瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 朝から雨、4時半から目が冴えて枕元から取り出した文庫本は陶淵明、ぱらはらと捲(めく)れば、「連雨飲酒」に行き当たる。元興3(404)年、淵明40歳頃の作という。連日の陰雨で、独り酒を飲み酔後に自己の心境を語ったものと言う。「連雨、人絶えて独り飲む」と題す。

cfb02c77.JPG 生あるものは必ず死滅する。
 これは昔からそのように言われてきたことだ。
 この世には赤松子や王子喬のような仙人がいたというが、
 今日いったいどこにいるのだろう。
 長老が酒を贈ってくれた。
 なんと、これを飲めば仙人になれるという。
 ためしに飲んでみると、
 なるほど、わずらわしさの数々が遠く去ったような気がし、
 さらに杯を重ねると、たちまち陶然として忘我の境地になった。
 いや、仙人の住む天界も、この境地からさほど隔たったものではあるまい。
 まさに天真そのもの、天とぴったり一体となり、
 ふしぎな翼をもった雲間の鶴が
 一瞬間に宇宙をかけめぐったような気持である。
 わたしはこのような個性を抱きつづけて、
 つとめ励むこと四十年、
 肉体はもう衰えてしまったけれど、
 天と一体の心はまだ失ってはいない。
 それで十分であって、これ以上何を言うことがあろう。

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