瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 昨夜のテレビニュースによると、スウェーデン・アカデミーは8日午後1時(日本時間同午後8時)、2015年のノーベル文学賞をベラルーシのスベトラーナ・アレクシエービッチさん(67)に授与すると発表しました。英ブックメーカーで有力候補に挙げられていたという日本の作家・村上春樹さん(66)はまたしても受賞を逸しました。2006年に初めて名前が挙がってから10年連続の落選となり、列島各地でため息が漏れたといいます。


 ウェブニュースより


ノーベル文学賞にベラルーシ人作家 フクシマを積極発言 ―― スウェーデン・アカデミーは8日、2015年のノーベル文学賞をベラルーシ人の作家スベトラーナ・アレクシエービッチ氏(67)に授与すると発表した。授賞理由を、「私たちの時代における苦難と勇気の記念碑といえる、多様な声からなる彼女の作品に対して」とした。長年、期待されてきた同氏の受賞に、発表会場に詰めかけた報道陣らから拍手と歓声が起きた。女性の文学賞受賞は14人目。


 AFP通信によると、ベラルーシの首都ミンスクで会見したアレクシエービッチ氏は、「私ではなく、私たちの文化、歴史を通して苦しんできたこの小さな国への受賞だ」と語った。


 アカデミーのダニウス事務局長は「彼女は40年にわたり新しい文学のジャンルを築いてきた。チェルノブイリ原発事故やアフガン戦争を単なる歴史的出来事ではなく人々の内面の歴史ととらえ、何千ものインタビューをまるで音楽を作曲するように構成して、我々に人間の感情と魂の歴史を認識させた」とたたえた。


 賞金は800万クローナ(約1億1600万円)。授賞式は1210日にストックホルムで行われる。(ストックホルム=渡辺志帆)


■「黒沢明監督の『夢』はまさに予言」


 アレクシエービッチ氏は、東京電力福島第一原発事故についても積極的に発言し、高度に発達した技術に依存する現代社会への警告を発している。


 ログイン前の続き事故直後、仏紙リベラシオンのインタビューに対して「(チェルノブイリ原発事故に続く)2回目の原子力の教訓が、技術が発展した国で今起きています。これは日本にとってだけでなく、人類全体にとっての悲劇です。私たちはもう、ソビエト体制にも全体主義にも、誰に対しても罪を負わせることができないのです」と指摘。「原発の爆発が描かれた黒沢明監督の『夢』はまさに予言でした」と述べた。 (ストックホルム=渡辺志帆 モスクワ=駒木明義20151082359分 朝日新聞DIGITALより)


 


※ 黒沢明監督の『夢』:1990年に公開された、黒澤明監督による日本とアメリカの合作映画である。「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」「トンネル」「鴉」「赤冨士」「鬼哭」「水車のある村」の8話からなるオムニバス形式。黒澤明自身が見た夢を元にしている。各エピソードの前に、「こんな夢を見た」という文字が表示されるが、これは夏目漱石の『夢十夜』における各挿話の書き出しと同じである。


《オムニバス全8話》


「第1/日照り雨」 出演:倍賞 美津子


立派な門構えの家の前。陽が差しているのに雨が降っている。こんな日には"狐の嫁入り"があるという。日照り雨を不思議そうに眺めていた""に、母が「狐の嫁入りを見ると怖いことになりますよ」と釘を差す。止められて余計に見たくなった""は神社の森に入っていき、金縛りにあってしまう。動けない""の目の前で繰り広げられる、煌びやかでどこかおかしい狐の嫁入り。十分に楽しんで家に帰った""に母は自殺用の短刀を渡し、狐たちに死ぬ気で謝ることを強いる……。狐たちの美しい装束と対比して描かれる自然界の厳しい掟。黒澤の自然への畏怖が感じ取れる一作。


「第2/桃畑」 出演:伊崎 充則


姉と女友達が雛祭りのままごとをしていると、不思議な少女が現れる。""にはその少女が見えるが、姉たちには見えず馬鹿にされる。少女に惹かれて裏の畑に行ってみると、そこには人間の姿をした雛人形が勢揃いしており、""に話かけてきた。これを恐れた人々は「雛人形は桃の木の化身だ」と言い桃の木を全て切り倒してしまう。それを見た""は泣き出してしまう。そんな""の姿に心を打たれた雛たちは少年に豪華絢爛な花盛りを見せてくれるのだが……。桃の木を自然全体になぞらえて描く、黒澤流の自然破壊と救済の物語。


「第3/雪あらし」 出演:原田美枝子


""を含めた4人の登山隊は猛吹雪に遭遇してしまう。お互いをザイルで結び、睡魔と闘っている""に、どこからともなく現れた長髪の美しい女が甘い声で語りかけてくる。甘美な囁きに眠りかけた""だったが、自分を押さえつけている強い力に気付き見てみると、さきほどまで美しい姿をしていた女が豹変し、白髪の醜い老女になっていた!老女は勝ち誇ったように高笑いし、ブリザードの中に舞い上がる!二面性を持った雪女が象徴する陰と陽。やさしさと厳しさ。黒澤の人生経験がここに結集する。


「第4/トンネル」 出演:寺尾 聡


戦時中将校だった""は罪悪感と共に戦地から生還した。暮れなずむ中、人気のないトンネルに差し掛かると、夕闇の中から猛犬が唸り声をあげながら向かってきた。驚いた""はトンネルの中に飛び込む。不思議なトンネルを抜けた""が歩き出そうとすると、重装備の兵隊が闇の中から出てきた。よく見ると彼は戦時中部下の一人であった野口一等兵で、出てくるなり「自分は戦死したのですか?」と問い掛けてくる。戦死した部下の突然の出現に面食らう""だったが、せめてもの罪滅ぼしに真実を本人に告げる。野口は実際は自分の腕の中で息を引き取った事実をかみ締めながら……。戦争の時代を生き、罪悪感を持ちつづけた黒澤の贖罪の物語。


「第5/鴉」 出演:マーティン・スコセッシ


美術館でゴッホの「アルルのはね橋」を見ていた""は、いつの間にか絵の中に入り込んでしまう。その瞬間、絵の中の静止した世界は活動を始める。""はゴッホに会うため洗濯している女性たちに話を聞き、大平原でデッサンしている男=ゴッホをついに探し出す。尊敬するゴッホに出会い緊張する""に対し、最初は無関心であったゴッホだが「何故、描かないんだね?」と声をかけてくる……CGとゴッホの融合。やがて自殺に至るゴッホの苦悩を最新の技術を用いて、ゴッホに心酔していた黒澤が切り取ってみせた傑作!


「第6/赤富士」 出演:井川 比佐志


真っ赤に染まった富士山。逃げ惑う人々。そこに中にポツンとたたずむ""。何が起こったかわらかない""は群集の中の一人をつかまえ話を聞く。すると彼の口から「六基の原子力発電所が爆発した」という驚愕の事実が明かされる。群集を追って海岸の方に逃げた""だったが、そこでさらに恐ろしい場面を目にする。切り立った断崖から人々が次々に身投げしていたのだ!人々を必死止めようとする""に、カラフルな色をした放射能が迫る---。黒澤が心の根底で持ちつづけた恐怖を叩きつけた一作。日本の美の象徴である富士山の赤、放射能の黄、紫などの色で表現され、恐怖を引き立てる。


「第7/鬼哭」 出演:いかりや長介


""の前に鬼が現れる。鬼は""を不思議なものを見せてくれるという。そこで""が目にしたのは、巨大化し人間より大きくなったタンポポ、地の池、その周りで飢餓に苦しむ鬼たち、という地獄絵図であった---。しかも実はその鬼は元人間であり、悪事を重ねた人間のなれの果てだと言う。放射能によって突然変異を起こした植物、食糧危機、そしてそこで苦しむ人間たちをとおして、強欲のために世界を破壊し続ける人間に警鐘を鳴らす。『赤富士』と並んで黒澤の人間の愚かさに対する恐怖が表出した一作。


「第8/水車のある村」 出演:笠 智衆


どこまでも続く大自然。鬱蒼と茂った木々。清らかな水をたたえた川。その中に""がいる。""は水車の修理をしている老人と出会い、その話に耳を傾ける。その老人の口から出てきたのは、自然と尊び、共存する人間たちの姿だった---。『赤富士』『鬼哭』で人間の所業とその結果を壮絶なまでの映像で見せた黒澤が、その締めくくりで見せた人間への希望のメッセージ。奇をてらうことなく、訥々と語る老人と黒澤の姿が重なって見える最後の『夢』の物語。


 

 Korinthos(コリントス)はもともとMēdeia(メーデイア)の父Aiētēs(アイエーテース)の出身地であり、アイエーテースが執政を置いていたのでメーデイアは統治権を要求できる立場にあったのです。コリントス王Kreon(クレオーン)は、Iāsōn(イアーソーン)の人柄を気に入って彼を歓迎し、娘Glauke(グラウケー)との結婚話を持ちかけるのでした。


イアーソーンは、メーデイアとの間に子供もできていましたが、メーデイアの凄まじいやり口を次第に忌み恐れるようになっていましたので、イアーソーンはメーデイアとの誓いを破棄してクレオーン王の娘グラウケーと結婚しようとするのでした。このためメーデイアは毒を染みこませた結婚衣装をグラウケーに送り、グラウケーがその衣装を身につけたところ、衣装はたちまち炎に包まれ燃え上がり、グラウケーと彼女を助けようとしたクレオーン王はともに焼け死んでしまいます。


さらにメーデイアはイアーソーンとの子まで殺し、竜の牽く戦車に乗ってコリントスを去ったといわれていますが、これは後世Eurīpidēs(エウリーピデース、BC480年頃~406年頃、古代アテナイのギリシア悲劇における三大悲劇詩人の1人)による脚色であるともいわれています。


 


Eugène Delacroix(ウジェーヌ・ドラクロワ):フランスの19世紀ロマン主義を代表する画家。ドラクロワは近代絵画発展上、本質的で革新的な絵画を描いたといわれています。


 


イアーソーンとメーデイアの間には、7人の息子と7人の娘がいましたが、メーデイアが手にかけたのではなく、グラウケーとクレオーンの殺害に憤激したコリントス人たちが、彼らをことごとく捕らえ、石を投げつけて殺したということです。また、長男のMedeios(メーデイオス)は、イアーソーン同様Pelion(ペーリオン)山のCheirōn(ケイローン)に養育されていて、難を逃れたともいわれています。


悪女とくっついてしまったばかりに貧乏クジばかり引くことになってしまった哀れなイアーソーンはどうなったのでしょうか? 彼は故郷のIolkós(イオルコス)へと戻ることもかなわず、諸国を転々とするはめになったのです。失意のイアソンの末路については諸説あり、いずれも悲惨な最期を迎えているようです。イアーソーンがコリントスの王となってクレオーン王の娘グラウケーとの結婚話が持ち上がり、メーディアを離縁したとき、怒ったメーディアはクレオーンとグラウケー、さらには自分の子どもたちを殺して立ち去りますが、イアーソーンもこの時メーディアに殺された、あるいは自殺したというのがあります。


他の伝説では狂人となって各地をさまよい、アルゴー船が引き上げられて、そのままになっている、イオルコスの浜辺に戻って来ました。「お前だけが僕の友達だ。」そうつぶやいて、船のそばでまどろんでいる時、船は崩れ落ち、舳先がイアーソーンの頭にあたりました。こうしてイアーソーンは、波乱の生涯を閉じたというのもあります。


 いずれにしても、能力あり、胆力あり、人望ありとまさに英雄としての条件を全て備えていたイアーソーンではありましたが、彼の唯一にして最大のミスは、メーディアなんて女を妻に迎えてしまったことだったというわけです。

 昨日は先だっての大腸ポリープ除去の検査結果の報告を受けに三井記念病院に行きました。ポリープは悪性のものではなく、結果は良好とのことでした。1年後に再検査を行うことを勧めるということでした。


 


 昨日に続いて、ノーベル物理学賞に日本人が選ばれました。


 今日のウェブニュースより


ノーベル物理学賞に梶田氏…ニュートリノに質量 ――  スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2015年のノーベル物理学賞を、謎の多い素粒子ニュートリノに質量があることを突き止めた東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長(56)ら2人に贈ると発表した。/現代物理学の根幹を成す素粒子の標準理論に修正を迫るもので、宇宙の成り立ちや物質の起源の解明へ道を開く成果と高く評価された。/授賞理由は「ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」で、同時受賞するのは、カナダ・クイーンズ大学のアーサー・マクドナルド名誉教授(72)。/日本のノーベル賞受賞者は、5日に生理学・医学賞に決まった大村智・北里大特別栄誉教授(80)に続き24人目。物理学賞は、昨年の赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏に続き、2年連続で11人目。賞金は800万スウェーデン・クローナ(約1億1500万円)で2人で等分する。/梶田氏は6日夜、東京大(東京都文京区)で記者会見を開き、「非常に光栄なことで、今は頭の中が真っ白。何を話していいかわからない」と受賞決定の喜びを語った。  (読売新聞 20151006 2200分)


 


 東京五輪を控え 浅草寺でテロ対策訓練 ―― 東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、海外からの観光客が増えるなか、警視庁は、多くの外国人が訪れる東京・浅草の浅草寺で、テロ対策の訓練を行いました。/訓練には、警視庁の警察官や浅草寺の職員、地元の観光関係者などおよそ60人が参加しました。訓練は、境内に爆発物が置かれたという想定で処理班がロボットを操作して専用の車に収納したほか、サリンがまかれたという想定でけが人の救助や除染の手順を確認していました。現場では、多くの外国人が立ち止まって訓練の様子を見学していて、アメリカから訪れたという女性は「テロ対策の訓練を行うことは、犯罪の抑止につながるので、とてもよいことだと思います」と話していました。/浅草警察署の島田恭一郎署長は、「外国人も多く訪れる観光地だけにテロの標的になることがないよう対策を進めていきたい」と話していました。  (NHK WEB NEWS106 1646分)


 
 英雄イアーソンのお話をつづけます。


 


Iāsōn(イアーソーン)はただちにArgo(アルゴー)船を出航させましたが、宝物が盗まれ、わが子もいなくなったことを知ったAiētēs(アイエーテース)は追っ手の船団を差し向けました。アルゴー船にイアーソーンとともに乗り込んでいたMēdeia(メーデイア)は、一緒に連れてきていた幼い弟Apsyrtos(アプシュルトス)を殺し、その亡骸(なきがら)を切り刻んで海にばらまいたのです。追っ手の船団がアプシュルトスの体を拾い集めている間にアルゴー船は脱出に成功したのでした。アイエーテースは引き返してアプシュルトスを黒海沿岸の地に埋葬したといいます。


 


Herbert Draper(ハーバート・ドレイパー):ロンドン生まれのイギリスのラファエル前派の画家です。セント・ジョンズ・ウッド美術学校で学びました。1884年、ロイヤル・アカデミーに入学。1890年、アカデミーで金賞を取りますが、その副賞の海外奨学金を得て、パリのアカデミー・ジュリアンで学び、ローマへ行きました。


 


 アルゴー船が出港して数ヶ月が経ってもArgonautai(アルゴナウタイ)は戻らず、Thessalía(テッサリア)では彼らはみな死んだと噂されるようになりました。Peliās(ペリアース)はイアーソーンらはもう帰ってこないものと信じ、監禁していたAisōn(アイソーン)を殺そうとしました。アイソーンは自決を願って自ら死に、イアーソーンの母親Polymele(ポリュメーレー)もまたペリアースを呪って縊れ死んでしまいます。二人には幼い子供Promachos(プロマコス)もありましたが、ペリアースはこれも殺してしまいます。


このことは、Iolkós(イオールコス)のPagasai(パガサイ)湾に帰り着いたアルゴナウタイにも伝えられました。イアーソーンはペリアースへの復讐を念じましたが、アルゴナウタイにはペリアースの息子Akastos(アカストス)もいたため、ペリアースを殺すという合意は難しく思われました。


また、金羊毛皮をイオールコスに持ち帰ったイアーソーンでしたが、ペリアースは王位を譲ろうとしません。そこでイアーソーンはメーデイアに相談すると、メーデイアは単身でイオールコスの王宮に乗り込むのでした。メーデイアは初め老婆の姿をとってArtemis(アルテミス)の使いだと名乗るのでした。ペリアースの目の前で自らの老いの影を取り去ると、本来の若い姿に戻り、恩寵によって王もこのように若返らせることができると告げるのでした。さらに牡羊を八つ裂きにして煮ると、仔羊となって現れ、ペリアースの娘たちに父親を同様にするよう説いたのです。娘たちはこれを信用して、ペリアースを切り刻んで煮たのであります。
 
※ Georges Moreau de Tours(ジョルジュ・モロー・ド・ツアー):フランスの歴史画家で、イラストレーターでもありました。

 ところが、メーデイアの魔法の力は民の恐れるところとなり、イアーソーンはイオールコスの王位を継ぐどころか、国にいられなくなってKorinthos(コリントス)に逃れることになりました。

 以前横浜に在住のIN氏の息子さんが、慶応大学医学部を卒業後、国立感染症研究所に勤務しているということを聞いたことがあります。50年ほど昔に兼愛塾の臨海学校を手伝っていただいたNO氏とたまたま同じ研究所でご一緒だということを聞いて、不思議な因縁を感じたことがあります。IN氏は息子さんのことを「何だか解らないけど何でもアマゾン川流域当たりの風土病について研究しているらしいよ。」と言っていましたが、宝塚市のKS氏によると、「臨床医ではなくてそんな地味な研究をコツコツやっているというからには将来のノーベル賞候補かもしれないね」なんて言っていました。IN氏のご子息TN氏は現在は国立感染症研究所寄生動物部部長を務められているようです。また、国立大学法人筑波大学大学院生命環境科学研究科教授も務めていらっしゃるようです。


 いやはや、昨夕のテレビによるニュースでは、IN氏と同じような研究をされている北里大学特別栄誉教授のノーベル医学生理学賞の受賞が決まったようです。まさしく、宝塚市在住のKS氏の言は当たらずとも遠からずかもしれません。


 今朝のウェブニュースより


ノーベル賞:大村氏、医学生理学賞 毎年3億人を救う こだわった独創性 ――  今年のノーベル医学生理学賞受賞が決まった大村智(さとし)・北里大特別栄誉教授(80)は、自然界から役に立つ化学物質を見つけ出して数々の抗生物質の開発に結びつけ、アフリカなどの毎年約3億人を感染症の危機から救っている。70年前の1945年にペニシリンの発見で同じ賞を受賞したアレクサンダー・フレミングをはじめ著名な科学者を輩出してきたこの分野で、大村氏の上げた成果は質量ともに世界で類を見ない。輝かしい実績の背景には、「オリジナリティー」への大村氏のこだわりと、積極的な産学連携があった。


 大村氏が自然界に存在する抗生物質の探索に本格的に乗り出したのは、米国留学から帰国して北里研究所に研究室を持った1973年。翌年、静岡県内で採取した土から新種の放線菌を発見し、菌が生み出す未知の抗生物質を見つけた。79年に学会で発表した「エバーメクチン」はその後、寄生虫が引き起こす家畜の感染症の特効薬となり、アフリカや中南米で毎年3億人を超える人々を感染症から救うことになった。


 大村氏は、オリジナリティー(独創性)にこだわり、画期的な化学物質の発見を引き寄せた。研究室を開いた際、大村氏は「動物薬の開発を目指す」と宣言。当時、家畜用薬はヒト用の使い古しで専用薬はほとんどなく、「普通の方法では世界に太刀打ちできない。動物薬の開発は、ヒトと共通する病気の動物実験を同時にできる」と考えた。


 そこで、大村氏は、抗生物質の研究で傍流だった「マクロライド系」の追跡を選んだ。既に市場に出ていたペニシリン、ストレプトマイシンなどと系列が異なり、働き方が分かっていなかった。だが、「オリジナリティーを追求するのが科学」という信念が研究を後押しし、それまでの研究で「副作用が少なく、多くの機能があるようだ」という直感も当たった。


 一方、土壌から抗生物質を取り出すには、高い技術が必要だ。有機合成化学の世界的権威の竜田邦明・早稲田大栄誉フェローは「大村さんは北里研で化学の基礎を徹底的に学び、物質ふるい分けの高い技術や、化学反応の解析力にも優れていた」と話す。


 抗生物質の研究はもともと、みそや酒など微生物を利用した発酵技術が進んでいた日本の得意分野だ。微生物化学研究所を創設した梅沢浜夫・元東京大教授(191486年)は「カナマイシン」の発見で世界的に知られ、大村氏の指導者でもあった秦藤樹(とうじゅ)・元北里大学長(19082004年)は「ロイコマイシン」や「マイトマイシン」の発見でがん治療を大きく進展させた。大村氏の受賞は、この分野の日本の貢献に改めて光を当てた。


 ◇産学連携先取り


 「生涯に一つでも薬にできる成分を見つけられた研究者は幸運」と言われるほど、化学物質を発見し、実用化することは難しい。大村氏らが発見した化学物質は、26種類が医薬品や農薬などになった。この抜きんでた実績の原動力に、製薬企業などとの積極的な「産学連携」があった。


 米ウェスレーヤン大(コネティカット州)留学中、マックス・ティシュラー教授の研究室にいた大村氏は「研究費は自分で集める」という、当時の日本の科学界になかった姿勢を学んだ。「米国レベルの仕事をするには、あてがわれた研究費だけでは足りない。企業からの資金が必要」と考え、帰国前に米製薬大手のメルク社から年間8万ドル(当時のレートで約2500万円)の提供を3年間受ける契約を結んだ。


 帰国した大村氏の研究室(大村研)が有用な化学物質を探し、医薬品の開発と販売はメルク社が独占的に担う。特許は共有し、特許料が入れば研究室の人件費や設備投資に回す仕組みだった。「国から金をもらう国立大の研究者と違い、うちは自分で稼がねばならない。研究成果を社会に還元しなければならないという気持ちの強さが違った」と大村氏は振り返る。一方、「企業の下請けにはならない。研究室の根幹は自分たちで決めていた」という。


 日本で産学連携が本格化したのは1990年代後半からで、大村氏は時代を20年以上先取りする産学連携の草分けだ。取り組みは米国でも注目され「大村方式」と呼ばれた。メルク社との共同研究で巨額の特許料収入を得た大村研は、独立採算制を敷いて研究の幅を広げ、さらに産学連携を進めて成果を上げた。


 光触媒の研究で世界をリードし、自身も産学連携に取り組む藤嶋昭・東京理科大学長は「基礎研究を応用し、人類の役に立たせるのには産学連携が不可欠。そういう意味で、大村先生は『産学連携のかがみ』と言える」と高く評価する。  (毎日新聞 20151006日 東京朝刊)


  今日は、これから先日の大腸ポリープ切除後の検査結果を聞きに、三井記念病院に出かけます。ギリシア神話はお休みします。


Kolchísコルキス)王Aiētēs(アイエーテース)は、Iāsōn(イアーソーン)に金羊毛皮を渡すつもりはなく、逆に罠にはめようと画策して、Arēs(アレース)の持ち物だという青銅の足を持ち、火を吐く牡牛を駆って土地を耕し、そこに竜の歯をまくようにイアーソーンに依頼するのでした。


※ 竜の歯:Kadmo(カドモス、Thēbai〈テーバイ〉の建設者。Delphoi〈デルフォイ〉の神託によって白牛に導かれてBoeotia〈ボイオティア、アッティカの西北に位置した一地方〉に着き,泉を守る怪竜を殺し,その歯を抜いて地に植えると戦士が地中からとび出してきて、テーバイの建設を助けたといいます)がテーバイで播いた残りの半分をアイエーテースがAthēnā(アテーナー)から貰ったものであったといいます。


アイエーテースにはMēdeia〈メーデイア〉という魔法を操る王女がいまして、このときイアーソーンに一目惚れしてしまいます。メーデイアの恋心は、Hērā(ヘーラー)の要請によってAphrodītē(アプロディーテー)が吹き込んだ偽りのものであったといわれます。メーデイアは密かにイアーソーンと会い、自分との結婚を条件に父を裏切ってイアーソーンを助ける約束をするのでした。


 


メーデイアはイアーソーンの体に炎でも剣でも傷つかない魔法をかけ、イアーソーンは牡牛を従わせることに成功します。耕した土地に竜の歯をまくと、そこから次々にSpartoi(スパルトイ)が生まれてきてイアーソーンに襲いかかりましたが、イアーソーンがメーデイアに教えられたとおり大石を投げ込むとスパルトイたちは同士討ちを始めるのでした。さらにメーデイアはイアーソーンを金羊毛皮のある場所に案内します。イアーソーンは見張りの竜(大蛇)にのみこまれますが、メーディアは竜を魔法で眠らせてしまい、イアーソーンを吐き出させます。


 


こうしてイアーソーンは目的の金羊毛皮を手に入れることができたのです。

 中天の下弦の月に照らされながら、今朝もいつもの桜橋~蔵前橋間を一回りして帰宅しました。


 


Jason(イアーソーン)はこの難題に挑戦するために、女神Athēnā(アテーナー)の助言を受けて、Phrixos(プリクソス)の子で船大工のArgos(アルゴス)に50の櫂を持つ巨船を建造させ、船名をアルゴスの名から「Argo(アルゴー、《快速》の意)」としました。アテーナーは、Dodon(ドードーナ)のoak(オーク、樫)からものを言う材木をアルゴーの船首につけました。イアーソーンが船員を募ると、ギリシア中から


Hēraklēs(ヘーラクレース、半神半人の英雄)、


双子のKastōr(カストール)とPolydeukēs(ポリュデウケース、剣術とボクシングの名手で、神の血を受け継ぎ不死身でしたが、人間だった兄が戦死してしまい、神に慈悲を乞って兄とともに天にいることを許されたといいます。これが双子座であるといわれています))、


Lynkeus(リュンケウス、「大山猫の眼を持つ者」という意味であり、その名にふさわしい並はずれた視力を持ち、夜目が利くだけでなく、地面の下まで見通すことができたといいます)、


Pēleus(ペーレウス、海の女神Thetis〈テティス〉の夫で、Achilleus〈アキレウス〉の父)、


Orpheus(オルペウス、女魔物Seirēn〈セイレーン〉に歌合戦を挑み一座を鼓舞、無事に海峡を渡ります)ら50人の勇者たちが集まりました。


 


こうしてアルゴー船に乗り組んだ勇者をArgonautes(アルゴナウテース)、総称としてArgonautai(アルゴナウタイ)といいます。


アルゴナウタイは、女神アテーナーの祝福を受けて出発、Lêmnos島(レームノス島、Egéo〈エーゲ〉海北部にある島)で歓待を受けますが、Khíos(キオス、エーゲ海東部にある島)ではヘーラクレースが従者Hylās(ヒュラース)を攫われて一行から離脱してしまいます。Bebryces(ベブリュクス)での拳闘試合ではポリュデウケースが活躍し、Trakya(トラーキア)では怪鳥Harpuia(ハルピュイア、顔から胸までが人間の女性で、翼と下半身が鳥という伝説の生物)たちを追い払って盲目の予言者Phīneus(ピーネウス)を救い、Bosporus(ボスポラス)海峡では絶え間なくぶつかり合う二つの大岩、Symplegades(シュムプレーガデス)岩の間をくぐり抜けるなど、各地での冒険を経てKolchís(コルキス)に到着しました。


 アルゴナウタイの航海については、また後日詳しく扱うつもりです。

 一昨日・昨日と朝から雨で早朝徘徊はお休みしました。今日は桜橋~蔵前橋間を一回りして帰宅しました。


 お約束の通り、今日から英雄Jason(イアーソーン)のお話に移ります。


 


Jason(イアーソーン)はThessalía(テッサリアー、ギリシア中部の地域名)のIolkós(イオールコス)王Aeson(アイソーン)の子ですが、アイソーンが死んだ時にイアーソーンがまだ幼かったため、叔父に当たるPeliās(ペリアース)が王位を継ぎ、イアーソーンはKentauros(ケンタウロス、半人半獣の種族)の賢者Cheirōn(ケイローン、Apollōn〈アポローン〉から音楽、医学、予言の技を、Artemis〈アルテミス〉から狩猟を学んだといわれています)に預けられました。


一説には、ペリアースに王権を奪われて幽閉されたアイソーンがイアーソーンを助けるためにケイローンのところに送ったともいわれています。このころからイアーソーンには女神Hērā(ヘーラー)の加護があったとされます。やがて成人したイアーソーンはイオールコスに戻って王権の回復を求めるのでした。この若者をイアーソーンと知らないペリアースは、若者がサンダルを片方しか履いていないことに気づきます。


実はペリアースは以前に、サンダルを片足だけ履いたものに王位が奪われるであろう、という神託を受けていたのです。そこで王位を手放したくないペリアースは一つの条件を示しました。その条件とは、黒海の果てKolchis(コルキス)にあるという伝説の黄金の羊の毛皮を持ち帰ることでした。


 


伝説の黄金の羊の毛皮とはギリシア神話に出てくる秘宝のひとつで、翼を持つ金色の羊の毛皮のこと。Boeotia(ボイオーティア)王のAthamās(アタマース)はNephelē(ネペレー)と結婚し、Phrixo(プリクソス)とHellē(ヘレー)をもうけまが、Kadmos(カドモス)の娘Īnō(イーノー)に恋をし、彼女と再婚します。アタマースの後妻イーノーの企みによって、プリクソスはZeus(ゼウス)への犠牲として殺されそうになりますが、Nephelē(ネペレー)がHermēs(ヘルメース)から授かった金毛羊を連れて来ましたので、プリクソスはその背に乗ってヘレーとともに脱出します。一説には単にネペレーが金毛羊を2人に授けたとも、あるいはゼウスが2人に金毛羊を送ったともいいます。しかしヘレーは途中で海に落ちて「Hellesponts(ヘレースポントス)」(ヘレーの海)、現在のDardanelles(ダーダネルス)海峡の名前の由来となりました。


プリクソスはCaucasus(コーカサス)地方のコルキスに達しました。この地の王Aiētēs(アイエーテース)はプリクソスを迎え入れ、娘のChalkiope(カルキオペー)をプリクソスの妻として与えました。プリクソスは金毛の羊をゼウスに捧げ、その皮をアイエーテースに贈りました。アイエーテースは、金羊毛をArēs(アレース)の社にある樫の木に打ち付け、眠らない竜(ドラゴン)に守らせました。金羊裘(きんようきゅう)、金色の羊毛、黄金の羊毛、金色羊の革、ゴールデン・フリース(golden fleece)など、さまざまな表記があります。

 今朝も桜橋~蔵前橋間を一回りしてきました。


 今日で、9月もおしまい明日から10月。ギリシア神話のテーセウスの物語も昨日で終わりましたので、10月以降はアルゴ―探検隊を集めて金色の羊の革を手に入れたイアーソンのお話に移ります。今後とも御贔屓に願います。


 


 途中長い入院があったので、朝ドラの「まれ」は途中からあまり見る気がしませんでした。9月28日(月)から新しく、『あさが来た』が始まりました。明治を代表する女性実業家広岡浅子をモデルにしたドラマといいます。


 ウェブニュースより


 新・朝ドラ『あさが来た』王道回帰 ―― きょう28日よりNHK連続テレビ小説『あさが来た』(月~土 前800 総合ほか)がスタートする。女優の波瑠が主演する同作は、連続テレビ小説としてはもっとも古い時代、史上初の幕末から始まる物語。激動の時代をはつらつと生きた女性の一代記という朝ドラの王道が帰ってくる。


 


 ヒロインの名は「あさ」。幕末、京都の豪商の次女に生まれ、女性に参政権すらなかった時代に実業家として才覚を発揮し、日本初の女子大学の設立にも関わった教育者としても名を残す。 ヒロインのモデルは、広岡浅子さん。浅子さんの生涯をつづった『小説 土佐堀川』(潮出版社)を原案に、『風のハルカ』(2005年)以来、2度目の登板となる大森美香氏が脚本を担当。フィクションとして、「いまより少しでも皆が幸せな世の中の実現」のため奮闘するあさと、あさを陽気に支え続けたボンボン夫・新次郎やあさの応援者との温かな交流、そしてあさの姉・はつの人生を絡めた物語を紡いでいく。


 あさを演じる波瑠のほか、夫・新次郎に玉木宏、姉・はつに宮崎あおいが出演。第1週「小さな許嫁(いいなずけ)」では、あさの少女時代を子役の鈴木梨央が演じる。


 物語は、あさが11歳の頃、幕末の京都から始まる。豪商今井家の次女あさ(鈴木)は、相撲が大好きな女の子。清楚な姉のはつ(守殿愛生)とは正反対。そんな姉妹には、生まれた時から許婚がいた。あさの許婚(いいなずけ)は、大阪の大きな両替屋・加野屋の次男、新次郎(玉木)。はつの許婚(いいなずけ)は、老舗両替屋・山王寺屋の惣兵衛(柄本佑)。あいさつの席で姉妹は、遊び好きなボンボンの新次郎と態度の冷たい惣兵衛を見て不安になってしまう。


 「自分の道は自分で決めたい」と学問をはじめる、あさ。しかし母・梨江(寺島しのぶ)は「女に学問は必要ない」と叱る。あさはしつこく「なんでどす?」と問い続け、納得がいかずに押入れに籠城。そこに突然、新次郎が現れる。新次郎は「あさちゃんの好きにしたらええ」と、ある贈り物を渡す。思いがけない贈り物を見つめ、ドキドキするあさ。月日は流れ、相変わらずおてんばな15歳のあさ(波瑠)と慎ましい女性に成長した姉のはつ(宮崎)は、結婚を約束した年を迎えるのだった。


 第1週、波瑠の出番は第1回(28日)の冒頭と、第6回(103日)の最後のみ。代わりにこあさ役の鈴木が「おてんばで元気いっぱいのあさを一生懸命頑張りました。皆さんがあさを見て、笑顔になっていただけたら、とてもうれしいです」と熱演。波瑠も「2週目以降、どんどん人物も増えて、すごく盛り上がっていきますので楽しみにしていただければ」とアピールしている。  (Asahi Shinbun Digital 2015年9月28日)


広岡浅子とは



日本の実業家、教育者、社会活動家。18491018日、山城国京都(現・京都府京都市)の豪商・三井高益の4女として生まれる。67年、17歳で大坂の豪商「加島屋」の次男・広岡信五郎に嫁いだ。同年11月の大政奉還により、加島屋は大名への貸し金総額900万両(4500億円相当)を無にするところだったが、浅子は諸藩に出向き返済を迫ったという。明治維新の動乱期からは実業家として尽力、鉱山の再建に携わり、加島銀行や大同生命も創業、加島屋を財閥に育て上げた。教育者としても力を注ぎ、大阪に梅花女学校を設立していた成瀬仁蔵らと各界の有力者に働きかけ、1901年に東京都文京区目白台に「日本女子大学校」(現日本女子大学)を設立させた。02年に夫が死去すると、一人娘に養子を迎え実業界から引退。11年、洗礼を受け日本キリスト教中央委員となり、遊郭の女性救出を始めとした社会活動を行う。19114日、死去。享年70151月、浅子を主人公とした『小説 土佐堀川女性実業家・広岡浅子の生涯』(古川智映子著、潮出版社)を原案とし、NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」が同年後期より放映されることが発表された。


 今朝も桜橋~蔵前橋間を一回りして帰宅しました。途中スーパームーンが見られるということで楽しみにしていましたが、生憎雲の合間に時々見えるという状態で、カメラを向けても旨く撮影できませんでした。


 ウェブニュースより、


 「スーパームーン」くっきり 地球に接近、満月の時期と重なる ―― 月が最も地球に近づいて、満月の時期と重なる「スーパームーン」が28日、世界各地で観測され、国内でも普段よりも一回り大きな月がくっきりと姿を現した。


 


 東京スカイツリー(東京・墨田)周辺では、午後6時ごろから東の夜空にスーパームーンが浮かんだ。同区の男子高校生(17)は「赤みがかった大きな月がとてもきれいだ」と笑顔で語った。/国立天文台によると、月は楕円の軌道で地球の周りを回っている。28日夜の満月は今年最も小さかった3月6日と比べ直径が1.14倍に見え、明るさは3割ほど増した。  (日本経済新聞 2015/9/28 19:42)


 


 ある日、Peirithoos〈ペイトリオス、テーセウスの盟友〉はAthēnai(アテーナイ)の牛の群れを奪おうと、Marathn(マラトン)の丘に侵入します。すぐ防衛に駆けつけたThēseus(テーセウス)を見た瞬間、ペイトリオスはその姿に敬服してしまいます。ペイトリオスが「私が悪かった。どんな刑罰をも受けよう」というと、「君の友情をくれ!」テーセウスは即答します。以後二人は盟友となったのです。


 Phaidrā(パイドラー、テーセウスの妻)の死と同じ頃、ペイリトオスも妻Hippodameia(ヒッポダメイア)を亡くしていました。二人は大神Zeus(ゼウス)の娘を妻にしようと相談しました。テーセウスは幼いHelenē(ヘレネー、Īlios〈イーリオス〉の王子Paris〈パリス〉に攫われ、Troia〈トロイア〉戦争の原因となった)を選び、ペイトリオスはなんと冥界の女王Persephonē〈ペルセポネー〉を選びました。


 


 二人はSpártā(スパルタ)にいたヘレネーを攫い、アテーナイまで連れて帰ることに成功。いずれスパルタがヘレネー捜索に動きだすので、戦争を避けたいテーセウスは、ヘレネーを母Aithrā(アイトラー)にゆだね、アテーナイから離れた場所に隠しました。


その後、テーセウスとペイトリオスは冥界へおりていき、ペルセポネーの夫で冥界の王Hādēs(ハーデース)にその目的を話してしまいます。内心呆れはてたハーデースは、二人に椅子に座るよう勧めました。この椅子は「忘却の椅子」と呼ばれ、座ると身動きできなくなり、記憶をも失ってしまいます。ぼ〜っとした二人は、そのまま冥界に捕われれの身となったしまいます。


 やがて、Hēraklēs(ヘ-ラクレ-ス、ギリシア神話の半神半人の英雄)が、「Kerberos(ケルベロス、冥界の番犬)の試練」で冥界にやってきた時、テーセウスだけは助けられましたが、ペイトリオスは助けだされず、その運命のままにゆだねられました。


 テーセウス達が冥界にいる間に、ヘレネーは発見されスパルタに連れ戻され、アテーナイの王位も奪われてしまいました。彼はSkyros(スキューロス)島の王Lukomēdēs(リュコメーデースのもとに身を寄せましたが、テーセウスが自国の民や臣下の人気を獲得し、彼の王座を奪うことを畏れてテーセウスを裏切り殺しました。テーセウスに友誼を示しつつ、彼を誘って崖の頂きまで行き、そこよりテーセウスを突き落として殺したとされます。Apollodoros(アポロドーロス、古代ローマ時代のギリシャの著作家で、1世紀から2世紀頃の人物と推定されていいます。『Biblioteke〈ビブリオテーケー、ギリシア神話〉』の編纂者)は、崖とは述べず、深い穴に突き落として殺害したと記しています。また別の説では、テーセウスは殺されたのではなく、食後の散歩の途中、誤って崖から落ちて死んだとされます。


 後年、アテーナイの将軍Kimōn(キモーン)はテーセウスの遺骸を発見すると、アテーナイに連れて帰り、テーセウスは彼のために建てられた社に納められることになりました。

 今朝の早朝徘徊は昨日と同じく桜橋~蔵前橋間を一回りして帰宅しました。


 


父Aigeus(アイゲウス)王の自殺の後、Thēseus(テーセウス)はAthēnai(アテナイ)の王に即位します。彼はAmazōn(アマゾン、ギリシア神話に登場する女性だけの部族)に遠征し、王女Antiopē(アンティオペー、Hippolyte〈ヒッポリュテー〉と姉妹)を攫い、妻としました。
※ 一説には、テーセウスが妻としたのは、ヒッポリュテーだといいます。

 アンティオペーはテーセウスの妻となり、Hippolytos(ヒッポリュトス)を生みますが、後にテーセウスはKrētē(クレーテー)島の王Mīnōs(ミーノース)の娘でAriadnē(アリアドネー)の妹Phaidrā(パイドラー)と結婚しました。このためアンティオペーはアマゾーンを率いて結婚式を襲いますが、結婚式の出席者たちは扉を閉めてアンティオペーたちを殺したとも、テーセウスに殺されたとも、あるいはHēraklēs(ヘーラクレース)に殺されたとも、またあるいはMolpadia(モルパディアー、アマゾンの一人)に殺されたともいいいます。
 アリアドネーの妹パイドラーを妻とし、幸せに暮らしていましたが、女神Aphrodītē(アプロディーテー)の策略により、パイドラーは義理の息子ヒッポリュトスを愛してしまうのです。
 魅力と美徳をかねそなえた前妻の息子ヒッポリュトス ―― 新妻パイドラーはこの義理の息子に好意を抱くようになりました。が、ヒッポリュトスは継母の恋をはねつけたのです。恋は憎悪に変わり、彼女は「ヒッポリュトスに辱めを受けた」と遺書を残し自殺してします。怒ったテーセウスは、息子に災いがくだるよう、海神Poseidōn(ポセイドーン)に祈りました。
 ヒッポリュトスが二輪車に乗り、Troizḗn(トロイゼーン、古代ギリシアの都市国家)のSalonika(サロニカ)湾岸を戦車で走っていたとき、Poseidōn(ポセイドーン)が遣わした怪物(あるいは雄牛)が海から現れました。戦車を牽いていた馬はそれに驚き暴れ、ヒッポリュトスは戦車から落ち、暴走した馬に轢かれて死亡してしまいます。

※ Lawrence Alma-Tadema(ローレンス・アルマ=タデマ):イギリス、ヴィクトリア朝時代の画家。古代ローマ、古代ギリシア、古代エジプトなどの歴史をテーマにした写実的な絵を数多く残し、ハリウッド映画の初期歴史映画などに多大な影響を与えたと言われる。

 Eurīpidēs(エウリーピデース、BC480年頃~406年頃、ギリシア悲劇における三大悲劇詩人の1人)によれば、ヒッポリュトスは手綱に絡まり瀕死となりながら父テーセウスの前まで引きずられてきました。Artemis(アルテミス)が真相を話すとテーセウスは後悔してヒッポリュトスを許し、ヒッポリュトスは父の腕の中で死んだといいます。
 アルテミスはヒッポリュトスの死を悼み、Asklēpios(アスクレーピオス、ギリシア神話に登場する名医の一人)を説き伏せてヒッポリュトスを復活させたといいます。しかし死すべき人間を復活させたことにJuppiter(ユーピテル、ローマ神話の主神、ギリシア神話ではZeus〈ゼウス〉にあたります)は激怒し、アスクレーピオスを雷で打ち殺した(あるいは冥界に落とした)といわれています。その後、ヒッポリュトスはイタリアでEgeria(エーゲリア)というニンフに保護されたといいます。

 ローマ神話では、復活したヒッポリュトスはユーピテルの目から逃れるため、Diāna(ディアーナ、アルテミスに相当するローマ神話の女神)により、ローマに近いNemi(ネーミ(あるいはAricia〈アリキア〉)にあるニンフのEgeria(エーゲリア)の洞窟に隠され、老人の姿に変えられ、森のディアーナ信仰の神Virbius(ウィルビウス)になったといいます。

プロフィール
ハンドルネーム:
目高 拙痴无
年齢:
93
誕生日:
1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
 sechin@nethome.ne.jp です。


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