瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
[1726] [1725] [1724] [1723] [1722] [1721] [1720] [1719] [1718] [1717] [1716]

 ノーベル文学賞は村上春樹へ・平和賞は日本国減法第9条へという期待は前評判だけでいずれも的外れでした。
 
2014年のノーベル文学賞の受賞者はフランスのパトリック・モディアノ氏の受賞が決まりました。アカデミーのエングルンド事務局長は「彼は記憶やアイデンティティー、失われた時を探し求め、時代を超越した主題を書いている。記憶を呼び起こすことは大変な作業だが、彼は繰り返しこの主題に回帰し、作品すべてが一つのジグソーパズルのように結びついている点がユニークだ」とたたえています。また平和賞はインドのカイラシュ・サティアティさん(60)とパキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)の2人が選ばれました。
 
若者や子どもの教育を受ける権利を求めた運動が評価されたのだといいます。ユスフザイさんはノーベル平和賞で最年少の受賞者となりました。ユスフザイさんは少女の教育を受ける権利を主張。その後パキスタンのイスラム武装勢力「タリバーン」のメンバーに頭部を銃撃された事件で世界的な注目を集めました。サティアティさんは経済的な利益のために子どもを搾取することに反対する平和的なデモを主導するなどしたといいます。ノーベル賞委員会の委員長は「子どもは学校に行かなければならない。金銭的な搾取の対象となってはならない」と述べたといいます。
 

 日刊ゲンダイ1010日付けでのニュース3題、
 「国の誇り」と大騒ぎだが…中村教授はなぜ日本を棄てたのか ―― 「日本人が快挙達成」「同じ日本人として晴れがましい」――。日本の研究者3人がノーベル物理学賞を受賞したことで、国内メディアは大騒ぎ。個人の受賞を「国の栄誉」と解釈して、万歳ムードが広がっている。/だが、ちょっと待って欲しい。受賞者の一人の中村修二氏は世界的発明の対価である「報奨金2万円」を不服として勤務先を相手に裁判を起こし、日本の産業界に一石を投じた先駆者でもある。その後はさらなる研究の場を求めてカリフォルニア大教授に転身。米国籍も取得した。つまり日本を見限ったわけだ。/7日の会見でも中村氏は「怒りが私の研究の原動力」と語り、研究に冷ややかだった元勤務先から「無駄飯食い」と中傷されたエピソードを披露。「会社の上司たちが私を見るたびに、まだ辞めてないのか、と聞いてきた。私は怒りに震えた」と話していた。/一方で「仕事はアメリカがやりやすい。スピードが速く、規則がない」と米国の研究システムを高く評価し、「米国の研究者にはたくさんの自由があるが、日本には本当の自由がない」とバッサリ。過去には「超難関のウルトラクイズみたいな大学受験システムが、つまらない人間をつくりだす元凶」とまで言ってのけた。/偏狭な民族主義をあおる安倍政権以下、日本の自称「愛国者」たちは、この国に愛想を尽かした中村氏を「国家の誇り」と持ち上げているわけだ。/工学博士の秋元格氏が言う。「中村氏は研究者にとって日本は劣悪な環境と痛感したのです。理研みたいな研究機関や大学では文科省の役人が予算を取り仕切り、研究者はカヤの外。自由な研究はできません。しかも画期的な発明をしても報酬はゼロに近い。米国の大学はその対極にあります。中村氏のカリフォルニア大の年俸は2千万~3千万円でしょうが、米国では研究者が企業などから研究費を提供してもらい、自由に使うことができる。研究に5億円出してもらい、契約によってはそのうちの1割を生活費に充てることも許されます。企業側は余計な口出しをせず、自由なお金として使えるのです」
■ムードで飛びつく日本社会の未成熟:秋元氏によると、欧米では受賞はあくまでも個人の栄誉と受け止め、それほど騒がないそうだ。/「せいぜい大学の学生が“お祝いパーティーで酒が飲める”“就職に有利になるかも”と期待する程度」(秋元氏)というから、日本と大違いである。/「日本人がおかしいのです」とは社会学者で作家の岳真也氏だ。「小保方さんがSTAP細胞を発表したときもそうでしたが、明るいニュースがあると一斉に飛びついてもてはやす。個人の考えではなく、ムードで行動してしまう。まさに“国民が成熟していない大衆社会”です。これから安倍首相は受賞者を呼んで政治パフォーマンスに利用するだろうし、国民は“日本は技術立国だ”と勘違いする。集団催眠にかかり、安倍さんの支持率は上昇。その先に待っているのは消費税の引き上げや集団的自衛権でしょう」/中村氏は腹の底で苦笑いしているのではないか。

 
法改正で「発明は企業のもの」…政府が中村教授の“怒り”無視 ―― 「科学技術立国」なんて夢のまた夢だ。政府は9日、職務発明の特許を「社員のもの」とする現行制度から、「企業のもの」に変更する方針を固めた。「発明の対価」をめぐる企業の訴訟リスクを減らしたい経団連などの要望に沿ったわけで、早ければ開催中の臨時国会で法案提出するという。/発明に貢献した社員に報酬を支払う社内ルールを条件にするというが、企業の理屈や利益を優先していたら、優秀な技術者は当然、海外に逃げてしまう。企業側は研究費の面倒をみているなどと言うだろうが、有望な研究であれば、投資するファンドは世界にいくらでもあるのである。/ノーベル物理学賞を受賞した中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)は、2001年、青色LEDの開発の対価「2万円」を不服として、勤務先を相手取り提訴。最終的に請求額を大きく下回る8億4000万円で和解したが、これだって少ない。だから中村教授は日本を飛び出し、米国籍を取得し、“怒り”で研究を続けたのである。政府はそのへんの事情がまったくわかっていない。大企業ベッタリで、完全にトチ狂っている。経済ジャーナリストの井上学氏が言う。「職務発明制度の見直しについては前からいわれていましたが、このタイミングで政府方針を固めたのは中村さんの影響でしょう。『発明の対価は個人に帰する』というノーベル賞受賞者の言葉が世論を作る前に“先手”を打った形です。安倍首相は、財界の意向をくんだつもりになっているかもしれませんが、これでは中村さんのような優秀な科学者であればあるほど逃げてしまうでしょう。政府は『優秀な外国人研究者を招いてイノベーションを創出したい』とも言っていますが、そもそも優秀な人材が『権利は会社のもの』などという国に行くわけがありません」/中村氏の“怒り”の感情を逆なでする政府。「科学立国」の二枚舌には呆れるばかりだ。

 安倍首相が胸をなで下ろした村上春樹のノーベル賞「落選」 ―― 村上春樹氏(65)が今年もノーベル文学賞を逃した。授与が決まったのは、フランスのベストセラー作家のひとりであるパトリック・モディアノ氏(69)。ブックメーカーの英ラドブロークスの賭け率では3年連続トップにつけ、「今年こそ」と意気込んでいたハルキストはまたも肩透かしを食らった。文芸評論家の土居豊氏は、落選理由をこう分析する。/「選考するスウェーデン・アカデミーは欧米出身の作家に偏らないように地域配分を考慮する方針を打ち出していますが、欧米勢の評価が高いのが現実です。村上氏は年齢的にまだ若く、まだまだ作品を発表する可能性が高い。世界的なベストセラー作家ですが、文学性や芸術性が高いツウ好みの作家とは見られていないのもネック。決め手に欠けたのでしょう」/もっとも、安倍首相はホッと胸をなで下ろしたんじゃないか。村上氏といえば、安倍首相にとって耳の痛いことばかりを訴えてきたからだ。
■受賞なら世論は脱原発に:2011年にカタルーニャ賞の受賞スピーチで「私たち日本人は核に対する〈ノー〉を叫び続けるべきだった」と脱原発を訴え、豪メディアの取材に「東京電力の社長とか何人か、本当に刑務所へ行くべきだと思う」と発言。尖閣問題をめぐり、悪化の一途をたどる日中関係にも警鐘を鳴らしている。12年には朝日新聞に〈領土問題が実務課題であることを超えて、「国民感情」の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状況を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている〉と寄稿したのだ。/物理学賞を受賞したカリフォルニア大教授の中村修二氏(60)は体験談を交えて日本の産業界のあり方を舌鋒鋭く批判しているし、きょう(10日)午後には「憲法9条」が有力候補とされる平和賞の発表を控えている。安倍首相の脳裏には「トリプルパンチ」の悪夢がよぎったに違いない。元法政大教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。「安倍首相が村上さんの著書を読んでいるか怪しいものですが、村上さんが受賞すれば過去の政治的発言が再びクローズアップされるでしょうし、改めて脱原発や外交問題に言及するかもしれない。安倍首相にとって、非常に都合が悪くなったと思います」/安倍首相のもくろみを封じる好機は、まだ残されている。

この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
ハンドルネーム:
目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
 sechin@nethome.ne.jp です。


小冊子の紹介
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
[m.m 10/12]
[爺の姪 10/01]
[あは♡ 09/20]
[Mr.サタン 09/20]
[Mr.サタン 09/20]
[ままだいちゅき 09/20]
[ままだいちゅき 09/20]
[ままだいちゅき 09/20]
[爺 09/20]
[ままだいちゅき 09/20]
最新トラックバック
ブログ内検索
カウンター
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © 瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り All Rights Reserved
/