瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
今日は、日曜日。徘徊は見合わせた。普天間基地移設問題について考えてみた。
アメリカの四軍は予算の配分についてはzero-sumの関係にある。国防予算の額は限られており、それを陸海空軍と分配しなければならない。それぞれの軍は軍備をさらに充実させたい。けれども残り三軍は既得権を手放さない。海兵隊はどうするのか――シンプルな問いなので解は一つしかない。「よそから巻き上げる」のである。米軍にとって、世界でいちばん金が取りやすい国は日本なのである。日本で基地のことでごねれば、いくらでも金が出てくることを彼らは知っている。平たく言えば、「みかじめ料」なのである。/あとの三軍がいい顔をしないのは、こうやって海兵隊が「みかじめ料」を取り立てると、そのあとにたとえば海軍が在日基地の拡充を計画したときに、日本国民が「またですか…… 」と厭な顔をするのがわかっているからである。「このあいだ、今月分お払いしたじゃないですか」「それは海兵隊がが持ってっちゃったのよ。こちらには1ドルも回ってきてないのよね。」と言ったところで、そんな説明が日本人には判るわけはない。
アメリカのリベラル派たちがこの問題に対してさっぱり協力的でないのは、西太平洋におけるアメリカの軍事戦略の妥当性を支持しているからではない。金を出すのが他国政府である限り、海兵隊が沖縄で何をしようと、それによってアメリカ国内の「政治的に正しい政策」のために割かれる予算が減る気づかいがないからである。仮に、ヘリコプター基地の建設費用が「アメリカの国家予算」から支出される場合(それが福祉や医療のための予算を削って計上されるものなら)、アメリカのリベラル派は黙っていないであろう。「そんなものは軍略上不要である」ときっぱりとエヴィデンスを掲げて言い立てる人たちがたくさん出てくるはずである。いまアメリカに「そういうこと」を言う人がいないのは、「自分の財布が痛む話じゃない」からであろう。
今朝のウェブニュースから。
普天間移設:米要求に大幅譲歩 現行案と大差なく ―― 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題を巡り、日米両政府が22日大筋合意した内容は、鳩山由紀夫首相が約束した「5月末決着」期限が迫る中で、交渉を急いだ日本側が沖縄など地元自治体や連立与党との調整よりも対米合意を優先した結果、米側の要求に大幅に譲歩したものとなった。米側主導の交渉でほぼ現行案に戻る形となり、沖縄や社民党は「頭越し」の合意に反発を強めている。/政府が12日の日米実務者協議で示した原案は、環境に配慮した工法として「くい打ち桟橋(QIP)方式」の検討を明記。環境特別協定の締結交渉や、普天間の基地機能の県外移転先として鹿児島・徳之島や全国の自衛隊基地に加え、グアムなど国外も検討対象に挙げたが、米側はいずれも消極姿勢を示した。/一方、米側が強く求めた「現行計画の環境影響評価(アセスメント)の範囲内に収める」との要求は合意に盛り込まれた。代替施設完成と在沖海兵隊グアム移転の目標年限の2014年をこれ以上遅らせたくないとの意向で「日米実務者間では共通していた」(防衛省幹部)という。/代替施設の工法も具体的な建設場所も先送りしての合意は、「5月末決着」の体裁を整えるための形式的なものだ。日米政府は11月のオバマ米大統領の訪日までの合意を目指して、国連総会がある9月に外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、工法など移設計画の詳細を策定する方針だ。並行して沖縄や社民党の理解を求めていく考えだが、地元と連立与党を含めた合意に達するメドは全く立っていない。/社民党の福島瑞穂党首は22日、毎日新聞の取材に「沖縄の同意と連立政権内の合意がないまま先に決めてしまうのは全く理解できない。沖縄の反発はより強まり、日米関係も悪化する」と批判。政府関係者は「合意はしたが、普天間の問題は何も終わっていない」と語った。 (毎日新聞 2010年5月23日 2時30分)
アメリカのリベラル派たちがこの問題に対してさっぱり協力的でないのは、西太平洋におけるアメリカの軍事戦略の妥当性を支持しているからではない。金を出すのが他国政府である限り、海兵隊が沖縄で何をしようと、それによってアメリカ国内の「政治的に正しい政策」のために割かれる予算が減る気づかいがないからである。仮に、ヘリコプター基地の建設費用が「アメリカの国家予算」から支出される場合(それが福祉や医療のための予算を削って計上されるものなら)、アメリカのリベラル派は黙っていないであろう。「そんなものは軍略上不要である」ときっぱりとエヴィデンスを掲げて言い立てる人たちがたくさん出てくるはずである。いまアメリカに「そういうこと」を言う人がいないのは、「自分の財布が痛む話じゃない」からであろう。
今朝のウェブニュースから。
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