瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 夢渓筆談 巻25より 船旅の心得
 江湖間唯畏大風度。冬月風作有漸、船行可以為備;唯盛夏風起於顧盻間、往往罹難。曾聞江國賈人有一術、可免此患。大凡夏月風景、須作於午後。欲行船者、五鼓初起、視星月明潔、四際至地、皆無雲氣、便可行;至於巳時即止。如此、無復與暴風遇矣。國子博士李元規雲:「平生遊江湖、未嘗遇風、用此術。」
cc33fc2b.jpeg〔訳〕江湖の間〔華中の水郷地帯〕では大風を専らおそれる。冬の風は前触れがあるので、船で行く際にも、用意をする間もあるが、盛夏の風はあっという間に起こるので、遭難することが多い。しかし水郷付近の商人は、うまい方法を心得ていて、この災難を免れることができるという。だいたい夏の風というものは午後に起こるものだから、船旅をする者は、五鼓〔午前4時〕に、起きて、星や月がすっきりと四方の地平線まで見えて一点の雲も無いとなると出発することにし、巳の刻〔午前十時前後〕には船をとめる。このようにすれば暴風に遭遇することは無いのである。国子博士の李元規も、「平生江湖に遊んでおるが、いまだかつて風に遇ったことはない。この方法を用いているから」といっている。
 
※これは揚子江流域の中国人の旅の心得であったようで、いまでも四川の村々の小さな宿屋の紙燈篭には
「未晩先投宿(日のくれぬうちにとまり)、鶏鳴早看天(とりなくこえにそらをみよ)」という追聯が書いてあるという。
 
 夢渓筆談 巻25より カニなき里の鬼
 關中無螃蟹。元豐中、余在陜西、聞秦州人家收得一乾蟹。土人怖其形狀、以為怪物。每人家有病虐者、則借去掛門戶上、往往遂差。不但人不識、鬼亦不識也。
〔訳〕関中〔陝西省〕にはカニがいない。元豊年間〔宋、神宗の年号。1078~85年〕に、わたしは陝西にいたが、こういうことを聞いた。秦州〔甘粛省天水県〕の民家では乾したカニを手に入れると、土地の者たちがその形をおそれて怪物だと思い込み、瘧(おこり)を病む者が出たいえではみなこれを借りていって門のとの上に掛けて厄払いをする者が多いと。人が知らないだけでなく、病鬼もまたこれを知らないというわけだ。
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