Web News より、
水木しげるさん死去 93歳 伝説の妖怪に息吹 ―― 「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」などで親しまれた漫画家の水木しげる(みずき・しげる、本名武良茂=むら・しげる)さんが三十日午前七時ごろ、心筋梗塞のため東京都内の病院で死去した。九十三歳。鳥取県境港市出身。自宅は東京都調布市。葬儀・告別式の日取り、喪主は未定。
水木さんが入院していた杏林大付属病院(東京都三鷹市)によると、水木さんは今月十一日に自宅で転倒し、頭を強く打って都内の別の病院に搬送された。同日、杏林大付属病院で緊急手術を受けた。二十八日に呼吸状態が悪化し、三十日午前に死亡が確認された。
武蔵野美術学校(現武蔵野美術大)中退。太平洋戦争下の一九四三年に応召。激戦地ニューブリテン島ラバウルで、左腕を失う。復員後、紙芝居作家をへて上京し、貸本漫画家に。五八年、「ロケットマン」でデビュー。「墓場鬼太郎」「河童の三平」など、人間世界の不条理に切り込むユーモラスな妖怪もので人気を集めた。
漫画誌「ガロ」や少年誌にも多くの作品を連載。「ゲゲゲの鬼太郎」は何度もテレビアニメや映画になり、幅広く愛された。九死に一生を得た戦争体験をもとにした「総員玉砕せよ!」などの戦記漫画も多い。
一九六五年の「テレビくん」で講談社児童漫画賞。九六年、日本漫画家協会賞文部大臣賞を受賞。二〇〇七年には自伝漫画「のんのんばあとオレ」で仏アングレーム国際漫画フェスティバル最優秀賞を日本人で初めて受けた。
九一年に紫綬褒章、〇三年に旭日小綬章を受章。妻布枝(ぬのえ)さんの自伝をもとにしたNHKドラマ「ゲゲゲの女房」がヒットした二〇一〇年、文化功労者に選ばれた。
今年五月には、水木さんがラバウルに出征する前年の二十歳のころに書いた手記が発見され、七月に文芸誌に掲載された。「毎日五萬(まん)も十萬も戦死する時代だ。芸術が何んだ哲学が何んだ。今は考へる事すらゆるされない時代だ」などの混乱する感情がつづられていた。
◆戦争体験 原動力に
<評伝> 漫画家の水木しげるさんは、日本に古くから伝わる妖怪を描き続け、一つの文化をつくり上げた。子泣き爺(じじい)や、砂かけ婆(ばばあ)、一反木綿…。伝説の妖怪は、水木さんの手で生き生きとよみがえり、人々の心に焼き付いている。
幼いころ、手伝いで家に来ていた「のんのんばあ」から聞かされた話で妖怪に興味を持った。二〇一〇年に取材したとき、「頭がいいもんだから小さいころ聞いた話をみんな覚えていてね」と頭を指さし、いたずらっぽく笑ってみせた。
戦争体験を投影した漫画も印象深い。二十一歳で故郷の鳥取連隊に入営し、ニューブリテン島へ。空襲や銃撃に加え、飢えに苦しみ、ワニやマラリア蚊におびえた。さらに玉砕命令が水木さんら兵隊を追い詰めた。戦記漫画「総員玉砕せよ!」に書いたことの九割近くが「本当です」。そう言った時の真剣なまなざしは、戦争への深い怒りに満ちているように見えた。
一九六五年の「テレビくん」が評価されるころまでは貧乏時代。そのころ描いた鬼太郎やねずみ男は、自分と同じく「しょっちゅうおなかがすいてるの」。
二〇一〇年、柳田国男の名著を漫画化した「水木しげるの遠野物語」を刊行したころ、「昔は、ランプだったから。妖怪話には都合がいい」と繰り返していた。物質的に豊かになるのと裏腹に、目にみえるものばかりを信じがちになる時代の流れを、嘆くかのようだった。
(東京新聞 2015年11月30日 13時56分)
大規模なエルニーニョ現象、6年ぶり暖冬か 気象庁予想 ―― この冬は6年ぶりに暖冬となる見込みだ。気象庁は、西高東低の冬型の気圧配置が強まりにくく、東日本と西日本、沖縄・奄美地方の12月~来年2月の平均気温が平年より高くなるとみる。昨年6月から続く大規模な「エルニーニョ現象」が予想の根拠という。
日本から遠く離れた、赤道が通る太平洋の日付変更線付近から南米ペルー沖で、海面水温が平年よりも高い状態が続くのがエルニーニョ現象だ。過去30年間の水温の平年値と比べ、どれだけ高いかで規模を判断する。気象庁によると、過去最大だった1997年春~98年春は最大で3.6度高くなった。82年春~83年夏の3.3度、72年春~73年春の2.7度が続く。
今回は10月末の海面水温は2.7度高く、過去3位タイだった。気象庁は「12月にかけてさらに発達する。過去最大には届かないが、かなり大規模なエルニーニョ現象になる見通し」としている。
一般的にエルニーニョ現象が起きると異常気象になり、日本では冷夏暖冬になる傾向とされる。 仕組みは複雑だ。東の赤道付近で海水温が平年より高くなる反動で、①フィリピン付近では海水温が平年より低くなり、高気圧ができやすくなる。②偏西風が日本の東で北に蛇行し、北海道の東にある低気圧の影響が本州付近では弱く、冬型の気圧配置が長続きしない。③本州では、大陸の高気圧から冷たい北西風が吹きにくくなる。この結果、東日本以西の寒さが緩むと考えられている。北海道と東北地方では平年並みの寒さになる見通しだ。
一方で雨や雪への注意も必要だ。エルニーニョ現象でフィリピン付近で高気圧ができやすくなると、その高気圧の西側を通る形で、本州の南岸を発達しながら進む「南岸低気圧」が発生しやすくなり、太平洋側で雨が降りやすくなる。ここに強い寒気が南下するなどの条件が重なると、首都圏でも大雪が降ることもあるという。
気象庁によると、97年春~98年春は、西日本や沖縄・奄美で1度、東日本で0.6度高かった。一方、過去2番目の規模だった82年春~83年夏は、西日本と沖縄・奄美で平年値を0・4度下回った。安田珠幾・エルニーニョ情報管理官は「一般的にはエルニーニョ現象の年は暖冬と言われる。ただ、大規模な現象が起きても平年並みの冬になる年もあり、現象の規模と暖冬の関係は十分に解明されていない」としている。 (朝日新聞 2015年11月30日20時07分)
COP21開幕、温暖化防止の枠組み焦点 対テロも議論 ―― 国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議(COP21)が30日、同時多発テロの標的となったパリで開幕した。温暖化に伴う地球の異変を防ぐため、すべての国が参加する新しい国際枠組みづくりを目指す。会議には約200カ国・地域が参加し、初日には約150カ国の首脳が出席。世界に拡散するテロへの対策を議論する場にもなる。会期は12月11日まで。
首脳会議の冒頭、議長国フランスのオランド大統領は「皆さんが出席してくれたことが希望のしるしだ。地球の将来についてここパリで決める。そのためにフランスは全力を注ぐ」と力を込めた。国連の潘基文(パンギムン)事務総長は「人々と私たちの地球の将来はあなたたちの手にかかっている。すべての国が参加する強固な合意が必要だ」と話した。
安倍晋三首相も現地時間の夕方登壇し「世界の首脳は、テロに屈することなく、ここに集まった。今こそ新たな枠組みへの合意を成し遂げ、国際社会の連携を示そう」と訴える。
合意案を作る実務レベルの作業部会は、一足先に29日夜に始まっている。30日夜から実質的な議論を始め、12月5日までに合意案を完成させる。7日からの閣僚級会合で詳細を詰め、11日の最終日までにすべての国が参加する法的拘束力のある合意文書を採択することを目指す。
初日に大規模な首脳会合を開くのは、21回のCOPの中で初めての試み。「政治的な意志を表明し、合意に向けた弾みを作る」としている。
30日午後には、米仏の呼びかけでクリーンエネルギー技術開発に関する首脳級会合が予定され、日本を含む20カ国が今後5年間で、研究開発費を総額200億ドルに倍増させることで合意する見通し。米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏やアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、ソフトバンクの孫正義社長ら28の起業家・組織が研究開発を加速させる大規模な投資計画も発表される。
世界の首脳は、繰り返されるテロと戦う決意も確認する。パリでは、約130人が犠牲になった同時テロが11月13日に起きたばかり。オランド仏大統領は、黙禱(もくとう)に続く開幕演説で、テロを地球温暖化と並ぶ「挑戦」と位置づけ、「テロのない世界を子どもたちに手渡さねばならない」と力を込めた。
会場の内外では、日仏をはじめ米仏、米ロ、仏エジプトといった首脳会談が重ねられる見通し。米オバマ大統領は30日朝、中国の習近平(シーチンピン)・国家主席と会談し、過激派組織「イスラム国」(IS)に中国人が殺害されたことに哀悼の意を示し、「(テロは)我々すべてにとっての脅威にほかならない」と語りかけた。
COPが開かれているパリ郊外ルブルジェの国際会議場は、自爆テロが起きたサッカー場に近い。非常事態宣言下にあるパリや周辺では自動小銃を手にした警官や兵士らが目立つ。会場近くでは高速道路などの通行が規制され、仏全土で12万人が警備にあたっている。 (朝日新聞 2015年11月30日22時06分)
sechin@nethome.ne.jp です。
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