瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
油、酒、醤油のようなものを、与えられた容器だけを用いて等分する問題が、「油分け算」である。吉田光由の著した『塵劫記』に、こんな問題がある。
「斗桶に油が1斗(=10升)ある。これ二人で分けるのだが、7升ますと3升ますしかない。この二つだけで、5升ずつ等分してほしい。」
そのやり方としては、まず3升ますで3杯7升ますへ入れると、3杯目は3升ますに2升残る。そこで、7升ますの油を斗桶に戻し、3升ますに残った2升を7升ますに移す。そうしてから、もう1回斗桶から油を3升ますに入れ、これを7升ますに加えれば、7升ますと斗桶に5升ずつあることになり、これで等分されたことになる。
この油分け算は、『塵劫記』以前の日本の文献には見当たらないし、中国の文献にも見当たらない。しかし西洋には古くからあるので、キリスト教の宣教師が伝えた可能性もあるが、これと同一の問題が見当たらないので、断定はできない。あるいは何かがヒントになって、日本で作り出されたのかもしれない。
西洋には、13世紀の中頃にはすでにこの種の問題があったといわれている。Claude-Gaspard Bachet 〔クロード=ガスパール バシェー、1581~1638年、フランスの数学者〕の著した『数学遊戯問題集』(改訂増補版、1624)には、8パイントのワインを、5パイントと3パイントの容器で等分する問題が載っている。また、16バイントを9パイントと7パイントの容器で、同じく16を11と6の容器で、42を27と12の容器で等分する問題も載っている。そして、いずれも解法が2つずつしめされている。西洋の問題は、いずれもワインや精油を等分する問題になっている。
油分け算を解く一般的なルールは次の通りである。A、B、C、3種類の容器があって、A>B>Cだとすると、
(1)Bが空なら、Aの油をBに満たす。
(2)Bに油が入っていたら、次のどちらかを行う。
(イ)Cが一杯でなければ、Bの油でCを満たす。
(ロ)Cが一杯なら、それをAにあけてから、(イ)を行う。
以上の操作を繰り返せば自然に解が得られる。
油分けの問題について、1939年、Tweedie(ツイーディー)という人が、《Mathematical Gazette》誌で、グラフを用いる巧妙な方法を紹介している。図(左)は『塵劫記』の問題をグラフにしたもので、х軸は3升ます、у軸は7升ます、斜め方向に書かれている数は、斗桶に入っている油の量を示している。出発点はx=0、y=0の点、つまりDであり、目的地はx=0、y=5の点(○印)である。
1回の移動は直線状を行けるところまで行くこととし、途中で止まることは出来ない。まずDからAへ動かし、次にx=0、y=3の点へ、さらにx=3、y=3の点へ動かす。このようにして、目的地に到達するまでのコースを示したのが、図(右)である。この結果は塵劫記にある結果と一致する。
最初DからACに行かずCに行くコースも当然考えられる。これによって別解を得ることが出来る。
「斗桶に油が1斗(=10升)ある。これ二人で分けるのだが、7升ますと3升ますしかない。この二つだけで、5升ずつ等分してほしい。」
そのやり方としては、まず3升ますで3杯7升ますへ入れると、3杯目は3升ますに2升残る。そこで、7升ますの油を斗桶に戻し、3升ますに残った2升を7升ますに移す。そうしてから、もう1回斗桶から油を3升ますに入れ、これを7升ますに加えれば、7升ますと斗桶に5升ずつあることになり、これで等分されたことになる。
この油分け算は、『塵劫記』以前の日本の文献には見当たらないし、中国の文献にも見当たらない。しかし西洋には古くからあるので、キリスト教の宣教師が伝えた可能性もあるが、これと同一の問題が見当たらないので、断定はできない。あるいは何かがヒントになって、日本で作り出されたのかもしれない。
西洋には、13世紀の中頃にはすでにこの種の問題があったといわれている。Claude-Gaspard Bachet 〔クロード=ガスパール バシェー、1581~1638年、フランスの数学者〕の著した『数学遊戯問題集』(改訂増補版、1624)には、8パイントのワインを、5パイントと3パイントの容器で等分する問題が載っている。また、16バイントを9パイントと7パイントの容器で、同じく16を11と6の容器で、42を27と12の容器で等分する問題も載っている。そして、いずれも解法が2つずつしめされている。西洋の問題は、いずれもワインや精油を等分する問題になっている。
油分け算を解く一般的なルールは次の通りである。A、B、C、3種類の容器があって、A>B>Cだとすると、
(1)Bが空なら、Aの油をBに満たす。
(2)Bに油が入っていたら、次のどちらかを行う。
(イ)Cが一杯でなければ、Bの油でCを満たす。
(ロ)Cが一杯なら、それをAにあけてから、(イ)を行う。
以上の操作を繰り返せば自然に解が得られる。
油分けの問題について、1939年、Tweedie(ツイーディー)という人が、《Mathematical Gazette》誌で、グラフを用いる巧妙な方法を紹介している。図(左)は『塵劫記』の問題をグラフにしたもので、х軸は3升ます、у軸は7升ます、斜め方向に書かれている数は、斗桶に入っている油の量を示している。出発点はx=0、y=0の点、つまりDであり、目的地はx=0、y=5の点(○印)である。
1回の移動は直線状を行けるところまで行くこととし、途中で止まることは出来ない。まずDからAへ動かし、次にx=0、y=3の点へ、さらにx=3、y=3の点へ動かす。このようにして、目的地に到達するまでのコースを示したのが、図(右)である。この結果は塵劫記にある結果と一致する。
最初DからACに行かずCに行くコースも当然考えられる。これによって別解を得ることが出来る。
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目高 拙痴无
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92
誕生日:
1932/02/04
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sechin@nethome.ne.jp です。
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