瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 東京夢華録 巻二 飲食果子(2)
 所謂茶飯者、乃百味羹、頭羹、新法鵪子羹、三脆羹、二色腰子、蝦蕈、雞蕈、渾砲等羹、旋索粉、玉碁子、群仙羹、假河魨、白渫虀、貨鱖魚、假元魚、決明兜子、決明湯虀、肉醋托胎襯腸、沙魚兩熟、紫蘇魚、假蛤蜊、白肉夾面子、茸割肉胡餅、湯骨頭乳炊羊、A羊、鬧廳羊、角B腰子、鵝鴨排蒸、荔枝腰子、還元腰子、燒臆子、入爐細項蓮花鴨簽、酒炙肚胘、虛汁垂絲羊頭、入爐羊、羊頭簽、鵝鴨簽、雞簽、盤兔、炒兔、蔥潑兔、假野狐、金絲肚羹、石肚羹、假炙獐、煎鵪子、生炒肺、炒蛤蜊、炒蟹、煠蟹、洗手蟹之類、逐時旋行索喚、不許一味有闕。或別呼索變造下酒、亦即時供應。
ec237994.jpeg〔訳〕いわゆる「茶飯(さかな)」とは、百味羹、頭(とうこう)、新法鵪子(あんし)、三脆(さんぜい)、二色腰子(ようし)、蝦蕈(かしん)、雞(けいしん)、渾砲等(こんほうとう)、旋索粉(せんさんふん)、玉碁子(きし)、群仙(ぐんせん)河魨(かかとん)、白渫虀(はくちようせい)、貨鱖魚(かけつぎょ)、元魚(かげんぎょ)、決明兜子(けつめいようし)、決明湯虀(とうせい)、肉醋托胎襯腸(にくさくたくたいしんちょう)、沙魚、紫蘇(しそ)魚、蛤蜊(こうり)、白肉夾面子、茸割肉胡餅(じょうかつにくこへい)、骨頭乳炊羊(とうこつとうにゅうすいよう)、A羊(とんよう)、鬧廳羊(とうちょうよう)、角B(かくしゃ)腰子、鵝鴨排蒸(がほうはいじょう)、荔枝(れいし)腰子、還元腰子、臆子(しょうおくし)、入爐細項蓮花鴨(にゅうろさいこうれんかおうせん)、酒肚胘(しゅしゃとげん)、虛汁垂羊頭(きょじゅうすいしようとう)、入爐羊(にゅうろよう)、羊頭、鵝鴨、雞、盤兔(ばんと)、兔(しょうと)、蔥潑兔(そうはつと)、野狐(かやこ)、金肚羹、石肚羹、假(かしゃしょう)、煎鵪子(せんあんし)、生肺(せいしょうはい)、蛤蜊、蟹、蟹、洗手蟹のたぐいである。つぎつぎに店の中をまわって注文をとり、一品でも欠けることは許されなかった。もし別に変わった品を注文しても、すぐさま求めに応じて整えられるのであった。
 
※「茶飯」とは酒の肴のことであり、以下列挙された食品名にはおよその見当がついてもはっきりとは判らない物が多い。中国の料理名は、材料名と調理法の名称を組み合わせて示すのが原則で、ここに列挙された食品名もほぼその原則に従っているものと思われる。本文中の調理方法〔傍線―でしめす〕の名称を拾ってみると
 羹〔こう〕=「あんかけ汁」  虀〔せい〕=細切りにして味噌などに和えること。〔和え物〕  假〔仮〕=擬製料理、たとえば「仮蟹」といえば、黄魚〔黄グチ〕を原料として、蟹の肉のように擬製したもの  煠〔渫〕=「炸(さ)」に同じで、てんぷらにすること  湯=「すまし汁」「吸物」  熟〔じゅく〕=煮えが通るまで煮ること  焼=炙(しゃ)と同じか、または煮付けることの二種の調理法に用いる語  炙=直接火にかざして炙り焼くこと  簽(せん)=北京の料理屋では「炸肥腸(チャフエイチャン)」を「炸簽(チャヂエン」)という。炸肥腸という料理はよく白煮した肥腸(大腸)を三、四寸に切り、強火で1・2分、こんがりと油で挙げたものを、炒って粉末にした山椒と塩を混ぜたものをつけて食べる料理をいう。  炒(しょう)=少量のあぶらで炒め煮ること  煎=多量の油で揚げる。
05497f03.jpeg 次に判る範囲で材料名〔網掛け〕を拾ってみると、
 鵪子(あんし)=ウズラの卵  腰子(ようし)=腎臓のこと。とくに豚の腎臓は中国料理では盛んに用いられる  蕈(しん)=きのこ  索粉(さくふん)=青大豆の粉で作った索麺(そうめん)  碁子(きし)=本来碁石のことであるが、小麦粉を水で固く練って、板の上で薄くしたものを、竹筒の切り口で押し切ったものらしい。これを煮て黄粉をかけた「碁子麺(きしめん)」と呼ばれる点心の菓子があったという。
河魨(かとん)=河豚(ふぐ)のこと  河鱖魚(かけつぎょ)=江南地方でよく獲れる魚で、アイナメのたぐいで美味という  決明=ハブソウとよばれるマメ科の薬草。約10㎝のさやになる種子を緩下強壮剤として利用する。ハブ茶として茶の代用ともする。  沙魚(さぎょ)=サメ  白肉=南宋では水煮の肉を言うが、北宋では圧して油を抜いた肉を言った。  胡餅=現在中国で言う焼餅(シャオピン)、うどん粉を練って薄く焼いたもの。名称の由来については胡人が常食していたからとも、胡麻が付いていたからとも言う。 肚胘(とげん)=牛羊の重弁胃のこと。ふつう百葉という。反芻の一時食物を貯える胃。  獐(しょう)=ノロのこと。鹿に似てより小型のもの。
 
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