瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 東京夢華録 巻二 飲食果子(1)
 凡店內賣下酒廚子、謂之「茶飯量酒博士」。至店中小兒子、皆通謂之「大伯」。更有街坊婦人、腰繫青花布手巾、綰危髻、為酒客換湯斟酒、俗謂之「焌糟」。更有百姓入酒肆、見子弟少年輩飲酒、近前小心供過、使令買物命妓、取送錢物之類、謂之「閑漢」。又有向前換湯斟酒歌唱、或獻果子香藥之類、客散得錢、謂之「廝波」。又有下等妓女、不呼自來、筵前歌唱、臨時以些小錢物贈之而去、謂之「劄客」、亦謂之「打酒坐」。又有賣藥或果實蘿蔔之類、不問酒客買與不買、散與坐客、然後得錢、謂之「撒暫」。如此處處有之。唯州橋炭張家、乳酪張家、不放前項人入店、亦不賣下酒、唯以好淹藏菜蔬、賣一色好酒。

d47b9881.jpeg〔訳〕《飲み物・食べ物・果物》すべて酒店内では、酒の肴を売る料理人を「茶飯量酒博士(さけさかなのマスター)」と呼び、店内の小僧たちも、みな「大伯(にいさん)」と呼んだ。それから町方の女で、腰に青い綿布の手布(てふき)をまきつけ、危髷(たかまげ)に結いあげ、酒客の吸物をとりかえたり、お酌をしたりする女を、俗に「焌糟(おしゃく)」といった。さらに町人で酒楼に入り、若殿ばらが酒を飲んでいるのを見ると、進み出てまめまめしくつかえ、物を買ったり、妓女を呼んだり、銭や物のやりとりなどをするものを「閑漢(のだいこ)」といい、また、進み出て吸物をとりかえ、酌をし、歌ったり、あるいは果物や香薬のたぐいを献じたりして、客が帰る際に金をもらうものを「斯波(たいこもち)」といった。また、下等の妓女で、呼ばぬのに向こうからやって来て、客が飲んでいる前で唱(うた)を歌い、そのばでわずかばかりの心付けをやると立ち去るのを「剳客(ながし)」とも「打酒坐(さけのざもち)」ともいった。それから薬を売ったり、果物・大根〔中国では大根も果物として賞味される〕の類も売り、酒客が買うと買わぬとを問わす座客にくばり、あとで金をもらうのを「撒暫(くばりおき)」といった。こうした連中どこの店にもいたものだ。ただ州橋〔東京城内を流れる汴河にかかる諸橋のうち、御街の正面にかかるのが天漢橋で俗に州橋と呼ばれた〕の炭張家・乳酪張家〔二軒の張家を、客たちは炭――黒い――張家と、乳酪――これは牛羊の乳の脂肪を固めて造った食品で白い――張家という呼び名で区別したのだ〕は、鼓のような連中を店に入らせず、また酒の肴も売らず、ただ気のきいた漬物の野菜だけを突き出しに、好い酒一色を売った。
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プロフィール
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目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
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くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
 sechin@nethome.ne.jp です。


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