瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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  音楽用語にはイタリア語に起源を発する言葉が多い。音楽用語の中にはイタリアから直接日本に入ったものもあろうが、それよりも一旦英語やドイツ語などに取り入れられて、それから日本語に入ってきたもののほうが多いらしい。
 Alto(アルト)、Viola(ヴィオラ)、Opera(オペラ)、clarinetto(クラリネット)、quartetto(クワルテッド)、concerto(コンチェルト)、Scherzo(スケルツォ)、sonata(ソナタ)、soprano(ソプラノ)、solo(ソロ)、tarantella(タランテラ、ナポリの舞曲、宜しければお聞きあれhttp://www.youtube.com/watch?v=VYA7hMeM9Os)、cello(チェロ)、tenore(テノール)、duet(デェエット)、tempo(テンポ)、trio(トリオ)、piano(ビアノ)、fagotto(ファゴット)、finale(フィナーレ)
などは、おそらくイタリア語からの直接の輸入ではあるまい。同じ音楽用語でも
 Adagio(アダジオ、緩やかに)、andante(アンダンテ、歩くような速さで)、pianissimo(ピアニシモ、きわめて弱くの意。記号pp)、forte (フォルテ、強くの意、記号f)、Moderato(モデラート、ほどよい速さで)
のような専門用語になると、あるいは楽譜などを通して直接イタリア語から取り入れられたと見做すのが適切かもしれない。
7fbdaee2.jpeg 音楽とは縁遠くなるが、fascio (ファッショ、極右の国家主義的、全体主義的政治形態=fascism)だとか、あるいはmacaroni(マカロニ)、Spaghetti(スパゲッティ)のようなイタリア人の食べ物、あるいはgondola(ゴンドラ)のようなヴェネチア特有の舟 ―― こういう言葉はイタリア語から直接借り入れたといってもよかろうが、Influenza(インフルエンザ)、Madonna(マドンナ)、motto(モットー)、regata(レガッタ)などは英語を通して入ってきたのかもしれない。しかし、どの言葉がイタリア語を原語としており、どの言葉が他の外国語周りで入ってきたかは、簡単に決定することは出来ない。
1 casino (カジノ): 元々は小屋の意味。フランス語を通じて。
2 ghetto (ゲットー): 元々はヴェネツィアの地名。イタリア語での発音はゲット。ヨーロッパ諸都市内でユダヤ人が強制的に住まわされた居住地区である。第二次世界大戦時、東欧諸国に侵攻したナチス・ドイツがユダヤ人絶滅を策して設けた強制収容所もこう呼ばれる。
3 zero (ゼロ):アラビア語からイタリア語で現在の形に。英語を通じて。
4 solo (ソロ):音楽用語を通じて、グループ活動に対して1人の意。
5 tempo (テンポ):音楽用語を通じて。イタリア語では天候なども表すが、時間の進み方の意味だけ。
6 ciao (チャオ):イタリア語ではくだけた関係での挨拶で、出会いと別れの両方に使用し、日本語でも砕けた挨拶に使用する。ヴェネツィア語の奴隷が起源。
7 totocalcio (トトカルチョ):イタリア語の「サッカーくじ」が転じて闇賭け試合
8 paparazzi (パパラッチ): Celebrity(セレブリティ、大衆にひろく注目されている人)をつけまわし、彼らのプライベート写真などを撮影して生計を立てるカメラマン一般をさす俗称。元の意味は「蚊」。イタリア語の発音ではパパラッツィ。単数形はpaparazzo (パパラッツォ)
9 biennale (ビエンナーレ):二年毎に行われる美術展覧会。語源となったヴェネツィア・ビエンナーレは、世界中から美術作家を招待して開催される展覧会として100年以上の歴史がある。
e7c0a673.jpeg10 bravo (ブラヴォー):観客・聴衆などが賞賛の意を込めて発する感嘆詞。イタリア語での発音はブラーヴォで、イタリア語では声をかける対象の性数により語尾変化する。日本語へは、フランス語を介して輸入されたとみなされている。
11 prima donna (プリマ・ドンナ) : 演劇など(特にオペラ)で主役の女性。イタリア語では大統領夫人などにも使用される。
※漱石の「坊ちゃん」にも出てくる『Madonna (マドンナ)』という言葉がある。内容的には「聖母マリア」または「イエスを抱いた聖母像」で、そこからして「(マドンナのような)美しい人」をさす言葉のイメージがある。このイメージからして、世の人々は歌劇の主役を演ずる女性歌手を「プリ・マドンナ」というようになった。しかし、これは誤りである。なぜなら、プリマドンナは英語回りで来た、もとはイタリア語のprima(最初の) donna(女性)なのである。因みに、Madonnaはかつて、ma donna――つまり英語のmy ladyであったのと平行して、プリマドンナとはfirst ladyなのである。
12 mafia (マフィア):イタリアのシチリア島を起源とする組織犯罪集団である。19世紀から恐喝や暴力により勢力を拡大し、1992年段階では186グループ(マフィアのグループは「ファミリー」と呼ばれる)・約4000人の構成員がいるという。
13 manifesto (マニフェスト): ラテン語で「手(manus)」と、「打つ(fendere)」が合わさった、とする説が有力。「手で打つ」⇒「手で感じられるほど明らかな」⇒「はっきり示す」と派生したと考えられている。これがイタリア語でManifesto (伊)「声明(文)・宣言(文)」となる。その後、イギリスにおいて党首の演説がManifesto(声明文)と呼ばれるようになったという。
14 motto (モットー):日常の行為の目標や方針となる事柄。また、それを表現した語句。標語。座右の銘。イタリア語での発音はモット。
15 Montenegro (モンテネグロ):ヨーロッパ南東部、バルカン半島に位置する国の国名。ヴェネツィア語から。
 
 同じように十六・七世紀にスペインと通商していた頃ではなく、ずっと時代がくだって明治以降にスペイン語から取り入れられたものとして、
36f5976d.jpeg1 Armadillo(アルマジロ):全身ないし背面は体毛が変化した鱗状の堅い板(鱗甲板)で覆われている。アルマジロ(Armadillo)という英名はスペイン語で「武装したもの」を意味する armado に由来する。
2 Guerrilla(ゲリラ):スペイン独立戦争でナポレオン軍に抗して蜂起したスペイン軍やスペイン人民衆の採った作戦を、guerrilla〔ゲリーリャ、 guerra「戦争」+縮小辞-illaで「小さな戦争」を意味する〕と呼んだのが、ゲリラの語源である。戦線を作らず、小規模の部隊に分かれ、会戦を徹底して回避して、小規模な襲撃や待ち伏せ、敵方の施設破壊等の後方攪乱によって戦争を継続する方法、そのような展開になった戦争、さらにそうした戦争を行なう組織を言う。
3 Señorita(セニョリータ):未婚の女性に対する呼びかけや、名前につけて敬称として用いる。
4 Jai Alai(ハイアライ):スペインの球技。敵味方の選手が、手にはめたラケットで硬球を壁に交互に打ちつけて得点を争うもの。17世紀にバスク地方で始まり、フランス・イタリア・メキシコなどでも行われている。
5 bolero(ボレロ):スペイン起源のダンスまたは音楽。18世紀末に始まったもので、1780年頃に舞踊家Sebastiano Carezo(セバスティアーノ・カレッソ)が創作したともいう。3拍子で、元来は歌にカスタネットやギターでリズムをつけ、1人またはペアで踊るダンスだった。19世紀になるとヨーロッパ全体に広まった。〔宜しければご覧あれ。 http://www.youtube.com/watch?v=VpeB749SG9w
などがある。
 
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つぶやき その17
日高先生

こんばんは。外来語の多さに連日ハッとします。
古来からある美しい日本語も忘れないようにしたいと感じる今日この頃です。「つぶやき その17」です。

「忘れてしまった基本概念」:
先日とある店で靴を購入しました。とてもはきやすくて気に入っています。
店員さんが「今カードを作って頂くと2000円割引、さらに10%オフになります。すぐにできます。」
と言うので「身分証明書が必要ですよね?」と尋ねると「後で結構です。すぐできます。」と「すぐ」を繰り返すので、いそいそと後をついていきました。
しかし、ふたを開けてみれば彼らの「すぐ」は30分、私の「すぐ」は3分、桁違いの感覚だったので
手続きは途中で投げ出しました。
時間に対する「ものさし」が全然違ったのです。
最初に正直に「身分証明書が必要で、30分位かかりますがお時間頂けますか?」と言ってくれれば良かったのに。
そうすれば「次回、時間があるときに申し込みますね。」と穏やかな心でいられたのに。
「なんだただの嘘つきか」と感じると同時に、甘い言葉に誘われた私自身もバカなのだ、と久しぶりに
自分と相手に対し、すごく腹が立ちました。心中、癇癪をおこしました。
私は非常に短気ですが、怒りっぽい性格ではありません。
利益を求めるあまり誠意のない対応をするのは如何なものかと思いつつ、
うまい話しに乗ってしまった自分を反省する日でありました。

愚痴を最後まで読んで下さりありがとうございます(*^_^*) Kより
K 2012/09/26(Wed) 編集
プロフィール
ハンドルネーム:
目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
 sechin@nethome.ne.jp です。


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