瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 夢渓筆談巻11 赫連の城
 延州故豐林縣城、赫連勃勃所築、至今謂之赫連城。緊密如石、劚之皆火出。其城不甚厚、但馬面極長且密。予親使人步之、馬面皆長四丈、相去六七丈、以其馬面密、則城不須太厚、人力亦難兼也。余曾親見攻城、若馬面長則可反射城下攻者、兼密則矢石相及、敵人至城下、則四面矢石臨之。須使敵人不能到城下、乃為良法。今邊城雖厚、而馬面極短且疏、若敵人可到城下、則城雖厚。終為危道。其間更多其角、謂之團敵、此尤無益。全藉倚樓角以發矢石、以覆護城腳。但使敵人備處多、則自不可存立。赫連之城、深可為法也。
〔訳〕延州(今の陝西省延安)にある旧豊林県城は、赫連勃勃の築いたもので、いまでも赫連城と呼んでいる。〔土を固めた城壁の〕堅固さは石のようで、どこを刃物で切りつけても火花が散る。城壁はそう厚いものではないが、突出部が長く伸びており、かつその数が多い。わたしがみずから歩測させてみたところ、突出部の長さはみな四丈〔約12m〕,間隔は六・七丈〔20m前後〕であった。突出部が数多くあれば城壁はあまり厚くする必要はないし、攻め手には攻略しにくいだろう。わたしも攻略戦を観戦したことがあるが、城壁の突出部が長いと、城壁の真下に攻め寄せてきた者を側面から射ることが出来るし、その上突出部の数が多ければ、〔どこも〕矢や石の射程投擲距離範囲内にカバーでき、敵が城壁の下に押し寄せると、まわりから矢や石が飛んで来ることになる。敵を城壁に寄せ付けないのにまことによい方法である。いま国境に築かれている城の城壁は厚さは厚いが、突出部はとても短くて数も少ない。もし敵に城壁の下に取り付かれたら、城壁が厚くても危ないものだ。そのうえ角を削って丸くして「団敵」と呼んでいるものが多いが、これは全く無益であり、楼角(やぐら)だけを頼りにして、そこから矢や石を放って城壁の下を守ろうとするものである。だがこれでは敵にみずからを守る死角を多く与えることになり、自分のほうが危ない。赫連の作った城を大いに手本とすべきだ。
 
21267d91.JPG※赫連勃勃(?~425年)は、五胡十六国のひとつである夏の建国の主である。匈奴族で、姓の赫連は古トルコ語で天を指すköklerに由来すると考えられているという。夏は東晋時代、北方では北魏と対立する強国で陝西省北部を本拠地とした。勃勃は無定河の上流、納領(ナリン)、西拉烏蘇(シリウス)の二川の合流点に、「統万(トウマン)城」という都城を築いた時にも、土を蒸して城壁を固めたが、もしその土がよく固まらなくて、錐で突いて少しでも刺さろうものならその工人を殺して城壁に埋め込んでしまうという苛酷さであったと「晋書」に述べられているという。
 
 朝が来れば、必ず夜が来るように生には必ず死がある。逝く者は再びは返り来ぬように、死せる者の再び生き返ることはない。
人として生を欲しない者があろうか。しかしてこれを永遠に生き返させることは出来ない。
人として逝く者を傷(いた)まない者はない。しかしてこれを留めて逝かせないでおくことは出来ない。
久遠に生き長らえさせることが出来ないのならば、生は欲しないがよい。
逝かせないでおくことができないのならば、逝く者は傷まないがよい。
死は必ずしも傷まず、生あることこそ傷むべきや? 逝く者を傷むことなかれ、願わくば生をこそ傷まん。
 
今夕、H寺においてマイチのお通夜に出かける。
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