
曰:“善。”召門吏為汗先生著客籍,五日一見。汗明曰:“君亦聞驥乎?夫驥之齒至矣,服鹽車而上太行。蹄申膝折,尾湛胕潰,漉汁灑地,白汗交流,中阪遷延,負轅不能上。伯樂遭之,下車攀而哭之,解紵衣以冪之。驥於是俛而噴,仰而鳴,聲達於天,若出金石聲者,何也?彼見伯樂之知己也。今僕之不肖,阨於州部,堀穴窮巷,沈洿鄙俗之日久矣,君獨無意湔拔僕也,使得為君高鳴屈於梁乎?”
汗明(説客)が春申君(黄羯、楚の相)に見(まみ)えようとした。起源伺いをすること三ヶ月、やっとまみえることが出来た。説き終えると、春申君は大いに悦んだ。そこで、汗明がさらに談じようとすると、春申君が言うには、
「僕(わし)には先生という方が分った。ゆっくり休息されるがよい」
すると、汗明が浮かぬ顔をして言った。
「君にお伺いしたいのですけれども、固陋(ころう)のため、君のご聖徳が尭に比べて如何かを弁えぬのではないか、ときぐいたします」
春申君が、 「とんでもない、臣如きがなんで尭にくらべられよう」というと、汗明が言った。
「では、君は、臣と舜とではどう思し召します?」
春申君は言った。「先生は、即ち舜だ」 そこで汗明が言うよう、
「どういたしまして。君のために、あけすけに申し上げさせていただきましょう。君のご賢徳は、事実尭に置かないになりませんし、臣の才能は舜に及びは致しません。そもそも賢人の舜が聖人の尭に仕えてさえ、三年か買ってやっと理解されたのでございます。いま、君は一度で臣をお判りになりました。これでは、君は尭よりも聖人、臣は舜よりも賢人ということになりましょう」
春申君は、「なるほど」といい、門下の吏を召し寄せて、汗先生のために、賓客の籍に入れ、五日目毎に見(まみ)えるよう、取り計らわせるのであった。さて、汗明が言うには、
「君にも、かの駿馬のことをお聞き及びでございましょう? かの駿馬は適齢に達しておりました。それが塩車を挽いて太行山脈を登らされ、蹄は延び、膝は曲がり、尾は垂れ、足はつぶれ、流れる汗は地に滴り、白い飛沫をさえ交え、坂半ばにしてよろめき退(すさ)り、轅を負うたまま登れなくなってしまったのでございます。伯楽がこれに往き遇い、車を降り、縋り付いて慟哭し、麻の衣を脱いで覆いかけてやりました。すると、駿馬が、俯いて鼻を鳴らし、仰いでは嘶き、声天に達し、さながら金石から発する声の如くであったのは、何故でございましょう? 伯楽が自分を理解してくれた、と知ったからでございます。いま、僕(それがし)は不肖世の片隅に喘ぎ、陋巷にわび住いして、鄙俗(ひぞく)に沈湎(ちんめん)すること日久しいものがございます。君こそは僕(それがし)を祓い清めて、魏に苦しんでいたこの義憤を、君のために高らかに嘶かせてやろう、とは思し召しませぬか?」
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目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
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くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
sechin@nethome.ne.jp です。
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