瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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  今日は七夕。今朝も早朝から雨。
 
 東京夢華録 巻七 駕登寶津樓諸軍呈百戲 一
 駕登寶津樓、諸軍百戲呈於樓下。先列皷子十數輩、一人搖雙皷子、近前進致語、多唱「青春三月」、《驀山溪》也。唱訖、皷笛舉、一紅巾者弄大旗、次獅豹入場、坐作進退、奮迅舉止畢。次一紅巾者、手執兩白旗子、跳躍旋風而舞、謂之「撲旗子」。及上竿、打筋斗之類訖、樂部舉動、琴家弄令。有花妝輕健軍士百餘、前列旗幟、各執雉尾、蠻牌、木刀、初成行列拜舞、互變開門奪橋等陣、然後列成偃月陣。樂部復動蠻牌令、數內兩人出陣對舞、如擊刺之狀、一人作奮擊之勢、一人作僵仆。出場凡五七對、或以鎗對牌、劍對牌之類。忽作一聲如霹靂、謂之「爆仗」、則蠻牌者引退、煙火大起、有假面披髮、口吐狼牙煙火、如鬼神狀者上場。著青帖金花短後之衣、帖金皂袴、跣足、攜大銅鑼隨身、步舞而進退、謂之「抱鑼」。遶場數遭、或就地放煙火之類。又一聲爆仗、樂部動《拜新月慢》曲、有面塗青碌、戴面具、金睛、飾以豹皮錦繡看帶之類、謂之「硬鬼」。或執刀斧、或執杵棒之類、作腳步蘸立、為驅捉視聽之狀。又爆仗一聲、有假面長髯、展裹綠袍鞾簡如鍾馗像者、傍一人以小鑼相招和舞步、謂之「舞判」。繼有二三瘦瘠、以粉塗身、金睛白面、如髑髏狀、繫錦繡圍肚看帶、手執軟仗、各作魁諧趨蹌、舉止若排戲、謂之「啞雜劇」。又爆仗響、有煙火就湧出、人面不相覩、煙中有七人、皆披髮文身、著青紗短後之衣、錦繡圍肚看帶、內一人金花小帽、執白旗、餘皆頭巾、執真刀、互相格鬥擊刺、作破面剖心之勢、謂之「七聖刀」。忽有爆仗響、又復煙火。出散處以青幕圍繞、列數十輩、皆假面異服、如祠廟中神鬼塑像、謂之「歇帳」。又爆仗響、卷退。次有一擊小銅鑼、引百餘人、或巾裹、或雙髻、各著雜色半臂、圍肚看帶、以黃白粉塗其面、謂之「抹蹌」。各執木棹刀一口、成行列、擊鑼者指呼、各拜舞起居畢、喝喊變陣子數次、成一字陣、兩兩出陣格鬥、作奪刀擊刺之態百端訖、一人棄刀在地、就地擲身、背著地有聲、謂之「扳落」。如是數十對訖、復有一裝田舍兒者入場、念誦言語訖、有一裝村婦者入場、與村夫相值、各持棒杖互相擊觸、如相敺態。其村夫者以杖背村婦出場畢。後部樂作、諸軍繳隊雜劇一段、繼而露臺弟子雜劇一段、是時弟子蕭住兒、丁都賽、薛子大、薛子小、楊總惜、崔上壽之輩、後來者不足數。合曲舞旋訖、諸班直常入祗候子弟所呈馬騎。先一人空手出馬、謂之「引馬」。次一人磨旗出馬、謂之「開道旗」。
ee5d69e4.jpeg〔訳〕《主上、宝津楼に登られ、諸軍、百戯を御覧に供す〔清明二〕1》主上が宝津楼に登られると、諸軍が楼の下で、百戯を御覧に供した。まず鼓手が十数人並び、一人が振り鼓を振り鳴らし、おん前に近づき祝儀の言葉を奏上する。多くは「青春三月驀山渓」を歌う。歌がすむと、鼓笛が奏せられ、紅い頭巾をした者が、大きな旗を翻して登場、ついで獅豹(ししまい)が出て、さまざまなしぐさをしたり激しい立ち回りをする。これがすむと、つぎは紅い頭巾をした者が、手に二つの白い旗を持ち、跳躍したり旋風のように回転したりして踊り、これを「撲旗士(はたふり)」という。それから竿登り、打筋斗(とんぼがえり)のたぐいが行なわれた後、花やかに粧(よそお)った軽快で凛々しい武士が百余人登場する。前列は旗をなびかせ、それぞれ雉尾(とりげ)や蛮牌(たて)や木刀を手にしている。はじめ整列して拝舞をしてから、開門・奪橋などに陣形を変え、さいごに偃月陣の陣形をとる。楽部がこんどは「蛮牌」の曲を演奏すると、陣の中から二人が出てきて対舞をする。立ち回りふうなもので、一方が激しく打ちかかるさまを、一方は打ち倒されるさまを演ずる。およそ五・六組が登場したが、いずれも槍と牌(たて)、あるいは剣と牌といったたぐいの組合わせであった。突然、霹靂(へきれき)のような音が鳴り響く。これを「爆仗〔ばくじょう、爆竹〕」という。と、蛮牌(たて)を演じた者たちは退場して、煙火(はなび)が燃え上がると、ざんばら髪で口から狼のような牙を突き出し煙を吐く仮面をつけた鬼神のような姿をした者が登場する。青地に金色の花模様の短後(うしろみじか)の衣(ころも)を着、金を摺った黒の袴をつけ、はだしで大きなドラを持って舞い歩く。これを「抱鑼(ドラもち)」といい、舞台を数回廻り、ところどころに煙火のたぐいを放った。また爆竹が鳴り、楽隊が「拝新月慢」の曲を演奏すると、顔を濃緑色に塗り金色の睛(ひとみ)をした仮面を付け、豹の皮に錦の帯などで身を飾った者があらわれる。これを「硬鬼(こうき)」という。手に刀や斧あるいは杵や棒などを持ち、歩いたり止まったりして、なにかを追い捉え調べるふりをする。また爆竹が鳴ると、仮面に長い髯をつけ、緑の袍(ほう)に身を包み革長靴をはいた鍾馗(しょうき)の像のような姿のものが、かたわらの小さいドラを持った者とともに舞い歩むのを「舞判(ぶはん)」といった。ついで二、三人の、やせたからだに白粉を塗り金色の睛(ひとみ)の白い仮面をかぶった骸骨のような姿の者があらわれる。錦の囲肚看帯(はらあておび)をつけ、手に柔らかい杖をもちそれぞれおどけたりよろけたり、そのしぐさがしばいがかりだったので、これを「唖雑劇(だんまり)」という。また爆竹が響くと、煙火の煙が湧き上がり、人の顔もさだかに見分けられぬ煙が立ち込める中から、ざんばら髪で、文身(いれずみ)をし、青い薄絹の短後(うしろみじか)の衣を着、錦の囲肚看帯(はらあておび)をつけた七人の者があらわれる。その中の一人は金花の小帽子をかぶり白旗を持っている。他はみな頭巾をつけ真剣を持ち、格闘しあい、顔を切ったり心臓を突いたりするさまをし、これを「七聖刀」という。突然、爆竹が響くと、またまた煙火だ。ほうぼうに青い幕を張り巡らし、めいめいの仮面をつけた異様な服を着た者が数十人並んださまは、廟中の神鬼の塑像さながらだ。これを「歇帳(けっちょう)」という。また爆竹が響くと、この連中は幕をまいて退場する。つぎに小ドラを一撃すると百人あまりもの人数がくりだす。頭巾で頭を包んだ者と、双髺(ふたつまげ)をつけた者とに分かれ、めいめい色とりどりの半臂(そでなし)に、囲肚看帯(はらあておび)をつけ、顔には黄白の粉を塗っている。これを「抹蹌(まつそう)」という。みな木の棹刀(なぎなた)一口(ひとふり)を持って行列して出て来る。ドラを打つ者が指図し号令をかけると、それぞれ拝舞をしてから居ずまいを正しおえると、ときの声をあげて数度陣形を変える。一字形の陣になると双方から陣を出て格闘をはじめ、刀を奪ったり斬りあったりするさまを見せた。一人が刀を地に捨て、その場に身を投げるようにドスンと背から地に落ちるのを「叛落(はんらく)」といった。このようにして数十番が終ると、こんどは田舎者に扮した役が出て来る。口上を言い終わると、田舎女に扮した役が入場し、田舎者と組んで、棒を持って打ち合い、けんかのさまを演じる。この田舎者が杖で田舎女を背負って退場してしまうと、楽部が演奏を始め、諸軍が編成した雑劇(しばい)が一段演じられる。ついで教坊の役者たちによってまた雑劇が一段演じられる。この当時の教坊の役者には、蕭住児(しょうじゅうじ)・丁都賽(ていとさい)・薛子大(せつしだい)・薛子小・楊総惜(ようそうしゃく)・崔上寿(さいじょうじゅ)などがいたが、その後は数うるにたらぬものばかりだった。楽舞が終ると、諸禁衛隊に入隊して常に主上のお側近くに仕えている子弟たちが馬術をご覧に供した。まず一人が徒手で馬を引き出し、これを「引馬」という。ついで一人が旗を振り馬に乗って出てくる。これを「開道旗」という。
 
※百戯:宋代の雑楽百戯には各種軽業と歌舞劇があり、みな左右軍に隷属し散居していたが、大饗宴があるごとに、饗宴をつかさどる官署である官徽院がこれを召集した。
※振り鼓:原文では「搖雙皷子」とあり、揺〔振り〕とあるその動作から、雙皷子というのは振り鼓であり、手にとって振り鳴らしたものと思われる。
※驀山渓:「上陽春」ともよばれる詞〔宋代流行の小唄〕の曲名。
※雉尾:儀仗用の長い柄がついたキジの羽毛製の団扇。
686f5b31.jpeg※蛮牌:蛮王の顔が画いてある円形の楯。
※偃月陣:三日月形に並ぶ陣形。
※後短衣の衣:後ろが短く激しい動作に邪魔にならぬようになっている着物。



 今夕はちゃぼ女史の父上の通夜で代々幡斎場に出かける予定。
 
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