桜橋~水神大橋間をひと回り。行きは殆んどが夜道。東白鬚公園内の梅若橋を越え、東京都リハビリテーション病院のまえをとおって、水神大橋を渡る頃辺りが漸く白み始める。全天雲に覆われ、所々に青空が見える。今日はスカイツリーに雨雲がかかっていないので、この後晴れるだろう。
水神大橋を渡ると、汐入公園を少し歩いて、テラスに降りて、水神大橋の下を潜り、少し北上した所に、背の低い低木か紫色の花をいっぱいに付けている。近寄ってみるとマメ科植物に特有の複葉で、蝶型をした花が房状についている。山上憶良が詠った「「萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花(万葉集・巻八 1538)」の秋の七草の最初にでてくる萩の花に違いあるまい。万葉集に詠われる花は萩の花が最も多いと聞く。何故か鹿を男性に萩を女性に擬した歌が盛んに歌われたという。
【通釈】巻8-1541の和歌:私の住む岡に牡鹿が来て鳴く。萩の初花を花嫁に得ようとやって来て鳴く牡鹿よ。/巻8―1542の和歌:私の住む岡の秋萩の花は、風がひどいので、今にも散りそうになってしまった。一緒に見て惜しむ人がいてくれたらよいのに。
橋場から今戸にかかる遊歩道でなにやら甘い嘗て何処かで嗅いだ香りがする。1本の金木犀があり、金色の花をいっぱい付けている。金木犀は雌雄異株であるが、日本では雄株しか入っていないので結実しないといわれる。金木犀の香りは甘めで強くしっかりとしているため、トイレ用の芳香剤として1970年代初頭から1990年代前半頃まで人気商品であったいう。
午前6時10分、対岸のアサヒビールの看板脇から今しもご来光。因みに、現在の東京の日の出は5時40分頃という。
今朝のウェブニュースより。
日本政界の影の実力者に、起訴相当の議決 ―― 【東京】日本の裁判所に設置され、くじで無作為に選出された11名の一般市民で構成される検察審査会は4日、民主党の小沢一郎元幹事長(68)を、政治資金規正法違反の容疑で起訴すべきだとする議決を公表した。小沢氏は今、これまでの波乱万丈のキャリアの中でも最大の危機に直面している。/日本の政治体制はここ数年、相次ぐスキャンダルと首相交代によって大きな痛手を受けており、今回の動きは、この不安定な状態をさらに動揺させることになりそうだ。/小沢氏は、わずか3週間ほど前に、民主党の代表選挙で菅直人首相と党首の座をかけた争いを演じ、敗れたばかり。与党である民主党の党首への選出は、首相の座を得ることを意味していた。このとき小沢氏が勝利していれば、憲法の規定により、首相であり続ける限り、訴追を免れることができるはずだった。ただし、小沢氏は、そうなった場合、特権は行使せず、裁判で戦うと主張していた。/日本のメディアが報じたところによると、小沢氏は声明で「わたしの問題でお騒がせしていることを心からおわび申し上げる。今後は裁判の場で無実であることが必ず明らかになるものと確信している」と述べた。/裁判で勝訴するか否かにかかわらず、今回の議決によって、影響力ある政治家としての小沢氏のドラマチックなキャリアには、実質、終止符が打たれることになる可能性が高い。小沢氏は、これまで20年近くも政界の実力者として君臨しながらも、一度も首相の座に就くことはなかった。/今回の検察審の議決によって、小沢氏は今後強制的に起訴されることになるり、党内のトップ議員2人による激しい代表争いによって生じた与党民主党の亀裂がさらに深まる懸念がある。/小沢氏は今後、他の議員から議員辞職を求められる可能性が高く、そうなれば小沢氏を支持する大勢の議員が指導者を失うことになる。こうした事態は、菅首相にとって党内の最大のライバル勢力の1つを弱めることになるが、中国との緊迫した膠着状態への対応をめぐる国民の怒りをはじめとした、さまざまな難題に苦しむ同政権の行方に新たな暗雲をもたらすことになる。/ 小沢氏は先月行われた民主党代表選に際して、検察審が起訴議決した場合も、離党も、議員辞職も必要はないと語っていた。/今回のような注目度の高い事件において、検察審が検察官による判断を覆す議決を行ったことは、日本の検察当局にとっても新たな失点となる。厚生労働省の局長が郵便割引制度悪用事件で起訴された事件で、担当検事の1人が証拠品改ざんの疑いで逮捕されたことで、検察当局は国民からの厳しい批判にさらされている。元局長は結局、無罪が証明され、先月職場復帰を果たしている。/日本のメディアによると、起訴された検事は、小沢氏の側近の1人の取り調べに際して一時的に応援要員として送り込まれていた。このことも、今回の検察審の判断に影響した可能性がある。この検事の2人の上司も後日、データ改ざんを隠ぺいした容疑で逮捕されている。/現在、小沢氏の去就、それが与党政権内の勢力図や菅首相の影響力にどのような影響を与えるかに注目が集まっている。日本では通常、起訴された場合、強制的に職務を放棄させられる。これは、日本では起訴の99%が有罪判決に至っているためだ。/最も注目されるのが、今回の件によって、民主党内の多くの小沢氏の支持者にどのような影響が及ぶかだ。支持者の大半が、自らの選挙戦での勝利に関して小沢氏の指導に恩義を感じており、9月の党代表選で小沢氏が敗れたことや、その結果、内閣や党内部の要職から小沢派の議員が「外された」ことに不満を持つ若手議員で占められている。小沢氏が離党または議員辞職した場合、これら支持者が、離党に踏み切るか、あるいは党内の他勢力との妥協を模索する道を選択するかは不透明だ。 (ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2010年 10月 5日 13:09 JST)
政界は暫く荒れ模様が続きそうだ。検察審が小沢一郎氏の強制起訴を再議決したらしい。今朝のウェブニュースから。
◇起訴まで長期化も 弁護士が検察官役、新証拠乏しく ―― 議決を受け、今後は東京地裁が指定する弁護士が検察官役となって小沢氏を起訴し、通常裁判と同じ手続きで公判が進められる。地裁は1~2週間程度で検察官役の弁護士を指定する見通しだ。/指定弁護士は必要に応じて補充捜査を行うが、新証拠が得られる見込みはなく、検察側の捜査資料を基に有罪立証せざるを得ないのが実情だ。膨大な捜査資料の把握も必要なため起訴まで数カ月かかる可能性もある。公判前整理手続きで小沢氏側が争うのも確実で、初公判が遅れることも予想される。兵庫県明石市の歩道橋事故(01年」では、今年1月の起訴議決から起訴まで約3カ月を要し、現在も公判前整理手続き中で、初公判の期日は決まっていない。/一方、第5審査会は4月の議決で土地購入費の支出約3億4000万円を翌年に記載した点を容疑とした。今回の議決は小沢氏の手持ち資金4億円を記載しなかった点を容疑に追加。起訴状にこの4億円を含めた場合、「1回目の審査内容を超えて議決した判断の是非が問われ、起訴の有効性が争われる可能性がある」(法曹関係者)という。
◇陸山会事件 ―― 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体(陸山会)が04年、小沢氏の手持ち資金4億円を土地購入の原資に充てながら同年の政治資金収支報告書に記載せず、05年にずらして土地購入を記載し、07年に4億円を小沢氏に返済しながら記載しなかったなどとされる政治資金規正法違反。東京地検特捜部は2月に石川知裕衆院議員ら元秘書3人を計20億円超の虚偽記載で起訴し、小沢氏を容疑不十分で不起訴とした。07年分の虚偽記載容疑については東京第1検察審査会が7月に「不起訴不当」と議決したが、9月に特捜部が改めて不起訴処分とし、審査手続きが終了している。 毎日新聞 2010年10月5日 東京朝刊
昨日は朝から快晴で気持ちのよい1日であったが、外にも出掛けず、プリント・製本三昧。失敗の繰り返し。大河ドラマ「竜馬伝」を見て、就寝。夜半に雨音で目が覚め眠れず。王維の「秋夜独坐」を書写してみる。
因みに、王維は仏教信者であり、字(あざな)の「摩詰」は本名と続けると維摩詰(ゆいまきつ、古代インドの商人で、釈迦の在家の弟子)となるところから付けたといわれている。
今朝は昨夜の雨が未だ止まず、外出できず。朝食後、雨も止んだようなので、花川戸のクロネコに立ち寄り、駒形橋を渡って、隅田川沿いに北上。東武線隅田川橋梁を過ぎたところから、テラスに降りて北上。白鬚橋を渡って帰宅しようと思ったのだが、桜橋を過ぎてしばらく北上した所で、雨が降り出したので、遊歩道に上がり、引き返し桜橋を渡って帰宅した。
明治通りを横切ると、隅田川テラスに降りて、桜橋まで南下。帰宅。
昨日は、菅首相の所信表明演説。迫力なし。来週から臨時国会いかがなることやら?
今朝のウェブニュースから。
京成橋を過ぎ西十間橋、十間橋の上に立って、十間川にその影を落とすスカイツリーをカメラに収めようとしたが、最早カメラに収めきれない。十間橋のうえで上流を見ると、北十間川を横切る歩道橋が見えるので、川沿いにさらに東進して陸橋の上に立つ。橋桁に「墨田区文花1丁目」とあり、その下は北十間側沿いに遊歩道がある。陸橋の上からスカイツリーにカメラを向けると、どうやら川面に影を落とす全体像が納まりそうだ。遊歩道にも降りてみた。
円朝は、新宿へ転居するまでの約10年間をこの本所南二葉町で過ごしたが、ここで円朝作品のうちで最も有名な「怪談牡丹燈籠」「塩原多助一代記」の噺を速記本として刊行し、「松操美人生埋(まつのみさおびじんのいきうめ)」「鶴殺疾刃庖刀(つるころしねたばのほうちょう)」「月謡荻江一節(つきにうたうおぎえのひとふし)」などの噺を創作したという。
他に「真景累ケ淵」、「文七元結」等を創作した。本業以外にも多彩で、歌道、和歌、俳句、書画、骨董(の目利き)等、さらには建築、作庭にも秀でていた。晩年、内藤新宿に自邸の数寄屋作りの建物や茶室をこしらえ、百坪当たりの枯山水の庭園は見事であった。この当時は落語から離れて禅に興味を示していたという。明治33年(1900)8月11日、下谷車坂の自宅にて死去した。享年62才。墓石には山岡鉄舟筆による「三遊亭円朝無舌居士之墓」とある。晩年収集した”幽霊画”は有名で、命日には全生庵で公開される。
今朝も雨で徘徊に出られず。
ウェブニュースより。
尖閣諸島漁船衝突事件 船長釈放への批判が集中 中国の漁業監視船が尖閣諸島沖を航行 ―― 政府は弱腰と批判続出の中国人船長釈放問題で、里帰りした渦中の船長は、地元で英雄扱いをされている。/とにかく事態は好転へという期待もつかの間、尖閣諸島沖の日本の領海との接続水域を、中国の漁業監視船2隻が航行していることが明らかになった。/また、中ロ首脳が急接近、戦勝国意識を高らかに日本を挟み撃ちとなるのか。/爆竹や花火を打ち鳴らし、まるで旧正月でも訪れたかのようなお祭り騒ぎの中国の街。/その中心にいるのは、先週、釈放された中国人船長で、笑顔を浮かべて両手でVサインをして、27日、福建省にある自宅に戻った。/集まっていた人は、「彼は英雄だ。釣魚島(尖閣諸島)は中国のものだ。日本のものではない」と話した。/がい旋した英雄のような熱烈歓迎ぶり。/船長釈放後、事態は沈静化するどころか、中国側はまさかの賠償と謝罪を要求し、日本政府はすぐさま拒否、日中関係のこじれは深刻さを増している。/仙谷官房長官は「現時点では、ボールは中国(側)にあるというふうに考えています」と述べた。/船長釈放への批判は、27日も集中した。
自民党の安倍元首相は、「9月24日は、日本にとって屈辱の日、恥辱の日として、残念ながら、記録されることになるかもしれません」と述べた。/自民党の石破政調会長は、「この国の統治機構というのは、一体どうなっているんだということであります」と語った。/自民党は、船長釈放の理由となった地検の判断に政府側の圧力があったとみて、攻勢を強める。/そして、ある法務省幹部からは「官邸の意向がなかったなんて、あり得ないと思う」、「仙谷さんが先導して、検察と話し合った結果、ああいう処分になったのだと思う」といった声が漏れ聞こえた。/さらに、与党である身内からも声が上がった。/民主党の松原 仁衆院議員は、「今回の決定は、国際社会において日本の敗北と位置づけられており、政権に対する期待を大きく裏切るものとなっている」と述べた。/こうした中、中国側の新たな揺さぶりが明らかになった。/仙谷官房長官は「(現在)2隻が徘徊(はいかい)をしております。領海の中には侵入していないと、そういう報告を受けております。こういうことは、おやめになったらいかがですかと、やめてくれということを申し入れているはずであります、申し入れております」と語った。/中国の監視船とみられる船2隻が、尖閣諸島周辺で活動しているという。/さらに日本人4人が当局に拘束された問題で、26日、丹羽駐中国大使が中国外務省に会談を申し入れたところ、断られていたことがわかった。緩むことのない中国の強硬姿勢。/民主党の鉢路国対委員長は、「ぜひASEM(アジア・ヨーロッパ会議)に、菅総理が出席をしたいと」と述べた。/菅首相は、これまで欠席の方向だった国会会期中となる10月4日、5日にベルギーで行われるASEMに出席する方向で調整に入った。/会議には、温家宝首相も出席の可能性があるという。/菅首相は「やはり、日本からそういう場にきちっと代表が出ることは大変重要だと、そう思っていました。この事件が起きる、起きないということを抜きにしても、もともと大変重要な会議だという認識はありました」と語った。
今のところ、首脳会談の可能性は不透明だが、国会日程を調整してまで臨んで、事態打開となるのか。/日中関係がもつれる中、日本にさらなる逆風か。/中国を訪れているロシアのメドベージェフ大統領が27日、胡錦涛主席らと会談した。/大連にある旧ソ連兵の墓地を訪れたメドベージェフ大統領は、「われわれは、戦争の真実を支持しなければならない。史実を歪曲(わいきょく)しようとする勢力がいるから、なおさらだ」と語った。/ロシアでは、2010年から日本が降伏文書に署名した9月2日を、第2次世界大戦終結の日に制定した。/事実上の対日戦勝記念日にあたる。/退役軍人は「記念日ができて、とてもうれしい。もっと早く制定すべきだった」と話した。/ウラジオストク市民は「正直、何の日かよくわからないけど、重要だと思う」と語った。/この記念日制定の裏には、北方領土の実効支配を正当化し、日本をけん制する狙いがあるとみられる。/また、ロシアの一部メディアは、29日にメドベージェフ大統領が北方領土を訪問する計画をしていると報じた。/ロシアと中国の両首脳は、第2次世界大戦での勝利を記念する第2次大戦終結65周年の共同声明を発表することになっている。/メドベージェフ大統領は「両国は戦略的協力関係を確認した。それは両国の地政学的問題をより解決しやすくする」と述べた。/対日戦の歴史認識で歩調をあわせ、緊密な連携をアピールする両国、日本に対しての強いけん制となる。/中国問題にくわしい富坂 聰氏は「中国は基本的に領土とか領海とかですね、そういうものに対して妥協するということは、一切ないですね」と語った。/インドやベトナムなどと、国境紛争で砲火を交えてきた中国は、はたして次にどんなカードを切ってくるのか。 (FNNフジニュースネットワーク、09/28 00:19)
名古屋市議会:リコール署名集め終了 ―― 河村たかし名古屋市長の支援団体「ネットワーク河村市長」による市議会解散請求(リコール)の署名集めが27日終了した。河村市長は同日夜、記者団に「ものすごい民意だ」と述べ、法定数36万5795人の署名確保に手応えを示した。支援団体は署名簿を、10月4日に各区選挙管理委員会に提出する予定だ。/有効署名数は10月下旬にも確定する。法定数を上回れば住民投票が行われ、賛成が過半数を占めるとリコールが成立し議会は解散される。河村市長は辞任して市長選を行う意向を表明しており、愛知県知事選に合わせ、市議選、市長選とのトリプル選挙が行われる見通しだ。 (毎日新聞 2010年9月28日 東京朝刊)
ウェブニュースより。
本日のウェブニュースから。
●外圧に弱い国と世界にメッセージ
中国は、仙谷の甘い考えを見透かしたように、報復カードを切り、圧力を強めていった。東シナ海ガス田交渉の一方的延期、要人・文化交流の停止……。温家宝首相は「中国は必要な『強制的な措置』をとらざるを得ない」と発言。中国語で「強制的」とは、公権力を振るう厳しい措置を意味する。事実、温家宝発言を境に、中国側は日本製造業の「生命線」とも言えるレアアースの事実上の輸出停止に踏み切り、フジタ社員4人を中国国内で拘束した。/そこに助け舟を出すように割って入ってきたのが、米国だ。/「対中関係について、日米が緊密に連携していく」(オバマ大統領)、「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲に含まれる」(クリントン国務長官)と日米会談の場で絶妙な“リップサービス”。ようやく日本側もコブシを下ろす機会を見いだすことができた。/「逆に言えば、日本は自らの力で外交問題を解決する能力がないことを改めて世界にさらしてしまったようなものです」(小山貴氏=前出)/しかも、中国側が強く出れば、日本は譲歩せざるを得ないという図式が国際的に知れ渡ってしまった。シンガポール国立大のイアン・チョンジ准教授(国際関係論)は「日本政府が外圧に弱いというメッセージを(世界に)与えた可能性がある」と指摘したが、その通りだ。仙谷の愚かな判断で、日本は世界の笑いものとなり、国際的な危機に立たされたのだ。
●国際的に漂流し始めた日本滅亡の道
中国人船長の釈放決定を受け、中国国内は“戦勝ムード”に包まれている。上海在住の日本人ジャーナリストはこう言った。/「中国での報道は“日本をやっつけた”というものがほとんどです。日本政府を押せば、折れるということが分かった。これからも、尖閣諸島の領有権にはじまり、ガス田共同開発や排他的経済水域境界線の画定など、東シナ海をめぐる諸問題で日本を挑発し、揺さぶりをかけるのは間違いありません。日中の力関係は完全にひっくり返ったというのが中国メディアの論調です」/こうなると、オバマ政権は日本に味方するフリをしながら、中国に有利な裏工作をしたようにもみえる。日本は、米国にも見捨てられたということだ。/普天間基地のグアム移転を勝手に延期したように、米国はもう日本の国内事情など考慮しなくなった。恐らく円高問題も放置する意向だろう。いよいよ、日本は国際的に漂流を始めたのである。/バカげたことに、仙谷は中国人船長の釈放を「那覇地検独自の判断だ。それを了とした」と繰り返した。自ら招いた歴史的汚点のツケを検察庁の地方機関に過ぎない那覇地検に押し付けようとしているのだ。/言うまでもなく、検察庁は外交問題の担当機関ではない。中国との外交関係をどうこう言うのは越権行為だ。元東京地検公安部長の若狭勝弁護士は「(検察が)船長を釈放すれば起訴できなくなり、バッシングを浴びる。経験上、検察単独では判断できず、何らかの政府の判断が検察側にももたらされたのではないか」と分析したが、当然だ。/領土問題という最も高度な政治・外交案件で、菅政権は何の判断も下さず、那覇地検に判断を委ねる。こんな異常はない。一地方機関が国家の判断を下すと、菅内閣は自ら“無政府状態”を満天下にさらしたのと同じだ。/「政治主導」が聞いてアキレる。大阪地検の捏造事件の処分が残る最悪のタイミングで那覇地検に国の判断を預ける無責任ぶりは言語道断だ。
●菅、仙谷が権力に居座る最大不幸
結末までのシナリオが描けていないなら、最初から船長を逮捕しなければよかったのである。中国側が日本の海域で挑発してきてもカッカせず、シッシと追い返せばよかったのだ。そうすれば、世界に恥をさらすこともなかったはずである。/この政権は、もうどうしようもない。外交も内政もスッカラカンだ。政治評論家の山口朝雄氏が言う。/「菅首相の取り巻きには、連立方程式のような外交問題を扱える人材が見当たりません。小沢元代表が首相になっていれば、展開は違っていたでしょうね。中国とのパイプがあるし、米国にもにらみが利く。圧力を掛けられてオタオタする前に、先を読んで手を打っていたはずです。菅政権にはそれがない。すべて受け身です。臨時国会は召集日すら野党の言いなりで前倒し。それでいて、補正予算案や郵政法案への対応は固まっていないという状況。このままいくと、補正予算は衆院の優越で通ったとしても、関連法案が潰される危険性が高い」
そうなっても菅や仙谷が権力を握り続けるようなら、この国は滅びるしかない。
(日刊ゲンダイ、2010年9月25日 掲載)
sechin@nethome.ne.jp です。
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