瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
昨夜の雨が早朝まで続く。徘徊に出かけられず。朝っぱらからパソコンを開いて、ブログを打つ。
今朝のウェブニュースより
最古の戸籍記す木簡出土 太宰府・国分松本遺跡 ―― 福岡県太宰府市教委は12日、同市国分の国分松本遺跡から、人名や身分など戸籍の内容を記した国内最古の木簡が出土した、と発表した。用いられた語句から、律令(りつりょう)国家体制を整える大宝律令(701年)以前に作成されたとみられ、7世紀代にさかのぼる戸籍関連史料は初めて。国家統治の基となる戸籍制度が、大宝律令以前から機能していたことを示す貴重な史料として注目される。/国分松本遺跡は古代の大宰府政庁から北西に1.2キロ。今年3~6月の調査で河川跡から出土した木簡10点のうち、1点(長さ31センチ、幅8.2センチ、厚さ8ミリ)の両面に、地名や人名、続柄などが記されていた。/地名の「嶋評(しまのこおり)」は現在の福岡県糸島市から福岡市西区にかけての地域。「評」は大宝律令以前の地方行政単位で、後の「郡」に当たる。/人名は「建部身麻呂(たけるべのみまろ)」「白髪部伊止布(しらかべのいとふ)」など16人分が確認され、「兵士」などの身分、「母」や「子」など続柄が添えられたものや、「戸」(世帯)の増減を示す「附」「去」の文字もあった。天武天皇が685年に定めた冠位の一つ「進大弐(しんだいに)」の記述もあり、「評」の表記と合わせて685~701年の間に作成されたと推定される。/坂上康俊・九州大大学院教授(日本古代史)によると、この木簡は住民の異動を記していることから、戸籍を基に毎年作成する「計帳」に関係する可能性が高いという。/古代日本では、大宝律令以前の法制度として、持統天皇が689年に「飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)」を制定し、翌690年に全国で「庚寅年籍(こういんねんじゃく)」が作られた。しかし浄御原令の実態ははっきりせず、庚寅年籍も現存していない。坂上教授は木簡について「浄御原令での戸籍・計帳制度がシステマチックに運用されていたことを示す第一級史料」としている。/また木簡に遠隔地の嶋評の記述があり、出土場所が大宰府政庁に近いことから、太宰府市教委は遺跡の近くに筑前国を管轄する役所が存在した可能性があるとみている。/同市教委は16日午前10時から、同市国分の市文化ふれあい館などで現地説明会を開く。
◇ ◇
▼徴税と徴兵が目的か
平川南国立歴史民俗博物館館長(日本古代史)の話 誰にでも身近な戸籍のルーツが見つかり、多くの情報が読み取れるのは画期的だ。見つかったのは690年に作られた戸籍である庚寅年籍(こういんねんじゃく)からの異動内容を記録した木簡とみられる。紙の戸籍が後世に残るのはまれで、木簡が出土しないかぎり、実態は永久に分からないものだった。木簡が作られた7世紀後半は、大陸や朝鮮半島との緊張関係が続いた時代で、徴税だけでなく兵士の確保を主な目的に戸籍が整備されたと考えられる。=2012/06/13付 西日本新聞朝刊= 2012年6月13日 01:11
東京夢華録 巻二 飲食果子(3)
又有外來托賣炙雞、燠鴨、羊腳子、點羊頭、脆筋巴子、薑蝦、酒蟹、獐巴、鹿脯、從食蒸作、海鮮、時菓、旋切萵苣生菜、西京笋。又有小兒子、著白虔布衫、青花手巾、挾白磁缸子、賣辣菜。又有托小盤賣乾果子、乃旋炒銀杏、栗子、河北鵝梨、梨條、梨乾、梨肉、膠棗、棗圈、梨圈、桃圈、核桃、肉牙棗、海紅、嘉慶子、林檎旋、烏李、李子旋、櫻桃煎、西京雪梨、夫梨、甘棠梨、鳳梄梨、鎮府濁梨、河陰石榴、河陽查子、查條、沙苑榅桲、回馬孛萄、西川乳糖、獅子糖、霜蜂兒、橄欖、溫柑、綿棖金橘、龍眼、荔枝、召白藕、甘蔗、漉梨、林檎乾、枝頭乾、芭蕉乾、人面子、巴覽子、榛子、榧子、蝦具之類。諸般蜜煎香藥、果子罐子、黨梅、柿膏兒、香藥、小元兒、小臈茶、鵬沙元之類。更外賣軟羊諸色包子、豬羊荷包、燒肉乾脯、玉板鮓A、鮓片醬之類。其餘小酒店、亦賣下酒、如煎魚、鴨子、妙雞兔、煎燠肉、梅汁、血羹、粉羹之類。每分不過十五錢。諸酒店必有廳院、廊廡掩映、排列小閤子、吊窗花竹、各垂簾幙、命妓歌笑、各得穩便。
〔訳〕また、外から炙雞(しゃけい)、燠鴨(おうおう)、羊腳子(ようきゃくし)、點羊頭、脆筋巴子(ぜいきんはし)、薑蝦(きょうか)、酒蟹(しゅかい)、獐巴(しょうは)、鹿脯(ろくほ)、從食蒸作(じゅうしょくじょうさく)、海鮮時菓(かいせんじか)、旋切萵苣生菜(せんせつわきょしょうさい)、西京〔せいけい〕の笋(たけのこ)を手の上にのせて売りに来るものがあった。また、白い虔布(こわぬの)の衫(ひとえ)に青い綿布の手巾(てふき)をもち、白磁の缸(かめ)を小脇にかかえて辣菜〔ちっさい、辛子と大根を煮付けたもの。ぴりりと辛い〕を売る子供もいた。また、手のひらに小皿をのせて、乾し果物、すなわち旋炒銀杏(いりぎんなん)、栗子(くり)、河北の鵝梨(がり)、梨條(りじょう)、梨乾、梨肉、膠棗(こうそう)、棗圈、梨圈、桃圈、核桃(くるみ)、肉牙棗(にくがそう)、海紅(かいこう)、嘉慶子(かけいし)、林檎旋(りんごせん)、烏李(うり)、李子旋櫻桃(りしせんおうとう)、煎西京雪梨(せんさいけいせつり)、夫梨(ふり)、甘棠梨(かんとうり)、鳳梄梨(ほうせいり)、鎮府〔江蘇章〕の濁梨(だくり)、河陰〔河南省)の石榴(ざくろ)、河陽〔河南省〕の查子(しどみ)、查條(さじょう)、沙苑〔陝西省〕の榅桲(まるめろ)、回馬〔西域〕の孛萄(ぶどう)、西川〔陝西省〕の乳糖、獅子糖、霜蜂兒(そうほうじ)、橄欖(かんらん)、溫州〔淅江省〕の蜜柑(みかん)、綿棖(だいだい)、金橘(きなかん)、龍眼肉、荔枝(れいし)、召白藕(しょうはくれんこん)、甘蔗(さとうきび)、漉梨(ろくり)、林檎乾(りんごかん)、枝頭乾(しとうかん)、芭蕉乾、人面子(じんめんし)、巴覽子(はらんし)、榛子(しんし)、榧子(ひし)、蝦具(かぐ)のたぐいを売るものもあれば、さまざまな蜜煎(みつづけ)の香薬菓子罐子(かんし)、黨梅(とうばい)、柿膏兒(しこうじ)、香薬小元兒(こだんご)、小臈茶(しょうろうちゃ)、鵬沙元(ほうさがん)のたぐいを売るものもあった。さらに外では軟羊諸色包子(ひつじのにくまんじゅう)、豬や羊の荷包(かほう)、燒肉、乾肉、玉板鮓A(ぎょくばんさは)、鮓片醬(さへんしょう)のたぐいを売っていた。そのほかの小さな酒店でも酒の肴を売った。煎魚、鴨子(おうし)、妙雞兔(しょうけいとう)、煎燠肉、梅汁、血羹(けっこう)、粉羹(ふんこう)のたぐいのようなものであり、それぞれ値段は十五文を越えなかった。各酒店には、必ず庁院(ざしき)があった。ひさしを重なり合わせてずらりと並んだ小座敷には、窓に花竹をあしらい、それぞれ簾や幙(とばり)をたらして、妓女を呼んで歌笑し、思いのままに遊ぶことが出来た。
※酒蟹=カニの酒漬けのこと 脯(ほ)=乾し肉 従食蒸作=饅頭(マントウ)、包子〔パオズ、餡入り饅頭〕、糕〔こう、蒸しパン〕、元〔がん、団子〕、月餅(げっぺい)などの蒸し菓子系統の点心類 萵苣生菜(わきょしょうさい)=チサ〔レタス〕。中国ではチサの茎の皮をはいで生で食べ、これを俗に萵筍(ウォンスン)という。
※鵞利(がり)=黄河の南北に産する梨の一種で皮が薄く、汁が多いもの 海紅=海棠(かいどう)の実。中国の海棠は日本のカイドウとは別種のナガサキリンゴのこと。 喜慶子=東都の喜慶坊にスモモの木があり、その実が美味かったので喜慶子といったという 査子=木瓜に似た落葉潅木クサボケの実で、酸味があり食用になるので、日本ではシドミという。 回馬=馬姓を名のる回教徒をさす。中国西北地方に住み漢語を話す回教徒たちは、マホメットを馬聖人と呼び、その馬の字をもって、自分の漢字姓とするのがつねであった。 乳糖=砂糖を精製してして、牛乳と混ぜ石蜜としたものを乳糖といい、四川だけに作られたという。 獅子糖=乳糖の一種。四川の乳糖獅子は冬至前に作られたものは色が白くて好くもつが、冬至後に作られたものはすぐ駄目になるという。 人面子=広東省に産する植物の実。桃の実ににて、その核が、両目・口・鼻の揃った人面の形をしているので、この名がある。実は蜜漬けにすると甘酸味がして美味。 巴覧子(はらんし)=杏の核に似た実で、色が白く西蕃から来たもの。木は桜桃に似ている。 榛子=ハシバミの実。 榧子=カヤの実 菓子罐子=いま中国で言う果子乾児(カキ・レンコン・アンズなどの乾したものに砂糖を混ぜ熱湯でふやかした、どろりとした食品)にあたるものか? 柿膏兒=モチゴメに干し柿を混ぜ、搗き潰して蒸したもの。俗にカキヅキというとあるものに類したものか? 元児=小さな団子のこと。ふつう「円」と書く。大きな団子は「団」 小﨟茶=﨟茶とは、茶の葉を餅状に固めて表面に蝋を塗った茶。蝋茶とも書く。 荷包=本来「巾着」のこと巾着型をした料理名に好く使われる。例えば、「荷包蛋(ホーパオタン)」といえば、鶏卵を巾着状に油で煮たもの 玉板鮓A=魚の漬物や干物の類。
※酒閣を庁院と呼び、酒閣内に寝台をそっと隠してあるものもあったという。都では楼上の酒客の席はそれぞれ小室となっており、これを酒閣子といった。つまり二階の小部屋のこと。
今朝のウェブニュースより
最古の戸籍記す木簡出土 太宰府・国分松本遺跡 ―― 福岡県太宰府市教委は12日、同市国分の国分松本遺跡から、人名や身分など戸籍の内容を記した国内最古の木簡が出土した、と発表した。用いられた語句から、律令(りつりょう)国家体制を整える大宝律令(701年)以前に作成されたとみられ、7世紀代にさかのぼる戸籍関連史料は初めて。国家統治の基となる戸籍制度が、大宝律令以前から機能していたことを示す貴重な史料として注目される。/国分松本遺跡は古代の大宰府政庁から北西に1.2キロ。今年3~6月の調査で河川跡から出土した木簡10点のうち、1点(長さ31センチ、幅8.2センチ、厚さ8ミリ)の両面に、地名や人名、続柄などが記されていた。/地名の「嶋評(しまのこおり)」は現在の福岡県糸島市から福岡市西区にかけての地域。「評」は大宝律令以前の地方行政単位で、後の「郡」に当たる。/人名は「建部身麻呂(たけるべのみまろ)」「白髪部伊止布(しらかべのいとふ)」など16人分が確認され、「兵士」などの身分、「母」や「子」など続柄が添えられたものや、「戸」(世帯)の増減を示す「附」「去」の文字もあった。天武天皇が685年に定めた冠位の一つ「進大弐(しんだいに)」の記述もあり、「評」の表記と合わせて685~701年の間に作成されたと推定される。/坂上康俊・九州大大学院教授(日本古代史)によると、この木簡は住民の異動を記していることから、戸籍を基に毎年作成する「計帳」に関係する可能性が高いという。/古代日本では、大宝律令以前の法制度として、持統天皇が689年に「飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)」を制定し、翌690年に全国で「庚寅年籍(こういんねんじゃく)」が作られた。しかし浄御原令の実態ははっきりせず、庚寅年籍も現存していない。坂上教授は木簡について「浄御原令での戸籍・計帳制度がシステマチックに運用されていたことを示す第一級史料」としている。/また木簡に遠隔地の嶋評の記述があり、出土場所が大宰府政庁に近いことから、太宰府市教委は遺跡の近くに筑前国を管轄する役所が存在した可能性があるとみている。/同市教委は16日午前10時から、同市国分の市文化ふれあい館などで現地説明会を開く。
◇ ◇
▼徴税と徴兵が目的か
平川南国立歴史民俗博物館館長(日本古代史)の話 誰にでも身近な戸籍のルーツが見つかり、多くの情報が読み取れるのは画期的だ。見つかったのは690年に作られた戸籍である庚寅年籍(こういんねんじゃく)からの異動内容を記録した木簡とみられる。紙の戸籍が後世に残るのはまれで、木簡が出土しないかぎり、実態は永久に分からないものだった。木簡が作られた7世紀後半は、大陸や朝鮮半島との緊張関係が続いた時代で、徴税だけでなく兵士の確保を主な目的に戸籍が整備されたと考えられる。=2012/06/13付 西日本新聞朝刊= 2012年6月13日 01:11
東京夢華録 巻二 飲食果子(3)
又有外來托賣炙雞、燠鴨、羊腳子、點羊頭、脆筋巴子、薑蝦、酒蟹、獐巴、鹿脯、從食蒸作、海鮮、時菓、旋切萵苣生菜、西京笋。又有小兒子、著白虔布衫、青花手巾、挾白磁缸子、賣辣菜。又有托小盤賣乾果子、乃旋炒銀杏、栗子、河北鵝梨、梨條、梨乾、梨肉、膠棗、棗圈、梨圈、桃圈、核桃、肉牙棗、海紅、嘉慶子、林檎旋、烏李、李子旋、櫻桃煎、西京雪梨、夫梨、甘棠梨、鳳梄梨、鎮府濁梨、河陰石榴、河陽查子、查條、沙苑榅桲、回馬孛萄、西川乳糖、獅子糖、霜蜂兒、橄欖、溫柑、綿棖金橘、龍眼、荔枝、召白藕、甘蔗、漉梨、林檎乾、枝頭乾、芭蕉乾、人面子、巴覽子、榛子、榧子、蝦具之類。諸般蜜煎香藥、果子罐子、黨梅、柿膏兒、香藥、小元兒、小臈茶、鵬沙元之類。更外賣軟羊諸色包子、豬羊荷包、燒肉乾脯、玉板鮓A、鮓片醬之類。其餘小酒店、亦賣下酒、如煎魚、鴨子、妙雞兔、煎燠肉、梅汁、血羹、粉羹之類。每分不過十五錢。諸酒店必有廳院、廊廡掩映、排列小閤子、吊窗花竹、各垂簾幙、命妓歌笑、各得穩便。
〔訳〕また、外から炙雞(しゃけい)、燠鴨(おうおう)、羊腳子(ようきゃくし)、點羊頭、脆筋巴子(ぜいきんはし)、薑蝦(きょうか)、酒蟹(しゅかい)、獐巴(しょうは)、鹿脯(ろくほ)、從食蒸作(じゅうしょくじょうさく)、海鮮時菓(かいせんじか)、旋切萵苣生菜(せんせつわきょしょうさい)、西京〔せいけい〕の笋(たけのこ)を手の上にのせて売りに来るものがあった。また、白い虔布(こわぬの)の衫(ひとえ)に青い綿布の手巾(てふき)をもち、白磁の缸(かめ)を小脇にかかえて辣菜〔ちっさい、辛子と大根を煮付けたもの。ぴりりと辛い〕を売る子供もいた。また、手のひらに小皿をのせて、乾し果物、すなわち旋炒銀杏(いりぎんなん)、栗子(くり)、河北の鵝梨(がり)、梨條(りじょう)、梨乾、梨肉、膠棗(こうそう)、棗圈、梨圈、桃圈、核桃(くるみ)、肉牙棗(にくがそう)、海紅(かいこう)、嘉慶子(かけいし)、林檎旋(りんごせん)、烏李(うり)、李子旋櫻桃(りしせんおうとう)、煎西京雪梨(せんさいけいせつり)、夫梨(ふり)、甘棠梨(かんとうり)、鳳梄梨(ほうせいり)、鎮府〔江蘇章〕の濁梨(だくり)、河陰〔河南省)の石榴(ざくろ)、河陽〔河南省〕の查子(しどみ)、查條(さじょう)、沙苑〔陝西省〕の榅桲(まるめろ)、回馬〔西域〕の孛萄(ぶどう)、西川〔陝西省〕の乳糖、獅子糖、霜蜂兒(そうほうじ)、橄欖(かんらん)、溫州〔淅江省〕の蜜柑(みかん)、綿棖(だいだい)、金橘(きなかん)、龍眼肉、荔枝(れいし)、召白藕(しょうはくれんこん)、甘蔗(さとうきび)、漉梨(ろくり)、林檎乾(りんごかん)、枝頭乾(しとうかん)、芭蕉乾、人面子(じんめんし)、巴覽子(はらんし)、榛子(しんし)、榧子(ひし)、蝦具(かぐ)のたぐいを売るものもあれば、さまざまな蜜煎(みつづけ)の香薬菓子罐子(かんし)、黨梅(とうばい)、柿膏兒(しこうじ)、香薬小元兒(こだんご)、小臈茶(しょうろうちゃ)、鵬沙元(ほうさがん)のたぐいを売るものもあった。さらに外では軟羊諸色包子(ひつじのにくまんじゅう)、豬や羊の荷包(かほう)、燒肉、乾肉、玉板鮓A(ぎょくばんさは)、鮓片醬(さへんしょう)のたぐいを売っていた。そのほかの小さな酒店でも酒の肴を売った。煎魚、鴨子(おうし)、妙雞兔(しょうけいとう)、煎燠肉、梅汁、血羹(けっこう)、粉羹(ふんこう)のたぐいのようなものであり、それぞれ値段は十五文を越えなかった。各酒店には、必ず庁院(ざしき)があった。ひさしを重なり合わせてずらりと並んだ小座敷には、窓に花竹をあしらい、それぞれ簾や幙(とばり)をたらして、妓女を呼んで歌笑し、思いのままに遊ぶことが出来た。
※酒蟹=カニの酒漬けのこと 脯(ほ)=乾し肉 従食蒸作=饅頭(マントウ)、包子〔パオズ、餡入り饅頭〕、糕〔こう、蒸しパン〕、元〔がん、団子〕、月餅(げっぺい)などの蒸し菓子系統の点心類 萵苣生菜(わきょしょうさい)=チサ〔レタス〕。中国ではチサの茎の皮をはいで生で食べ、これを俗に萵筍(ウォンスン)という。
※鵞利(がり)=黄河の南北に産する梨の一種で皮が薄く、汁が多いもの 海紅=海棠(かいどう)の実。中国の海棠は日本のカイドウとは別種のナガサキリンゴのこと。 喜慶子=東都の喜慶坊にスモモの木があり、その実が美味かったので喜慶子といったという 査子=木瓜に似た落葉潅木クサボケの実で、酸味があり食用になるので、日本ではシドミという。 回馬=馬姓を名のる回教徒をさす。中国西北地方に住み漢語を話す回教徒たちは、マホメットを馬聖人と呼び、その馬の字をもって、自分の漢字姓とするのがつねであった。 乳糖=砂糖を精製してして、牛乳と混ぜ石蜜としたものを乳糖といい、四川だけに作られたという。 獅子糖=乳糖の一種。四川の乳糖獅子は冬至前に作られたものは色が白くて好くもつが、冬至後に作られたものはすぐ駄目になるという。 人面子=広東省に産する植物の実。桃の実ににて、その核が、両目・口・鼻の揃った人面の形をしているので、この名がある。実は蜜漬けにすると甘酸味がして美味。 巴覧子(はらんし)=杏の核に似た実で、色が白く西蕃から来たもの。木は桜桃に似ている。 榛子=ハシバミの実。 榧子=カヤの実 菓子罐子=いま中国で言う果子乾児(カキ・レンコン・アンズなどの乾したものに砂糖を混ぜ熱湯でふやかした、どろりとした食品)にあたるものか? 柿膏兒=モチゴメに干し柿を混ぜ、搗き潰して蒸したもの。俗にカキヅキというとあるものに類したものか? 元児=小さな団子のこと。ふつう「円」と書く。大きな団子は「団」 小﨟茶=﨟茶とは、茶の葉を餅状に固めて表面に蝋を塗った茶。蝋茶とも書く。 荷包=本来「巾着」のこと巾着型をした料理名に好く使われる。例えば、「荷包蛋(ホーパオタン)」といえば、鶏卵を巾着状に油で煮たもの 玉板鮓A=魚の漬物や干物の類。
※酒閣を庁院と呼び、酒閣内に寝台をそっと隠してあるものもあったという。都では楼上の酒客の席はそれぞれ小室となっており、これを酒閣子といった。つまり二階の小部屋のこと。
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目高 拙痴无
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