壱師(いちし)を詠める歌
壱師(いちし)は具体的に何をさすのかは確定していません。ギシギシ、イタドリ、イチゴ、エゴノキなどの説がありますが、彼岸花(ひがんばな)が最有力候補といわれています。万葉集には1首だけに登場します。
彼岸花(ひがんばな)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。曼珠沙華(まんじゅしゃげ)ともいいます。9月~10月にかけて、特にお彼岸のころ、赤い花(白いのもあります)を咲かせます。田んぼの畦(あぜ)などで良く見かけますね。
巻11-2480: 道の辺のいちしの花のいちしろく人皆知りぬ我が恋妻は
ウェブニュースより
逆境の祭典、オレンジ色の聖火が照らす 大坂選手が点火 ―― スポーツ界のレジェンド、被災地の子どもたちがつないだ聖火を、テニス女子の大坂なおみ選手(23)が聖火台へともした。無観客で開かれた23日の東京五輪開会式。祭典の象徴となるオレンジ色の炎をマスク姿の選手らが見つめた。競技場内外で選手や市民らが「密」になる場面もあった。
聖火トーチを持った大坂選手が富士山をモチーフにした山型のオブジェの前にたどり着くと、視線の先にある白い球体が徐々に開き始めた。一段一段、ゆっくりと階段を上る大坂選手。会場を見渡し、球体の中心に現れた銀色に輝く聖火台に点火した瞬間、水素を燃料とするオレンジ色の炎が勢いよく噴き出し、明るく周囲を照らした。
この日、東京都庁に到着した聖火。国立競技場(東京・新宿)では、五輪で3大会連続金メダルを獲得した柔道の野村忠宏さん(46)、レスリングの吉田沙保里さん(38)が最初にトーチを掲げた。プロ野球界のレジェンド、長嶋茂雄さん(85)、王貞治さん(81)、松井秀喜さん(47)の3人が引き継ぎ、松井さんが長嶋さんを支えながら、ゆっくり歩みを進めた。
聖火をつないだのは、新型コロナウイルス治療の最前線に立ってきた医師と看護師、夏季・冬季の両大会で金メダルを獲得したパラリンピアン、東日本大震災の被災3県の子どもたち。最終走者として大坂選手が登場すると、ピンク色の細かな束に髪を結った若きアスリートに会場の視線はくぎ付けになった。
大坂選手は海外でも高い知名度、人気を持つアスリートだ。「日本代表として五輪に出場することを誰よりも誇りに思っている」と常々話してきた。「歴史をつくるのが好き。『これは誰もやったことがない』って言われると、私の目標になる」。最終走者は大坂選手にとっても、これ以上ない大役だった。
人気スポーツのテニスで四大大会4勝の実力に加え、2021年は史上最も収入の多い女性アスリートになった。さらにスポーツ界のアカデミー賞と称される「ローレウス世界スポーツ賞」の年間最優秀選手賞を男女を通じて日本人で初めて受賞した。
そんな華やかさの半面、人種差別やジェンダー平等、メンタルヘルスなど、新型コロナウイルス禍で浮き彫りになった現代社会を覆う問題と向き合う存在ともなってきた。
政情不安で貧困にあえぐ中米ハイチ出身の父と、日本人の母を持ち、米国で育った。貧しさと豊かさ、アジアと米大陸の両方にルーツを持つ多様性がある。「BLM(黒人の命も大事だ)」運動についてはっきりと発言し、日本、ハイチ、米国で若い女性アスリートを支援する活動にも熱心だ。一方で自らの心の弱さ、未熟さをもさらけ出す勇気がある。
今大会は多様性と調和を基本理念に掲げる。大会組織委員会の担当者は24日未明、「大坂選手は日本を代表するアスリート。彼女は色々なメッセージも出しており、最もふさわしいと思い最終走者に決定した」と選定の理由を語った。
大坂選手は開会式後、ツイッターに英文で「間違いなく私の人生の中で最も素晴らしい名誉と成果です。この気持ちを表す言葉は見当たりませんが、感謝でいっぱいです」と投稿した。
入場行進、歓声なき客席
開会式の会場となった国立競技場。6万8千人収容のスタジアムに観客の姿はなく、式典には一貫してウイルスの脅威が漂った。それでも入場する選手たちはマスクの下から笑顔をみせ、ほぼ空席のスタンドに向けて大きく手を振った。
歌手のMISIAさんが君が代を独唱し、伸びやかな声が響き渡った。熊谷和徳さんのタップダンスは会場の隅々にまで靴音を届けた。
様々なパフォーマンスが披露された後の午後8時半ごろ、選手の入場は始まった。国や地域を問わず、国旗や手を振りながら行進、会場全体に明るいムードが漂う。最後を飾ったのが開催国の日本。選手たちは午後10時半すぎ、赤いスラックスに白のジャケットという日の丸カラーのいでたちで登場した。
約150人の先頭に立つ旗手は、バスケットボール男子の八村塁選手(23)とレスリング女子の須崎優衣選手(22)が務めた。
八村選手はベナン人の父と日本人の母のもと富山市で育ち、中学1年でバスケットボールを始めた。「(米プロの)NBAに行くんだ。オリンピックに出るんだ」。コーチにも背中を押され、いつしか2つの夢は具体的な目標へと変わった。
高校で全国制覇を果たし、大学から米国へ。全米を代表する選手へと成長し、2019年に日本選手として初めてNBAドラフト1巡目指名を受ける。
そこから世界最高峰の舞台で2季プレー。心身ともにたくましくなった23歳は悲願の1勝を目指すチームのエースとして格上の強豪に挑む。
女性の旗手はレスリング50キロ級の須崎選手。入場の際は203センチの八村選手と50センチ差の小柄な体格が目立ったが、得意のスピードを武器に金メダルを目指している。
3階層のスタンドは、1席ごとに黄緑や茶、白など5色でモザイク状の配色。座席が照らし出されると、人影のように浮かび上がり、客席に観衆がいるかのような印象を与え、無観客の寂しさを薄めてみせた。 【日本經濟新聞 2021年7月24日 1:30】
粟を詠める歌
粟(あわ)は、イネ科エノコログサ属の多年草です。昔から山地の斜面などに栽培されてきました。夏から秋にかけて茎の先に大き目の穂が出て、そこに小さい花をたくさんつけます。
古事記・日本書記には、殺された神の死体から五穀(ごこく)が生まれ出たと話がありますが、この一つが粟です。
万葉集には5首に詠まれています。
巻3-0404: ちはやぶる神の社しなかりせば春日の野辺に粟蒔かましを
※佐伯宿禰赤麿(佐伯の宿禰赤麻呂、生没年不明)
奈良時代の歌人です。佐伯浄麻呂(きよまろ)と同一人物説もありますが、詳細は不明です。贈答歌など3首が「万葉集」におさめられています。
巻3-0405: 春日野に粟蒔けりせば鹿待ちに継ぎて行かましを社し恨めし
巻14-3364: 足柄の箱根の山に粟蒔きて実とはなれるを粟無くもあやし
巻14-3451: 左奈都良の岡に粟蒔き愛しきが駒は食ぐとも我はそとも追じ
巻16-3834: 梨棗黍に粟つぎ延ふ葛の後も逢はむと葵花咲く
ウェブニュースより
豊島将之竜王「1番粘れない順選んで」藤井聡太王位の鋭い踏み込みに屈した -- 将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太王位(棋聖=19)が豊島将之竜王(叡王=31)の挑戦を受ける、第62期王位戦7番勝負第3局(神戸市北区、有馬温泉「中の坊瑞苑=ずいえん」)は22日午後6時40分、先手の藤井が117手で勝ち、対戦成績を2勝1敗とした。
21日午前9時からの2日制で始まった対局は、序盤こそ豊島が巧みな指し回しを見せたが、22日の再開以降は藤井の鋭い踏み込みの前に屈した。
投了前、豊島は天井を見上げてフーッと大きくため息をついた。終局後、「(22日の封じ手直後の69手目)先手4五歩と打たれて長考した(82分考えて後手3三桂)が、いい手が思い浮かばなかった。指している時は悪いと思わなかったが、途中から自信がなくなってしまった。1番粘れない順を選んでしまった」と悔しさをにじませた。
https://www.youtube.com/watch?v=2CXhBPJjkEA
藤井が王位初防衛まであと1勝とするか、豊島が2勝2敗のタイに持ち込むか。第4局は8月18、19日、佐賀県嬉野市「和多屋別荘」で行われる。豊島は「間が開くので、ほかの対局を一生懸命頑張ってしっかり準備したい」と、気持ちを切り替えていた。 [日刊スポーツ 2021年7月22日19時13分]
ユダヤ人権団体、小林賢太郎さんを非難 五輪開会式、演出チーム「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」 ――米ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は21日、東京五輪の開会式の制作・演出チームのメンバーで、昨年芸能活動を引退した元お笑い芸人の小林賢太郎さんが、過去に発表したコントでホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を扱った反ユダヤ的なジョークを飛ばしているとして抗議した。
団体は報道を引用する形で、「小林氏は1998年に、ナチスによる600万人のユダヤ人虐殺をネタにしたコントを披露しました」「悪意に満ちた反ユダヤ的なジョークを飛ばしていました」と指摘した。
同団体のエーブラハム・クーパー氏は「どんな人間も、どれだけ創造的な人でも、ナチスのジェノサイド(民族大量虐殺)の犠牲者をあざ笑う権利はありません」との声明を発表した。
さらに、「この人物が東京オリンピックに関わることは、600万人のユダヤ人の記憶を侮辱し、パラリンピックを残酷に嘲笑することになります」と非難した。五輪憲章はいかなる差別も認めないとしている。
問題になったコントは、1998年に発売されたビデオに収録された「できるかな」とみられ、工作をテーマにしたNHKの教育番組のパロディで、2人が来週の企画を考えるという設定。番組プロデューサーの遊んで学べるものを作って欲しいとの要望を受け、小林さんが「野球やろうと思うんだ」と切り出す。
紙を丸めたバットや球に「バット」や「球」と文字を書く遊びといい、さらに「そしてスタンドを埋め尽くす観衆。これは人の形に切った紙とかで良いと思うんだけど、ここに人っていう字を書くんだ。つまり文字で構成された野球場を作るってのはどうだろう」と提案する。
相方が「ちょうど、こういう人の形に切った紙がいっぱいあるから」と賛同すると、小林さんは「あー、あの『ユダヤ人大量惨殺ごっこ』やろうって言った時のな」と思い出し、2人は「(プロデューサーの)トダさん怒ってたなあ」「放送できるかってな」と掛け合う。
この「ユダヤ人大量虐殺ごっこ」の映像が、ツイッターやネットで拡散され、22日未明ごろから小林さんの名前や「ホロコーストいじり」がツイッターのトレンドになった。
小林さんは五輪の開閉会式のクリエイティブチームのショーディレクターを担当する。開閉会式を巡っては、楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾氏が、過去の雑誌インタビューで告白した学生時代のいじめを理由に辞任した。
また、東京五輪・パラリンピック組織委員会が主催する文化プログラムの一環として開催されるイベントに出演予定だった絵本作家のぶみさんも出演を辞退。のぶみさんを巡っては、過去の教師へのいじめを著書でつづっていたなどとして、インターネット上で批判の声が上がっていた。 【東京新聞 2021年7月22日 10時34分】
葦を詠める歌11
巻20-4398:大君の命畏み妻別れ悲しくはあれど.......(長歌)
標題:為防人情陳思作謌一首并短謌
標訓:防人(さきもり)の情(おもひ)と為(な)し思(おもふところ)を陳(の)べて作れる謌一首并せて短謌
原文:大王乃 美己等可之古美 都麻和可礼 可奈之久波安礼特 大夫 情布里於許之 等里与曽比 門出乎須礼婆 多良知祢乃 波々可伎奈埿 若草乃 都麻波等里都吉 平久 和礼波伊波々牟 好去而 早還来等 麻蘇埿毛知 奈美太乎能其比 牟世比都々 言語須礼婆 群鳥乃 伊埿多知加弖尓 等騰己保里 可[弊]里美之都々 伊也等保尓 國乎伎波奈例 伊夜多可尓 山乎故要須疑 安之我知流 難波尓伎為弖 由布之保尓 船乎宇氣須恵 安佐奈藝尓 倍牟氣許我牟等 佐毛良布等 和我乎流等伎尓 春霞 之麻来尓多知弖 多頭我祢乃 悲鳴婆 波呂波呂尓 伊弊乎於毛比埿 於比曽箭乃 曽与等奈流麻埿 奈氣吉都流香母
万葉集 巻20‐4398
作者:大伴家持
よみ:大君(おほきみ)の 命(みこと)畏(かしこ)み 妻別れ 悲しくはあれど ますらをの 心振り起し 取り装ひ 門出をすれば たらちねの 母掻き撫で 若草の 妻は取り付き 平(たひら)けく 我れは斎(いは)はむ ま幸くて 早帰り来と 真袖もち 涙を拭(のご)ひ むせひつつ 言どひすれば 群鳥(むらとり)の 出で立ちかてに とどこほり かへり見しつつ いや遠(とほ)に 国を来(き)離(はな)れ いや高(たか)に 山を越え過ぎ 葦が散る 難波に来居て 夕(ゆふ)潮(しほ)に 船を浮け据ゑ 朝なぎに 舳(へ)向け漕がむと さもらふと 我が居る時に 春霞 島みに立ちて 鶴(たづ)がねの 悲しく鳴けば はろはろに 家を思ひ出 負ひ征矢(そや)の そよと鳴るまで 嘆きつるかも
意訳:大君の仰せが恐れ多いので、妻との別れは悲しいことではあるけれど、男子たるものの心を奮い起こし、身支度を整えて門出をしようとすると、たらちねの母は私の頭を掻き撫で、若草の妻は私の袖に取り縋り、「何とか無事でいて私どもは身を清めながら神にお祈りをいたします。恙なく一日も早く帰って」と、両の袖で涙を拭い、しゃくり上げながらかきくどくので、群鳥の飛び立つというではないがさっさと出発するわけにもゆかず、足もとどまりがちにあとを振り返り振り返りながら、ぐんぐん遠く国を離れて来、ずんずん高く山を越え過ぎて、とうとう葦が散る難波に至り着いてたむろし、夕潮に船を浮かべ、朝凪に筑紫へ舳を向けて漕ぎ出そうと、われらが潮待ちをしているその折しも、春霞が島辺に立ちこめ、鶴が悲しく鳴くので、はるばると家を思い出し、背に負う征矢がかさかさと音を立てるほどに、身悶えして私は溜息をついている。
左注:右十九日兵部少輔大伴宿祢家持作之
注訓:右は十九日、兵部少輔大伴宿祢家持これを作る
巻20-4400:家思ふと寐を寝ず居れば鶴が鳴く葦辺も見えず春の霞に
巻20-4419:家ろには葦火焚けども住みよけを筑紫に至りて恋しけ思はも
※物部真根(もののべのまね、生没年未詳)
武蔵国橘樹(たちばな)郡の人。上丁(かみつよほろ)。天平勝宝七歳(755年)二月、防人として筑紫に派遣されました。
橘樹郡(たちばなのこほり)は、武蔵の国の郡で、現在の神奈川県川崎市~横浜市の大部分にあたります。上丁(かみつよほろ/じょうてい)は、防人の一般兵士のことをさします。
巻20-4459:葦刈りに堀江漕ぐなる楫の音は大宮人の皆聞くまでに
ウェブニュースより
上野由岐子熱投「大胆にいったので立ち直れた」ソフト女子五輪開幕勝利 ―― <東京オリンピック(五輪):ソフトボール・日本8-1オーストラリア>◇21日◇1次リーグ◇福島あづま球場
日本選手団の先陣を切って登場した日本が、金メダルに向け、快勝発進した。先発した上野由岐子投手(38)が4回1/3を投げ、7奪三振、1失点の好投。緊張からか、立ち上がりは28球を要した。「興奮しすぎないように丁寧にいこうとして、厳しく投げすぎた」。きわどいコースがボールと判定されるなど、3四死球で1点を失った。「2回以降はデータだけにこだわらず、大胆にいったので立ち直れた」。その後は味方の3本の本塁打など大量援護もあって、テンポも良くなり、勝利につなげた。
前日まで明かされなかった先発投手。これから始まる日本選手の戦いを後押しするべく、マウンドに上がったのはやはり上野だった。前夜まで悩んだという宇津木監督は「上野しかいない」と初戦をエースに託した。上野は、金メダルを獲得した北京五輪から13年待った思いを乗せ、右腕を思い切り振り続けた。無観客の中、我妻のミットに110キロ台のスピードボールが投げ込まれ、大きな音を立てた。相手はソフトボールが五輪競技になった96年アトランタ大会から4大会連続でメダルを獲得している強豪オーストラリア。「楽しみでしかない」と言っていた熱い思いを福島のマウンドで爆発させた。
「このマウンドに立つためにここまで取り組んできた。やっとこの舞台に戻って来られたという思い」久しぶりの五輪のマウンドを振り返った。
本来なら恩返しをするはずだった。18年8月千葉で行われた世界選手権決勝。米国に延長逆転サヨナラ負けを喫し、敗戦投手となった。「スタンドからの上野コールでどれだけ成長できたか。その声援に応えられなかったので、今回恩返ししようと思っていた」。無観客となり、その夢はかなわなかったが「一選手としてやるべきことは変わらない。テレビや報道を通して自分のプレーを伝えたい」と切り替えて臨んだ。
前日の会見で宇津木監督は「上野については五輪はおそらく最後になると思う。彼女がやりやすい環境を作ってあげたい」と話していた。上野は「積み重ねてきたソフトボール人生をしっかりぶつけて戦いたい」。14年越しの連覇に向けて、集大成の東京五輪を最高の形でスタートさせた。
◆五輪のソフトボール 女子のみが96年アトランタ大会から正式種目として採用され、08年北京大会まで実施された。ただ米国や日本など一部の国を除き世界的な普及度が高くないなどの理由により、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ大会で正式種目から除外。東京大会では女子のソフトボールが男子の野球とともに「追加種目」として実施されるが、再び24年パリ大会以降は除外されている。 [日刊スポーツ 2021年7月21日13時13分]
なでしこ岩渕真奈「全員の気持ちが乗ったゴール」10番の貫禄、5戦連発弾 ―― <東京オリンピック(五輪):サッカー・日本1-1カナダ>◇21日◇女子1次リーグE組◇札幌ドーム
サッカー女子の日本「なでしこジャパン」(FIFAランク10位)が、2大会ぶりの五輪初戦で勝ち点1をつかんだ。2大会連続銅メダルのカナダ(同8位)に1-1。前半6分、先制点を許したが、後半39分に背番号10のFW岩渕真奈(28=アーセナル)が起死回生の同点ゴールを決めた。澤穂希らを超える日本代表最長の5戦連発ゴールで弾みをつけ、24日の第2戦(札幌ドーム)は英国(同6位)と対戦する。同じE組の英国はチリに勝ち、G組の強豪米国はスウェーデンに0-3で敗れた。
◇ ◇ ◇
両拳を振り、ようやく岩渕の笑みがはじけた。日本が1点を追う後半39分。MF長谷川がボールを持つのを見て、DFライン裏へ走った。絶妙なパスを受けた右足で、ふわりと浮かせた同点ゴール。「スカウティングで『DF裏が弱いかも』という話があった。全員の気持ちが乗ったゴールだと思う」。真っ先に裏方を含めた仲間をねぎらった。
無観客で屋内の札幌ドーム。終盤は「(前へ)行こうよ」と励まし合った。前半6分、相手エースのシンクレアに先制点を献上。後半9分にはFW田中がPKを決められなかった。2学年下の後輩が得たPKで「蹴れば? 思い切ってね」と伝えた。だが、無念の失敗。その悪い流れも、尊敬する澤を超える代表最長の5戦連続得点で吹き飛ばした。試合後の会見では「PKのミスについて取り上げてもらいたくない。ポジティブにお願いしたいです」と後輩を思いやった。
5年前の大阪。リオデジャネイロ五輪最終予選で切符を逃した。11年W杯ドイツ大会で優勝、12年ロンドン五輪銀メダルを知る1人として、人気の低下を重く受け止めた。
「『寂しいな』という気持ちはあります。自分たちが招いた結果。『結果を出せば、またそうなれるのかな』と思って、そこに近づけるようにやるしかない」
当時はドイツのBミュンヘン所属。入団前は名前も知らなかった仲間に1対1で何度も止められた。パスが来ない時もあった。「自分なりに努力をし、認められる。それは日本にいたらなかった」。リオ五輪の金メダルはドイツだった。テレビで同僚の姿を見ると、悔しさがこみ上げた。「本当だったら、あそこにいたのに…」。唇をかみしめて、異国で成長を目指した。
5年前と違うのは、五輪のピッチに立っていることだ。「今日以上のプレーを2~3戦目でできるように、悔いのないよう全員で頑張りたい」。たくましいエースには、未来を明るく変える力がある。
▽DF熊谷 立ち上がりの失点が試合を難しくした。初戦の難しさを感じた。勝ち点1を取れてよかった。
▽MF遠藤 勝ち点1だが、ポジティブにとらえたい。次は絶対に勝たないといけない。どのポジションで出ても、やることは変わらない。
▽MF塩越 ずっと楽しみにしていたピッチに立つことができた。緊張はしなかった。結果に一喜一憂せず、次の試合に臨みたい。
◆東京五輪女子サッカーの大会方式 12チームが3組に分かれて1次リーグを戦い、各組上位2チームと3位の成績上位2チームが準々決勝に進む。各組の順位は(1)勝ち点(2)得失点差(3)総得点の順で決め、それも並んだ場合は当該チーム間の勝ち点、同得失点差、同総得点、全試合の反則ポイント、抽選の順で決める。準々決勝からは90分で同点の場合、30分(前後半各15分)の延長戦を行い、それでも決着がつかない場合はPK戦を行う。
▽日本協会・田嶋幸三会長 強豪のカナダに対して勝ち点1を取れたことは非常に大きく1次リーグ突破につながるものだ。必ずしも調子がよかったわけではないように感じたが、よくない時にしっかりと勝ち点を取れるということはチームに力があるという証。 [日刊スポーツ 2021年7月21日21時55分]
葦を詠める歌10
巻20-4331:大君の遠の朝廷としらぬひ筑紫の国は.......(長歌)
標題:追痛防人悲別之心作謌一首并短謌
標訓:追ひて防人の別れを悲しぶる心を痛みて作れる謌一首并せて短謌
原文:天皇乃 等保能朝庭等 之良奴日 筑紫國波 安多麻毛流 於佐倍乃城曽等 聞食 四方國尓波 比等佐波尓 美知弖波安礼杼 登利我奈久 安豆麻乎能故波 伊田牟可比 加敝里見世受弖 伊佐美多流 多家吉軍卒等 祢疑多麻比 麻氣乃麻尓々々 多良知祢乃 波々我目可礼弖 若草能 都麻乎母麻可受 安良多麻能 月日餘美都々 安之我知流 難波能美津尓 大船尓 末加伊之自奴伎 安佐奈藝尓 可故等登能倍 由布思保尓 可知比伎乎里 安騰母比弖 許藝由久伎美波 奈美乃間乎 伊由伎佐具久美 麻佐吉久母 波夜久伊多里弖 大王乃 美許等能麻尓末 麻須良男乃 許己呂乎母知弖 安里米具里 事之乎波良波 都々麻波受 可敝理伎麻勢登 伊波比倍乎 等許敝尓須恵弖 之路多倍能 蘇田遠利加敝之 奴婆多麻乃 久路加美之伎弖 奈我伎氣遠 麻知可母戀牟 波之伎都麻良波
万葉集 巻20-4331
作者:大伴家持
よみ:大君の 遠の朝廷と しらぬひ 筑紫の国は 敵守る おさへの城ぞと 聞こし食す 四方の国には 人さはに 満ちてはあれど 鶏が鳴く 東男は 出で向ひ かへり見せずて 勇みたる 猛き軍士と ねぎたまひ 任けのまにまに たらちねの 母が目離れて 若草の 妻をも巻かず あらたまの 月日数みつつ 葦が散る 難波の御津に 大船に ま櫂しじ貫き 朝なぎに 水手ととのへ 夕潮に 楫引き折り 率ひて 漕ぎ行く君は 波の間を い行きさぐくみ ま幸くも 早く至りて 大君の 命のまにま 大夫の 心を持ちて あり廻り 事し終らば つつまはず 帰り来ませと 斎瓮を 床辺に据ゑて 白栲の 袖折り返し ぬばたまの 黒髪敷きて 長き日を 待ちかも恋ひむ 愛しき妻らは
意訳:大君の、遠く離れた朝廷(みかど)たる筑紫の国(北九州)は外敵から身を守る抑えの砦。大君のお治めになっている四方の国々には人は多く満ちているけれども、とりわけ東男(あづまおとこ)は敵に向かって命をもかえりみない勇敢な兵士だと労をねぎらいなさる。任命されるままに母もとから離れ、あるいはなよやかな妻から離れ、任務につく。その日までの月日を数えながら難波の港に集結し、大船の梶を左右そろえて貫き並べる。朝なぎを見計らって、漕ぎ手を集め、夕潮に乗って、梶をたおし、軍団を率いていく貴君。波の間を押し分け、早く無事に筑紫にたどりついて、大君の任命のままに任務を果たそうとばかり。男子たる心を持って防備の任につく。任務が終わったらつつがなく(難波に)帰ってきなされと祈っています。神聖な酒かめを床の辺に据え、純白の着物の袖を折り返し、黒髪を敷いて長い日々を待っていることだろう、彼らの愛しい妻たち
は。
左注:右二月八日兵部少輔大伴宿祢家持
注訓:右は、二月八日、兵部少輔大伴宿祢家持
巻20-4357:葦垣の隈処に立ちて我妹子が袖もしほほに泣きしぞ思はゆ
※刑部千國(おさかべの-ちくに、生没年不詳)
奈良時代の防人(さきもり)です。天平勝宝(てんぴょうしょうほう)7年(755)に上総(かずさ)(千葉県)市原郡から筑紫(つくし)に出発するときによんだ歌が,「万葉集」巻20におさめられています。
巻20-4362:海原のゆたけき見つつ葦が散る難波に年は経ぬべく思ほゆ
ウェブニュースより
芝田山広報部長「そんなことはないと信じたかった」貴源治の大麻使用判明に ―― 大相撲の十両貴源治(24=常盤山)が名古屋場所中に大麻使用したことが判明したことを受け、日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は20日、代表取材に応じ「残念極まりない」とコメントした。
貴源治が大麻を使用しているとのうわさ話が協会内に届いたのは、名古屋場所14日目の17日。「通報というよりは、そんなうわさがあるよと。うわさレベルだったので、そんなことはないと信じたかった」。
貴源治は1度、使用の事実を否認した。千秋楽後に尾車コンプライアンス部長(元大関琴風)が師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)と貴源治に聴取したが、貴源治は「大麻成分が含まれているCBDオイルという痛み止めを使用している。あがり症を抑えるために食べているグミにも大麻成分が入っていると聞いた。そういったところから、うわさ話が出たのではないか」と話していた。
翌19日に都内のクリニックで、コンプライアンス委員会作業班弁護士が立ち合いの元で薬物検査(尿検査)を実施したところ、大麻陽性の判定が出た。検査を受けて、コンプライアンス委員長が貴源治に聴取を行ったところ、名古屋場所中に宿舎近くの道路で歩きながら大麻たばこを1本吸っていたことを認めた。
芝田山広報部長は「こういった、名古屋場所が終わってすぐに、自分も今日初めて聞いてびっくりした。これはいち早く、本人が認めたということで、いち早くお知らせして、協会としてもいち早く対処する。協会はこういうことに対して、処分内容もあり、研修会も行っている中でのこと。ある程度、コンプライアンス委員会に理事長が委嘱したということで、答申を受けたところで、理事会で審議をすることになる」と説明した。
協会としての抜き打ち検査については「今そういう段階ではありません」とした。
協会は貴源治が大麻の使用を認めたことから、協会の内部規定に従ってただちに警察に通報したことで、警視庁において捜査が開始され、現在はその調査中であるとした。
貴源治は警視庁での事情聴取後に帰宅を許され、現在は師匠の指示で謹慎している。
八角理事長(元横綱北勝海)はこの日、コンプライアンス委員会と事実関係の調査と処分意見の答申を委嘱し、今後は警察の捜査に全面的に協力しつつ、協会としての調査および処分の検討を実施する予定とした。 [日刊スポーツ 2021年7月20日16時31分]
小山田さん辞任「対応遅い」「仕方ない」 海外でも批判 ―― 東京五輪開会式の楽曲制作を担っていたミュージシャンの小山田圭吾さんが、過去にいじめを告白した問題で辞任したことをうけ、ボランティアや五輪を待ち望む人たちからは20日、落胆やあきれる声が上がった。
「多様性がこれだけ重視されているなか、差別的な考えを持った人を続けさせようとしていた感覚が信じられない。大会組織委員会は対応が遅すぎる」。ボランティアとして競技支援などに関わる東京都内の30代女性は語気を強めた。「開幕も目前だから切り替えて盛り上げたいと思うが、運営側も改めて気を引き締めてほしい」と注文をつけた。
都内の競技会場で活動する40代男性会社員は「本番直前で既に活動を始めているボランティアも多い。『それどころではない』というのが本音」と話したうえで「大会のイメージをこれ以上損ねることがないよう組織委には慎重に対応してほしい」と求めた。
医療サポートを担当する60代男性ボランティアは「残念の一言だが、組織委はもっと早く発表し、謝罪も早くすべきだった」と指摘する。「問題が大きくなった要因には、組織委の対応の遅さもある」とあきれた。
五輪観戦を楽しみにしているという東京都北区の男性会社員(52)は「辞めるのは仕方ないが、直前に問題が出てくるなんて選手ファーストの大会と言えない。選手がかわいそうだ」と憤る。「普通だったらこの時期は注目選手などの話題で盛り上がる。日本選手団もメダルが取れそうなのに水を差すなんて」と残念そうに話した。
小山田さんの担当部分には開会式冒頭4分間程度の楽曲もある。「せっかく作った曲が一度も日の目を見ないのはもったいない」と話すのは千葉県船橋市の50代女性。「少し調べれば依頼する前に(いじめ問題があることが)わかっていたはず。組織委が前もってちゃんとしていれば」とため息をついた。
小山田さんの問題を巡っては、海外メディアも相次ぎ報じた。ロイター通信は「いじめの醜聞で辞任」と速報。英BBCは「コロナ発生の影で23日に開幕する五輪にとって、最新の挫折だ」とした。仏AFP通信は今年2月にも組織委の森喜朗前会長が女性蔑視発言で辞任したことを踏まえ「また主要な人間が辞任した」と取り上げた。 【日本經濟新聞 2021年7月20日 12:18 (2021年7月20日 12:19更新)】
葦を詠める歌9
巻17-3975:我が背子に恋ひすべながり葦垣の外に嘆かふ我れし悲しも
巻17-3977:葦垣の外にも君が寄り立たし恋ひけれこそば夢に見えけれ
巻17-4006:かき数ふ二上山に神さびて立てる栂の木.......(長歌)
標題:入京漸近、悲情難撥、述懐一首并一絶
標訓:京(みやこ)に入らむこと漸(やくや)く近づき、悲情撥(はら)ひ難く、懐(おもひ)を述べたる一首并せて一絶
原文:可伎加蘇布 敷多我美夜麻尓 可牟佐備弖 多氏流都我能奇 毛等母延毛 於夜自得伎波尓 波之伎与之 和我世乃伎美乎 安佐左良受 安比弖許登騰比 由布佐礼婆 手多豆佐波利弖 伊美豆河波 吉欲伎可布知尓 伊泥多知弖 和我多知弥礼婆 安由能加是 伊多久之布氣婆 美奈刀尓波 之良奈美多可弥 都麻欲夫等 須騰理波佐和久 安之可流等 安麻乃乎夫祢波 伊里延許具 加遅能於等多可之 曽己乎之毛 安夜尓登母志美 之努比都追 安蘇夫佐香理乎 須賣呂伎能 乎須久尓奈礼婆 美許登母知 多知和可礼奈婆 於久礼多流 吉民婆安礼騰母 多麻保許乃 美知由久和礼播 之良久毛能 多奈妣久夜麻乎 伊波祢布美 古要敝奈利奈波 孤悲之家久 氣乃奈我家牟曽 則許母倍婆 許己呂志伊多思 保等登藝須 許恵尓安倍奴久 多麻尓母我 手尓麻吉毛知弖 安佐欲比尓 見都追由可牟乎 於伎弖伊加波乎志
万葉集 巻17-4006
作者:大伴家持
よみ:かき数(かぞ)ふ 二上山に 神さびて 立てる栂(つが)の木 本(もと)も枝(え)も 同じ常磐(ときは)に 愛(は)しきよし 吾(わ)が背の君を 朝(あさ)去(さ)らず 逢ひて言どひ 夕されば 手携(たづさ)はりて 射水川(いづみかは) 清き河内(かはち)に 出で立ちて 我が立ち見れば 東風(あゆ)の風 いたくし吹けば 水門(みなと)には 白波高み 妻呼ぶと 洲鳥(すとり)は騒く 葦刈ると 海人(あま)の小舟は 入江漕ぐ 楫(かぢ)の音高し そこをしも あやに羨(とも)しみ 偲ひつつ 遊ぶ盛りを 天皇(すめろぎ)の 食(を)す国なれば 御言(みこと)持ち 立ち別れなば 後(おく)れたる 君はあれども 玉桙の 道行く我は 白雲の たなびく山を 岩根踏み 越えへなりなば 恋しけく 日(け)の長けむぞ そこ思(も)へば 心し痛し 霍公鳥(ほととぎす) 声にあへ貫(ぬ)く 玉にもが 手に巻き持ちて 朝夕(あさよひ)に 見つつ行(ゆ)かむを 置きて行かば惜し
意訳:数を数える、一、二の、その二上山に、神々しくそびえ立つ栂の木の、幹も枝も等しく変わらない、そのようにいつも変わらず親しく思う私の大切な貴方を、毎朝、逢って語り合い、夕べには手を携えて射水川の清らかな河原に出で立って、私が立って眺めると、東の風が強く吹くと、湊には白波が高く、妻を呼ぶとて洲に住む鳥が騒ぐ。葦を刈ると漁師の小舟は、入り江を漕ぐ、その楫の音が高い。その情景がとても美しく羨ましく、心を惹かれて、風流を楽しむ最中ですが、天皇が治められる国であるので、その御命令を持って、出立して別れたら、後に残す貴方ではあるが、立派な鉾を立てる官道を行く私は、白雲の棚引く山を、岩根を踏み越え隔てたら、貴方を恋しいと思う日が長いでしょう。それを思うと、心が痛む。ホトトギスの声に時を合わせて薬玉を貫く、その玉であったなら、手に巻き持って、朝夕に見つめて行きましょう。後に残していくと残念です。
左注:右、大伴宿祢家持、贈掾大伴宿祢池主 四月卅日
注訓:右は、大伴宿祢家持の、掾大伴宿祢池主に贈れり 四月卅日
巻18-4094:葦原の瑞穂の国を天下り知らしめしける.......(長歌)
標題:賀陸奥國出金詔書謌一首并短謌
標訓:陸奥國より金の出せる詔書を賀ける謌一首并せて短謌
原文:葦原能 美豆保國乎 安麻久太利 之良志賣之家流 須賣呂伎能 神乃美許等能 御代可佐祢 天乃日飼等 之良志久流 伎美能御代々々 之伎麻世流 四方國尓波 山河乎 比呂美安都美等 多弖麻都流 御調寶波 可蘇倍衣受 都久之毛可祢都 之加礼騰母 吾大王能 毛呂比登乎 伊射奈比多麻比 善事乎 波自米多麻比弖 久我祢可毛 多能之氣久安良牟登 於母保之弖 之多奈夜麻須尓 鶏鳴 東國能 美知能久乃 小田在山尓 金有等 麻宇之多麻敝礼 御心乎 安吉良米多麻比 天地乃 神安比宇豆奈比 皇御祖乃 御霊多須氣弖 遠代尓 可々里之許登乎 朕御世尓 安良波之弖安礼婆 御食國波 左可延牟物能等 可牟奈我良 於毛保之賣之弖 毛能乃布能 八十伴雄乎 麻都呂倍乃 牟氣乃麻尓々々 老人毛 女童兒毛 之我願 心太良比尓 撫賜 治賜婆 許己乎之母 安夜尓多敷刀美 宇礼之家久 伊余与於母比弖 大伴能 遠都神祖乃 其名乎婆 大来目主登 於比母知弖 都加倍之官 海行者 美都久屍 山行者 草牟須屍 大皇乃 敝尓許曽死米 可敝里見波 勢自等許等太弖 大夫乃 伎欲吉彼名乎 伊尓之敝欲 伊麻乃乎追通尓 奈我佐敝流 於夜能子等毛曽 大伴等 佐伯乃氏者 人祖乃 立流辞立 人子者 祖名不絶 大君尓 麻都呂布物能等 伊比都雅流 許等能都可左曽 梓弓 手尓等里母知弖 劔大刀 許之尓等里波伎 安佐麻毛利 由布能麻毛利尒 大王能 三門乃麻毛利 和礼乎於吉弖且 比等波安良自等 伊夜多氏 於毛比之麻左流 大皇乃 御言能左吉乃 (一云 乎) 聞者貴美 (一云 貴久之安礼婆)
万葉集 巻18-4094
作者:大伴家持
よみ:葦原の 瑞穂の国を 天下り 知らしめしける すめろきの 神の命の 御代重ね 天の日継と 知らし来る 君の御代御代 敷きませる 四方の国には 山川を 広み厚みと 奉る 御調宝は 数へえず 尽くしもかねつ しかれども 我が大君の 諸人を 誘ひたまひ よきことを 始めたまひて 金かも たしけくあらむと 思ほして 下悩ますに 鶏が鳴く 東の国の 陸奥の 小田なる山に 黄金ありと 申したまへれ 御心を 明らめたまひ 天地の 神相うづなひ すめろきの 御霊助けて 遠き代に かかりしことを 我が御代に 顕はしてあれば 食す国は 栄えむものと 神ながら 思ほしめして もののふの 八十伴の緒を まつろへの 向けのまにまに 老人も 女童も しが願ふ 心足らひに 撫でたまひ 治めたまへば ここをしも あやに貴み 嬉しけく いよよ思ひて 大伴の 遠つ神祖の その名をば 大久米主と 負ひ持ちて 仕へし官 海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍 大君の 辺にこそ死なめ かへり見は せじと言立て 大夫の 清きその名を いにしへよ 今のをつづに 流さへる 祖の子どもぞ 大伴と 佐伯の氏は 人の祖の 立つる言立て 人の子は 祖の名絶たず 大君に まつろふものと 言ひ継げる 言の官ぞ 梓弓 手に取り持ちて 剣大刀 腰に取り佩き 朝守り 夕の守りに 大君の 御門の守り 我れをおきて 人はあらじと いや立て 思ひし増さる 大君の 御言のさきの [一云 を] 聞けば貴み [一云 貴くしあれば]
意訳:葦原(あしはら)の瑞穂の国を(この日本国を)天から下ってきて治められた皇祖神。その神の命(みこと)が幾代も代を重ね、次々と代を日継ぎなされた。どの御代も治められている四方の国々には山や川があり、国土は広く豊か。なので献上申し上げる御宝は数えきれず、尽くしきれない。けれども、わが大君(天皇)は多くの人々を導かれ、立派な事業をお始めになったところ、黄金も確かにあるだろうとお思いになった。このことがずっと心におありになったところ、東の国は陸奥の小田なる山(宮城県遠田郡涌谷町)に黄金ありという報告をお受けになった。それが明らかになって、貴重なものと神々ともども喜び合われた。皇祖神の御霊の助けにより、遠い御代からの懸案だったことがこの御代に現実化した。これで、わが国土はますます栄えていくと神の御心でお思いになった。官人たちを心から平服なさって意のままに動かされ、老人も女子供も願う心を平安になさり、慰撫して治められた。このことを私は本当に尊く思い、ますます嬉しく思う。大伴の遠い祖先の神、その名も大久米主(あるじ)という誉れを背負ってお仕えしてきた官職。「海を行くなら水に沈む屍、山を行くなら草に埋もれる屍となって、大君の近くで死ぬのは本望。決して省みることはないと誓った一族。この大夫(ますらお)なる潔い名をいにしえより今の今まで受け継いできた子孫なるぞ。 大伴と佐伯の氏は祖先が立てた誓いのままに、子孫はその名を絶やさず、大君にお仕え申し上げる。そう言い継がれてきた官だぞ大伴は。梓弓を手に取り持って剣大刀を腰にしっかと帯び、守る。朝も夕も大君の御門を守るのは自分をおいて人はあるまいと、いよいよその思いはつのるばかり。大君の御言葉のありがたさの(一云「を」)内容を承れば尊い(一云「尊くてならない」)。
左注:天平感寶元年五月十二日於越中國守舘大伴宿祢家持作之
注訓:天平感寶(かんぽう)元年(西暦749年)五月十二日、越中國守(えっちゅうのくにのかみ)の舘で大伴宿祢家持が之を作る。
◎「海(うみ)行(ゆ)かば、水漬(みづ)く屍(かばね)、・・・」の部分は、「海ゆかば(信時潔 作曲)」という曲のもとになっています。戦時中は、毎日のようにラジオから流れ、学校では歌わされました。
https://www.youtube.com/watch?v=PfBebI2oFp4
「白鵬のマナーはまねしないで」照ノ富士を満場一致で推薦の横審コメント ―― 日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が19日、都内で開かれ、日本相撲協会から諮問されたモンゴル出身の大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)の、横綱推薦について審議。満場一致で推薦することを決めた。
▼杉田亮毅委員 序二段まで落ちてからの奮闘は相撲ファンを感動させるものがある。これはモンゴル版の「おしん」だ。横綱は模範でなければならない。白鵬の力強さに学びつつ、マナーの点はまねをしないで、堂々たる横綱になって欲しい。
▼山内昌之委員 これからは横綱としての所作、振る舞い。そういう姿で、子どもたちや将来相撲を目指す人に魅力ある対象になって欲しい。個人的に言えば、大リーグのエンゼルスの大谷翔平選手のように打ち込む姿で、誰にも憧れられるようなレベルの力士、横綱になってもらいたい。応援されるのにふさわしい横綱の姿を土俵の内外で示して欲しい。
▼丹呉泰健委員 本当によく戻ってきた。品格をどのように評価するかというと、第一に相撲道に対する情熱。そして相撲に精進する気迫を高く評価させていただきました。白鵬を出して申し訳ないですけど、日本の国技である相撲ですから品格が大事。品格を師匠の指導を受けながら、いろんな方の意見を踏まえて磨いてもらいたい。
▼高村正彦委員 昇進は当然。照ノ富士の筆舌に尽くしがたい努力。高く評価している。正々堂々と今のような相撲を取ってほしい。膝のけがが悪化しない限り、安定した横綱になるのでは。
▼都倉俊一委員 照ノ富士については全員が異存ない。厳しい親方のもと、相撲美学を実践してくれる横綱になってくれると望んでいる。
▼大島宇一郎委員 序二段から復活して、2場所連続優勝を遂げての名古屋場所千秋楽の全勝対決。そのストーリーが皆さんの心を動かしたのではないか。横綱不在の場所を牽引した実績は立派。戻ってきて精神的にも成長した。今後はより横綱にふさわしい相撲を取ってほしい。横綱には大関とは異なりより求められるものがある。それを理解して大横綱になってほしい。 [日刊スポーツ 2021年7月19日20時45分]
ウェブニュースより
白鵬が全勝優勝 照ノ富士降す 大相撲名古屋場所千秋楽 ―― 大相撲名古屋場所千秋楽は18日、ドルフィンズアリーナで行われ、東横綱・白鵬(36)=宮城野部屋=が結びの一番で東大関・照ノ富士(29)=伊勢ケ浜部屋=との全勝対決を制し、2020年春場所以来7場所ぶり、歴代最多を更新する45回目の優勝を果たした。19年春場所以来の全勝優勝も、歴代最多の16回目を数えた。
横綱審議委員会から休場の多さを指摘され、昨年11月場所後に引退勧告に次ぐ「注意」の決議を受けた白鵬は、名古屋場所で進退を懸ける考えを示していた。1968年秋場所で優勝した大鵬の5場所連続休場明けを上回る、6場所連続休場明けで賜杯を手にし、復活を印象づけた。
大相撲名古屋場所千秋楽は18日、ドルフィンズアリーナで行われ、東横綱・白鵬(36)=宮城野部屋=が結びの一番で東大関・照ノ富士(29)=伊勢ケ浜部屋=との全勝対決を制し、2020年春場所以来7場所ぶり、歴代最多を更新する45回目の優勝を果たした。19年春場所以来の全勝優勝も、歴代最多の16回目を数えた。
横綱審議委員会から休場の多さを指摘され、昨年11月場所後に引退勧告に次ぐ「注意」の決議を受けた白鵬は、名古屋場所で進退を懸ける考えを示していた。1968年秋場所で優勝した大鵬の5場所連続休場明けを上回る、6場所連続休場明けで賜杯を手にし、復活を印象づけた。 【毎日新聞 2021/7/18 17:33(最終更新 7/18 17:34)】
北の富士氏「あきれて物が言えん。やっていいことと悪いことある」白鵬に ―― <大相撲名古屋場所>◇千秋楽◇18日◇ドルフィンズアリーナ
NHK大相撲解説者の北の富士勝昭氏(79)が、14日目の白鵬の取組について苦言を呈した。
HK大相撲中継の幕内解説を務めた北の富士氏は番組の冒頭、14日目の白鵬戦についてコメントを求められると「あきれて物が言えんな」と一言。白鵬は14日目の正代戦で、仕切り線から大きく離れて立ち合い、張り手を交えながら勝った。
太田雅英アナウンサーが「やはり、右膝は万全ではないんだなということがうかがえたかと思いますが」と話を振ると、北の富士氏は「それでもやってきたわけですよね、いい相撲でね。ああいう相撲を取らなくても取れる。やっぱり、いけませんよね」「なんとしてでも勝つって、今まで圧倒しているんだしね。一番勝負ですから何が起きるか分からないけど、44回優勝した大横綱がやっていいことと悪いことがあるんじゃないかと思いますよ」などと意見を述べた。
同時に、NHK大相撲解説者の舞の海秀平氏は「それとですね、これまで歴代の横綱が守ってきた伝統とか価値観が壊れてしまいますよね、昨日のような相撲を取られると」と続けた。
太田アナが「こういう厳しい声があがのも横綱も分かっていると思いますが…」と指摘すると、北の富士氏は「おそらく承知していると思う。それだけにタチが悪い」と厳しく言った。
太田アナは「乱暴な相撲でした。ここまでした以上は全勝をかけた素晴らしい相撲を結びに期待したいところです」と、全勝優勝がかかる結びの白鵬-照ノ富士戦に目を向けた。 [日刊スポーツ 2021年7月18日16時16分]
北の富士氏「えげつない」白鵬立ち合い肘打ち 鬼の形相でガッツポーズも ―― <大相撲名古屋場所>◇千秋楽◇18日◇ドルフィンズアリーナ
横綱白鵬(36=宮城野)が、なりふりかまわず7場所ぶり45度目の優勝を果たした。14勝同士で勝った方が優勝となる大関照ノ富士との結びの一番。立ち合いで左手を相手の顔にかざし、右肘で強烈なかち上げ。最後は小手投げで、照ノ富士を転がした。鬼の形相で、右腕で豪快にガッツポーズを見せた。土俵ではふさわしくないとされる喜び方で、復活を印象づけた。
NHK大相撲中継で、解説者の舞の海秀平氏は「ただ、また立ち合い、肘打ちいきましたね。顔面を狙って」と指摘。同じく解説者の北の富士勝昭氏が「ありとあらゆることをやっているからね。うーん。やっていることはえげつないんだけどね、勝負にかける執念…」と言葉を失った。
NHKの太田雅英アナウンサーは、勝った後のガッツポーズについて「抑えなければいけないところだったと思いますが」と触れると、北の富士氏は「何かもう…、ここまで今まで45回優勝見ているけどね、何かあったかね? えらい力んどるね。何かあったかね?」と白鵬の感情の高ぶりに驚きを隠せなかった。舞の海氏は「しかし、余裕はありませんでしたね。精神的にも肉体的にも余裕がないから、ああいう相撲を取るんでしょうね」と解説した。 [日刊スポーツ 2021年7月18日18時1分]
ウェブニュースより
大相撲名古屋場所14日目 白鵬と照ノ富士 ともに全勝守る ―― 大相撲名古屋場所14日目、横綱 白鵬と綱とりがかかる大関 照ノ富士はともに全勝を守りました。
中入り後の勝敗です。
▽十両の若元春に大奄美は、大奄美が寄り切りで勝ちました。
▽新入幕・一山本に栃ノ心は栃ノ心が寄り切り。
★一山本「差させないよう意識していたが、ささってしまった。まだまだですね。明日最後なんで。勝てば勝ち越し、負ければ負け越し。分かりやすい状況なんで一生懸命頑張ります」
▽徳勝龍に魁聖は徳勝龍がすくい投げ。魁聖は負け越しました。
☆徳勝龍「左上手は取られたけど、右は差されないようにだけ意識して我慢できたと思います。負け越しは決まっているけど関係なく、15日間しっかりやらないとですね」
▽照強に剣翔は剣翔が小手投げ。
▽志摩ノ海に千代の国は志摩ノ海が上手投げで勝ち越しました。
☆志摩ノ海「(勝ち越しに)よかったと思います。自分から先に攻めようというのはありました。(千秋楽は)次の場所につながるよう、自分の相撲をとりきって終わりたいと思います」
▽琴ノ若に宝富士は琴ノ若が寄り切りで11勝目を挙げました。
☆琴ノ若「体勢が悪かったんで、ほめられた相撲ではなかったが、あわてず相撲をとれたのがよかった。(自己最多11勝目も)星数は意識せず、1日一番に臨めていると思う」
▽千代翔馬に石浦は千代翔馬が上手投げ。
☆千代翔馬「(王手から2連敗後の勝ち越し)この3日、勝ち越しがかかって相撲が硬かった。考えてしまった。勝ててよかった」
★石浦「『よし』と思ったところで投げられて、ついていけなかった。立ち合いも悪くないが、タイミングよく決まってしまった。(今場所は)今の宿舎にサウナがついているので、サウナに入って(体調を)整えている。2日に1回。今日も入ります。水風呂も氷をがっちり入れている。他の部屋に比べて恵まれた宿舎だと思う」
▽千代ノ皇に阿武咲は阿武咲が寄り切り。
☆阿武咲「思い通りの相撲が取れた。(千代ノ皇とは幕内では初顔だが)十両では何回もやっている相手。気負わず、自分の相撲を取りきることに集中した」
▽輝に隠岐の海は輝が押し出し。
☆輝「しっかりついていけてよかったです。(7勝7敗に)ここまできたら最後、悔いのないよう1番をとりたい。最後に盛り返してこれたのは自分の中で成長につながる」
▽千代丸に琴恵光は千代丸がはたき込み。
☆千代丸「突いて前に出る相撲がとれていないんで成績も悪い。前に出る相撲がもっととれるよう、稽古しないといけない」
▽玉鷲に北勝富士は玉鷲が押し倒しで11勝目。玉鷲は1360回連続出場で歴代単独6位となった節目の一番で白星です。
☆玉鷲「(歴代6位の通算1360回連続出場)それには全然。現役中にはあまり感じない。辞めてから『よかった』と感じると思う。まだ若手に負けたくない。現役で自分の相撲をとっていきたい」
▽翔猿に妙義龍は妙義龍がはたき込み。
▽英乃海に隆の勝は隆の勝が寄り切り。英乃海は負け越しです。
★英乃海「差したかったけど強かったです。(千秋楽は)自分の相撲をとれればいいと思います」
▽逸ノ城に霧馬山は逸ノ城が寄り切り。
☆逸ノ城「前に攻めて攻めて圧力をかけてよかったと思います。(三役復帰の可能性も)とにかく明日、しっかり勝って2桁(勝利)で終わりたい」
▽大栄翔に碧山は碧山がはたき込み。
▽千代大龍に新小結 若隆景は千代大龍が突き出し。
▽新小結 明生に宇良は宇良が寄り切り。
▽関脇 御嶽海に豊昇龍は御嶽海が寄り切りで勝ち越しました。
☆御嶽海「しっかり相手を見て、自分の相撲がとれたと思います。(勝ち越しも)本当は10番勝ちたかった。何とか勝ち越せた感じで課題はあります」
▽関脇 高安に綱とりの大関 照ノ富士は、照ノ富士が寄り切りで初日から14連勝です。
▽大関 正代に横綱 白鵬は白鵬が浴びせ倒しで14連勝としました。
各力士の談話
勝ち越した剣翔は「中盤くらいからあまりも調子もよくなかったので、ぎりぎりで勝ち越せてよかったです。あすは勝っても負けても来場所につながるように一生懸命相撲を取りたい」と気持ちを込めていました。
千代翔馬は勝ち越しを決め「本当に勝ってよかった。一瞬で決められた。あすもいい結果を残したいし、頑張りたいですね。一番頑張ります」と気合いを入れていました。
36歳の玉鷲は11勝目を挙げ、「今回はいろいろ考えて勝ち越しているし、いい方向に行っている。若手には負けたくない。自分の相撲を磨いて人を興奮させる相撲を見せたいなと思う」と話していました。
9勝目の逸ノ城は「前に攻めて圧力をかけられた。残りしっかり勝って、ふた桁にして終わりたい。とりあえずあす、しっかり勝って終わりたい」と話していました。
返り入幕の宇良は力強い相撲で新小結の明生を破り9勝目で「きのう、対戦相手を見た時、勝ちたいなという思いが特に強くなった。力を出し切れてよかった。けがしないように、最後まで相撲を取りきれるように頑張る」とふた桁白星に向け意気込んでいました。
勝ち越した関脇 御嶽海は「しっかり相手を見られて前にも出られたので、落ち着いて取れてよかった。まだ課題も残っているので頑張りたい。千秋楽、しっかり勝って終わりたい」と話していました。
14連勝の照ノ富士は「焦らないで落ち着いて相撲を取れたのでよかったなと思う」と振り返りました。18日の横綱 白鵬戦に向けては「自分に今できることを精いっぱいやりたい」と話していました。 (NHK WEB NEWS 2021年7月17日 19時21分)
欧州洪水、死者150人超に 行方不明者も多数 ―― 14~15日にかけてドイツ西部やベルギーを襲った豪雨と洪水による被害が拡大し、確認された死者は現地時間の17日朝(日本時間同日夕方)までに150人を超えた。集中豪雨が引き起こした洪水が家屋などを押し流し、被害を拡大させた。行方不明者が1000人以上との報道もある。道路や携帯電話といったインフラの寸断が安否確認の妨げとなっている。
独DPA通信によると、ドイツ西部のラインラント・プファルツ州と隣接するノルトライン・ウェストファーレン州を中心に発生した洪水による死者は17日朝時点で130人を超えた。ロイター通信によると、国境を接するベルギーの死者も少なくとも20人に達している。行方不明者がどれだけいるかは正確には把握されておらず、被害がさらに拡大する可能性がある。
欧州で大規模な洪水の被害が発生するのは2000年以降で4度目だ。詳細の分析はこれからだが、地球温暖化などの気候変動が豪雨をもたらしやすくなるとの指摘がある。ドイツのゼーホーファー内相は「この惨事が気候変動に関係していることを疑うことはできない」との認識を示している。 (日本經濟新聞 2021年7月17日 18:15)
ウェブニュースより
大相撲名古屋場所13日目 白鵬と照ノ富士 ともに全勝守る ―― 大相撲名古屋場所13日目、横綱 白鵬と、綱とりが懸かる大関 照ノ富士はともに全勝を守りました。
中入り後の勝敗です。
▽十両の旭大星に徳勝龍は、徳勝龍が寄り切りで勝ちました。
▽栃ノ心に剣翔は、栃ノ心が寄り切り。
☆栃ノ心 上手取れて良かった。こういう相撲を取りたいけど、なかなか取れない。あと2日間しかないけど、1つ1つ大事に取りたい。
★剣翔 自分が先に上手取りたかったんで、かまして左前みつを取りにいったがずれてあせってしまった。あと1番なんで、気合入れて勝ち越したい。
▽魁聖に宇良は、宇良に相手のまげを引く反則があって、魁聖が勝ちました。
☆魁聖 (相手の宇良が自身のまげをつかんで反則負け)感触はあった。初めて引っ張られたから「あれっ?」と思って。ぐっと引っ張られたから。指が引っかかっただけかもしれないし、分からないですね。
★宇良 (まげつかみの反則負けに)正直、負けになるとは思ってなかったですね。
▽新入幕の一山本に照強は、照強が押し倒し。
▽石浦に志摩ノ海は、石浦が下手投げ。
☆石浦 (幕内では昨年春場所以来の勝ち越し)ホッとした。7勝してから2連敗してズルズルいくかなと思ったけど、集中していきました。(兄弟子の横綱白鵬の存在)力もらっています。今日の相手の膝を手で押さえて投げる下手投げも、横綱に教わった技術。それで勝ち越しを決められたので、小さいけど恩返しができた。
★志摩ノ海 立ち合いが高かった。踏み込めず、向こうのペースになった。もっと攻めていきたかった。
▽英乃海に千代ノ皇は、千代ノ皇が寄り切り。
☆千代ノ皇 土俵際も油断せず、しっかり攻められたと思う。あと2日、全部勝つつもりでしっかり取り切りたいです。
▽千代の国に碧山は、碧山が押し出し。
▽宝富士に玉鷲は、玉鷲が押し出しで勝ちました。
☆玉鷲 (2桁10勝目)本当に久しぶりなんでうれしく思います。(元関脇寺尾=錣山親方に並ぶ歴代7位の連続1359回出場)意識してないですよ。親方はすごかったじゃないですか。自分の相撲をとってお客さんに喜んでもらえるのが一番です。
▽琴ノ若に千代翔馬は、琴ノ若が下手投げ。
☆琴ノ若 (自己最速で2桁白星に到達)慌てることなく、最後まで落ち着いて相撲を取れた。どういった姿勢になっても落ち着いて取ることだけ考えて取った。まだ残りあるので余計なことを考えずに残り2番、1日1日しっかり取りたい。
★千代翔馬 全然だめでしたね。(琴ノ若は)何かやりにくい。柔らかいし、攻めてこない。
▽妙義龍に千代丸は、千代丸が突き出し。
☆千代丸 自分はもろ手でいくつもりで相手が見てきた。来場所、勝ち越せるように頑張りたい。
▽大奄美に千代大龍は、千代大龍が押し出し。
▽輝に翔猿は、輝が取り直しの一番を押し出しで制しました。
▽豊昇龍に逸ノ城は、豊昇龍が取り直しの一番を下手投げで勝ちました。
☆豊昇龍 (逸ノ城は)今までで一番重い相手だった。(取り直しの一番は)疲れたけど勝てて本当によかった。
▽隆の勝に北勝富士は、北勝富士が押し出し。
☆北勝富士 (勝ち越しに)先場所は負け越したんで今場所は何としても勝ち越しを目指していた。ひとまずひと安心ですね。残り2日、けがしないよう集中して最後、笑っていられるようにしたい。
▽阿武咲に大栄翔は、大栄翔が押し出し。阿武咲は負け越しです。
▽霧馬山に新小結 明生は、明生が寄り切り。
☆明生 あせりました。必死でしたね。(新小結で勝ち越し王手)明日の一番にまた集中したい。自分を信じてやりたいと思っています。
▽新小結 若隆景に琴恵光は、若隆景が押し出し。
▽隠岐の海に関脇 御嶽海は、御嶽海が寄り切り。
☆御嶽海 まわしは絶対に取られたくなかった。取らせないように、しっかり自分の相撲がとれたと思う。(2桁勝利はなくなった)悔しいですね。もう1回、一からやり直したい。
▽綱とりの大関 照ノ富士に大関 正代は、照ノ富士が押し出しで初日から13連勝。
★正代 止まらないように自分から動くのは意識していた。いろいろ詰めなければいけないことはあるが、できることはやったんで。あと2日にかけようかなという感じですね。
▽横綱 白鵬に関脇 高安は、白鵬がとったりで13連勝としました。
名古屋場所は13日目を終え、優勝争いは全勝の白鵬と照ノ富士の2人に絞られました。
各力士の談話
去年春場所以来となる幕内での勝ち越しを決めた石浦は「7勝してから2連敗してずるずるいくんじゃないかと嫌な感じがしたが、集中して土俵に上がった。気を抜かずに頑張る」と話していました。
10勝目を挙げた琴ノ若は「我慢して相撲を取れればいいと思っていたので、落ち着こうと考えていた。残り2日、よけいなことを考えず1日一番、しっかり考えていきたい」と話していました。
取り直しの一番を制して逸ノ城を破り、幕内で初のふた桁白星にあと1勝とした豊昇龍は「今までの相手でいちばん重かった。本当に疲れた。1日一番が大切だと初日から思っているので、大事にしていきたい」と心境を話していました。
北勝富士も勝ち越しを決め「先場所負け越したので、今場所は何としても勝ち越したくて頑張ってきた。ひとまず一安心。残り2日けがしないよう、1日一番集中して、最後い笑っていられるようにしたい」と話していました。
綱とりの大関 照ノ富士は「焦ることなくやろうと思っていたので、よかったかなと思う」と振り返ったうえで、横綱が見えてきたかという質問に対しては「とりあえず場所を無事に終わらせることしか考えていない。あすの一番に向けて集中してやるだけ」と気を引き締めていました。
照ノ富士に敗れて7勝6敗となった大関・正代は「いろいろと詰めないといけないところもあったが、思い切りできることはやった。このままあと2日間、体が動いたらいいなと思う」と前向きでした。
横綱 白鵬は「体が動いている。横ではなくて下に投げを打つというのが勝利につながったのかな」と振り返りました。
優勝を争う照ノ富士については「落ち着いていて、動きもよかったと思う。力強かった」と話していました。
審判部長 照ノ富士の横綱昇進「成績的には十分満たした」
大相撲名古屋場所で、綱とりがかかる大関 照ノ富士が初日から13連勝したことを受けて、日本相撲協会の伊勢ヶ濱審判部長は「今場所、次点の成績は決まっている。成績的には十分満たした」と話し横綱昇進に向けた条件を満たしたという認識を示しました。
先場所大関として初めて優勝し、綱とりがかかる大関・照ノ富士は名古屋場所で大関 正代に勝って初日から13連勝としました。
16日の取組を終えた時点で優勝争いは照ノ富士と横綱 白鵬の全勝2人に絞られ、照ノ富士は優勝力士に次ぐ成績以上が確定しました。
横綱昇進に向けては、横綱審議委員会が横綱に推薦する条件として「大関で2場所連続優勝かこれに準ずる成績」という内規があります。
横綱昇進の議論を預かる日本相撲協会審判部の伊勢ヶ濱審判部長は、綱とりがかかる中での照ノ富士の成績を踏まえ「優勝か優勝に準ずる成績を残せば、自然とそういう声も聞こえる」としたうえで「すでに次点の成績は決まっている。優勝するに越したことはないが成績的には十分条件を満たしている」と話し横綱昇進に向けた条件を満たしたという認識を示しました。 (NHK WEB NEWS 2021年7月16日 23時44分)
ウェブニュースより
大相撲名古屋場所12日目 白鵬と照ノ富士 ともに12戦全勝 ―― 大相撲名古屋場所12日目、横綱 白鵬と綱とりがかかる大関 照ノ富士はともに全勝を守りました。
中入り後の結果です。
▽十両の天空海に千代の国は、千代の国がはたき込みで勝ちました。
▽徳勝龍に千代丸は、徳勝龍が寄り切り。千代丸は負け越しました。
★千代丸 (負け越し決定)今場所は一番も自分らしい前に出る相撲がないので、こういう結果になった。自分から右を差しにいって何もできずに負けた。
▽宇良に栃ノ心は、宇良が突き落としで勝ち越しました。栃ノ心は負け越しです。
☆宇良 (勝ち越しは)うれしいです。まだ終わっていない気持ちが強い。残りの相撲があるんで、そっちに集中したい。
▽輝に大奄美は、輝が小手投げ。
☆輝 ま、何とか。投げとか引き技にいかなかったのがよかったと思います。これで流れが変われば。
▽琴ノ若に魁聖は、琴ノ若が上手投げ。
☆琴ノ若 徹底してできたかなと思います。止まって(上手を)取られると苦しくなる。先手をとって上手を取られないようにうまく対応できたと思います。
★魁聖 (まわしを)取ったときに前に出ようと思ったら、足が滑って何もできなかった。
▽石浦に玉鷲は、玉鷲が押し出し。
☆玉鷲 (立ち合いは2度目で呼吸合う)その後しっかり気を引き締めて、下から逃がさないようにいった。(13日目に初土俵からの連続出場回数が歴代7位の現錣山親方、元関脇寺尾に並ぶ)いえいえ、それはとんでもないです。内容が大事。自分より親方の方が内容がいい。自分は数なので。
★石浦 気持ちがいきすぎたかも。内容というか、反省するところは分かっている。切り替えて、また明日という感じです。
▽志摩ノ海に剣翔は、志摩ノ海が寄り切り。
☆志摩ノ海 師匠(木瀬親方)に「踏み込みが悪い」とアドバイスされ、自然と体が動いた。立ち合いからの流れがよかったと思います。(勝ち越し王手)地元も近いんで気合入ります。
▽新入幕の一山本に宝富士は、宝富士が引き落としで勝ち越しました。
☆宝富士 (3場所ぶりの勝ち越し決定)素直にうれしい。(一山本は)いなしやはたきがうまい相手なので、慌てないようにじっくり攻めようと思っていた。
★一山本 よく攻められたと思うが、相手の方が一枚も二枚も上だった。勝ち越しが遠いですね。また明日から、しっかり気持ち切り替えて相撲をとれるよう頑張ります。
▽碧山に千代ノ皇は、千代ノ皇が押し出し。碧山は負け越しです。
▽千代翔馬に照強は、照強がこまたすくい。
▽豊昇龍に英乃海は、英乃海が上手投げ。
▽千代大龍に妙義龍は、妙義龍がはたき込み。
▽翔猿に隆の勝は、隆の勝が押し出し。
https://www3.nhk.or.jp/sports/special/sumomovies/clip/QLO7c73WIAFI89.html
★翔猿 なかなか勝てないですね。疲れてはいるけど一番一番集中していきます。
▽逸ノ城に北勝富士は、北勝富士が寄り切り。
https://www3.nhk.or.jp/sports/special/sumomovies/clip/w3GwCJj6th8uPg.html
▽大栄翔に琴恵光は、大栄翔がはたき込み。
▽阿武咲に新小結 若隆景は、阿武咲がはたき込み。
☆阿武咲 しっかり反応できたんでよかったと思います。
▽霧馬山に関脇 高安は、霧馬山が寄り切り。霧馬山はおよそ3分の長い相撲を制し、勝ち越しです。
☆霧馬山 我慢していったのがよかった。(高安には)今まで勝ったことがない。先に上手を取らせないようにした。いい相撲で勝ち越せてうれしいです。
▽隠岐の海に大関 正代は、正代が寄り切り。
▽新小結 明生に綱とりの大関 照ノ富士は、照ノ富士がきめ倒しで12連勝。
▽関脇 御嶽海に横綱 白鵬は、白鵬が寄り切りで12連勝です。
名古屋場所は12日目を終えて、白鵬と照ノ富士がともに全勝で並んでいます。 (NHK WEB NEWS 2021年7月15日 19時04分)
ウェブニュースより
大相撲 白鵬と照ノ富士 ともに全勝守る 名古屋場所11日目 ―― 大相撲名古屋場所は11日目、14日から終盤戦です。横綱 白鵬と綱とりがかかる大関 照ノ富士はともに勝って全勝を守りました。
中入り後の勝敗です。
▽大奄美に十両の松鳳山は、大奄美が寄り切りで勝ちました。松鳳山は負け越しが決まりました。
▽栃ノ心に徳勝龍は、栃ノ心が下手投げ。徳勝龍は負け越しです。
▽魁聖に剣翔は、剣翔が寄り切り。
☆剣翔 迷いなくいきました。重くて一気に前には出られなかったですが、全力でいきました。
▽石浦に照強は、照強が小手投げ。
☆照強 自分から先に先に攻めたんでよかったんじゃないですか。向こうは小さい。先に攻められると相手のペースになるんで。
▽玉鷲に一山本は、玉鷲が押し出しで勝って4場所ぶりの勝ち越しを決めました。
☆玉鷲(昨年11月場所以来の勝ち越し)本当に良かった。見た目は全然緊張していなかったけど、心の中では結構やばかった。勝ち越したけど落ち着いている場合じゃないので、その上がある。あと4番、1日一番を大事に楽しんでやっていきたい。
★一山本 相手は力が強いんで起こしてからどうにかと思ったが、のど輪が強くていけなかったです。
▽琴ノ若に志摩ノ海は、志摩ノ海が押し出し。琴ノ若は3敗に後退しました。
☆志摩ノ海 下から下からで懐に入れたのがよかった。(今場所は)星勘定は考えてなくて、勝っても負けてもいい相撲をとろうと。
★琴ノ若 (3敗目を喫して優勝争いから後退)それは意識していない。一番一番いい相撲を取りきることだけを意識していた。今日みたいな内容だと、後々流れが変わってくる。修正して明日に臨めれば。
▽英乃海に千代の国は、千代の国が突き出し。
☆千代の国 (連敗ストップは)よかったと思います。明日に向けて頑張ります。
▽輝に千代翔馬は、千代翔馬がすくい投げ。
▽妙義龍に千代ノ皇は、行司軍配差し違えで、千代ノ皇がうっちゃり。
☆千代ノ皇 (逆転に)久々のうっちゃり。勝てたからよかったですけど、前に出たかった。下半身、しっかりやっててよかったです。
▽宇良に霧馬山は、宇良がすくい投げ。
☆宇良 (相手の霧馬山は)ほぼ同期で、教習所で一番多く稽古した相手。(霧馬山の)体も大きくなっていて、自信はなかったけど力は出し切って良かった。当時のことを思い出しましたね。(勝ち越しに向けて)また一番頑張りたい。
▽阿武咲に千代丸は、阿武咲が押し出し。
★千代丸 立ち合いがダメでした。右を固めていこうと思ったが、右が入ってもろ差しみたいになってしまった。立ち合いに集中して終盤戦頑張りたい。
▽隠岐の海に宝富士は、宝富士が寄り切り。
☆宝富士 内容もよかった。相手も左四つの強い力士。上手が取れるまでじっくり攻めようと思った。(勝ち越し王手に)順調にきてるんでうれしいです。
▽北勝富士に碧山は、北勝富士が押し出し。
☆北勝富士 今日の相撲は今場所で1番いい相撲だったと思う。前に低く、下からというのを常に持っていて、体が動いてくれた。千秋楽に笑っていられるように頑張ります。
▽隆の勝に逸ノ城は、逸ノ城が押し出しで勝って2場所連続の勝ち越しを決めました。
☆逸ノ城 前に圧力かけて休まず攻められたんでよかったです。(三役復帰へ)その思いは強いです。そのために残りしっかり勝ちたい。
▽千代大龍に大栄翔は、大栄翔が押し出し。
▽琴恵光に新小結 明生は、明生が寄り切り。
☆明生 自分にとっては前の相撲も今日の相撲もよかった。(6勝目に勝ち越しは)そこを目標にやってます。
▽関脇 高安に翔猿は、高安がはたき込み。翔猿は負け越しです。
☆高安 落ち着いて相手を見ながらじっくりいきました。場所前はしっかり稽古ができて、アクシデントがあったけど、しっかり治して今日まで相撲が取れている。前向きに明日からも相撲を取りたい。
▽大関 照ノ富士に関脇 御嶽海は、横綱昇進に挑む照ノ富士が寄り切りで勝って初日からの連勝を11に伸ばしました。
☆照ノ富士 落ち着いて取れたのが良かった。必死に1日1日やっているだけ。ここからが大事になるので全力を尽くすだけです。
▽大関 正代に豊昇龍は、豊昇龍が寄り倒しで勝って勝ち越しを決めました。
☆豊昇龍 何より勝ってよかったです。しっかり当たって起こして前に出ようと。(大関正代に勝っての勝ち越し)うれしいです。
★正代 全体的に硬かった。先場所も負けたのでその悪いイメージがあった。対応も悪かった。
▽横綱 白鵬に新小結 若隆景は、白鵬が寄り倒しで勝って11連勝です。若隆景は負け越しです。
★若隆景 ダメですね。(立ち合いは)下から当たるだけです。切り替えて明日からも頑張りたい。
大相撲名古屋場所は11日目を終えて白鵬と照ノ富士が全勝とし、3敗でいずれも平幕の逸ノ城と豊昇龍、玉鷲、それに琴ノ若の4人が追う展開です。 (NHK WEB NEWS 2021年7月14日 19時01分)
藤井聡太王位が勝ちタイ「形勢は苦しいと」苦手・豊島将之竜王を終盤に逆転 ―― 将棋の最年少2冠、藤井聡太王位(棋聖=18)に豊島将之竜王(叡王=31)が挑戦している、「お~いお茶杯第62期王位戦7番勝負第2局」が14日、北海道旭川市「花月会館」で行われた。13日午前9時からの2日制で始まった対局は、14日午後6時59分、102手で後手藤井が勝ち、1勝1敗に追いついた。第3局は来週21、22日、神戸市「中の坊瑞苑」で行われる。
明らかに劣勢だった。序盤の作戦負けが尾を引き、押され気味になる。「形勢は苦しいと思っていました」と振り返った。持ち時間も減る。午後3時30分の段階で残り時間は60分を切った。相手はまだ2時間25分もある。粘って、攻勢を仕掛けた豊島のスピードが緩んだ瞬間を見逃さなかった。「後手7七桂(90手目)と打って、こちらの玉が詰まない形になった」。逆転の手応えをつかんだ。
https://www.youtube.com/watch?v=pO3LNCwKZ4E
過去1勝7敗と最も相性の悪い豊島から、通算2勝目を挙げた。地元名古屋で行われた開幕局(6月29、30日)は、見せ場なく完敗。持ち時間を1時間41分残し、午後3時35分と早い投了劇になった。第2局前日(12日)には、「(第1局は)持ち時間を残しての終局が反省点。(時間を)有効に使って戦いたい」。みごと終盤の逆転劇につなげた。
今月に入り、棋聖初防衛を皮切りにこれで4連勝。難敵からの勝利で、弾みも付く。昨年の王位戦7番勝負第2局の北海道対局(7月13、14日、札幌市)でも大逆転を演じた。その2日後に史上最年少初タイトルとなる棋聖を奪取。王位もストレートで奪取した。北の大地からの逆襲なるか? 「気持ちを新たにして精いっぱい頑張りたい」。連敗と1勝1敗では大違い。王位戦が、がぜん面白くなってきた。 [日刊スポーツ 2021年7月14日22時8分]
sechin@nethome.ne.jp です。
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