Web News より
辺野古工事「目もくらむ数字」 寄付、衆院選も地方選も ―― 米軍普天間飛行場の移設関連工事を受注した沖縄県の建設会社は、衆院選や地元首長選で候補者側へ寄付を重ねていた。沖縄の建設会社にとっては公共工事が「命綱」とされる。総額3500億円の移設工事も、逃せない事業だったという。
「辺野古移設は公共工事の一つ。会社の売り上げを上げたいという思いはあった」。2014年衆院選の時に寄付した建設会社の関係者は打ち明ける。
衆院選投開票を前にした14年12月、沖縄県浦添市の建設会社が県内地盤の国場幸之助、宮崎政久、西銘恒三郎(以上自民)、下地幹郎(おおさか維新)の4衆院議員側に計80万円を寄付。同市の別の建設会社も12月、西銘議員側に50万円を寄付した。
この2社は15年に入ってから、護岸工事などを国から受注した。寄付した後の契約のため、公職選挙法の特定寄付には該当しないが、寄付はいずれも解散から投開票日までの期間内だった。14年にこのほかの寄付はなかった。
14年衆院選では、沖縄市の建設会社が国からの工事受注後、11~12月に議員6人に計90万円を寄付。公選法が禁止する特定寄付の可能性があるなど、選挙時の寄付が広がっている。
別の建設会社社長によると、衆院選の投開票日の1カ月ほど前になると毎回、自民を中心に候補者側から集会への動員を求める文書がファクスや郵送で送られてくる。14年衆院選の時に参加したところ、事務所で陣営担当者から寄付の要請があったという。
この時期の寄付計220万円について、5議員は「誤解を受けないため」として、朝日新聞の取材後に計160万円を返金した。もう1人も返金について検討している。
地方選挙も似た構図だ。
2013年12月に仲井真弘多・前知事が辺野古移設容認を表明し、移設の是非が争点になった14年1月19日投開票の沖縄県名護市長選。
移設関連工事を受注した県内5社は12月16日から1月16日にかけ、移設容認派の元自民県議の候補者側に計110万円を寄付していた。
「資金が厳しいので支援して欲しい」。名護市長選挙を控えた13年12月、建設会社社長の男性は、顔見知りの建設会社役員らを通じて頼まれ、移設を容認する候補者側に寄付した。
男性は「3千億円超という辺野古工事は目もくらむ数字。でも、地元で受注できるのは一部。(移設容認候補の落選で)政府と話ができなくなることの方が心配だった」と振り返る。
同様に寄付した別の建設会社の経営者の男性も「期待するのは国とのパイプ。国に見放されたら誰が仕事を持ってきてくれるのか」と語気を強めた。07年、移設先のV字形滑走路案を進める国に地元が反対して移設交渉が中断した際、国の北部振興予算が一時凍結され、同業者が何社か倒産した。「政府は恐ろしい。移設反対と言うと、いろんな予算が減らされる」
候補者の元県議は「私の政治活動への寄付だ。私からお願いもしていない」と話した。
14年11月16日の沖縄県知事選では、告示1カ月ほど前から、工事を受注した県内の4社が計270万円を自民党県連と自民名護市支部に寄付した。県連と市支部は同年10~11月に、立候補した仲井真氏を支援する二つの政治団体に計1億5300万円を寄付していた。
仲井真前知事は「ノーコメント」としている。
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《特定寄付の禁止》 公職選挙法は、国と請負契約を結ぶ個人や企業が国政選挙に関して寄付してはならず、政治家側も要求してはならないと定める。政策が寄付者の影響を受ける事態などを防ぐためと解釈されている。地方自治体の首長や議員の選挙でも同様の規定がある。違反した場合は3年以下の禁錮または50万円以下の罰金に問われる。 (朝日新聞DIGITAL 2015年12月4日03時03分)
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