瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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テレビも新聞も連日、コロナウイルス報道です。もうさすがにうんざりしてきます。毎日毎日「感染、拡大止まらず」「警察官初の感染」「大分県初の感染」「広島県初の感染、8回受診して検査行われず」「どこどこで1人、どこどこで2人」「クラスター感染か」「依然つづく“トイレ紙”不足」などなど。もう気が滅入ってしまいます。テレビのワイドショーはどの局もくどくて、しつこい! 報道の仕方に相変わらずの違和感しかありません。
 
感染の世界流行(パンデミック)になるのか、その逆に、いつごろ収束しそうなのか、東京オリンピックは大丈夫なのか、世界経済はどうなるのか、といった大問題は個人にはどうしようもありません。いずれなるようになるだろうと思うしかないのであります。

何時まで続くかわかりませんが、当分「万葉植物」について調べてみようと思います。


万葉植物1
 
万葉植物とは『万葉集』に詠まれている植物をいい、その数は160種ほどです。万葉植物を知ることによって、当時の栽培植物、渡来植物、食用・染料・繊維などの有用植物、庭の花、野外で観賞された花、花の飾り方など、万葉人の植物利用や関心が明らかにできます。
 
食用植物にはイネ、アワ、キビ(きみ)、ムギなどの穀物、カブ(あおな)、フユアオイ(あおい)、サトイモ(うも)、ウリ、ニラ(くくみら)などの野菜、クリ、ナシ、モモ、スモモ、ナツメ、タチバナ類などの果実があり、いずれも栽培下にあったと考えられます(括弧(かっこ)内は当時の呼称)。ほかにもミズアオイ(なぎ)、コナギ、セリ、ノビル、ヨメナ(うはぎ)、オケラ(うけら)、スミレ、クログワイ(えぐ)、ヒシなどの野草やマツタケ(あきのか)、およびアシツキ、ホンダワラ(なのりそ)、ミル、ワカメなどの淡水藻、海藻も食用とされていました。
 
 
海外から渡来した植物には、穀物や野菜のほか、観賞植物がある。渡来した観賞植物には、花木としてはウメ、モモ、スモモ、ニワウメ(はねず)、タチバナ、カラタチ、庭木としてはシダレヤナギがあり、草花としてはハス(自生もある)、ケイトウ(からあい)、ベニバナ(くれない)、ヤブカンゾウがあり、その数は樹木7、草花4の計11種です。
 
 
一方、日本に自生する植物のうち、宿(やど)(屋戸、夜戸、室戸、屋前、屋外と書く)、垣内(かきつ)、垣根、垣間、植える、播()くなどの表現を伴い、庭で栽培されていたとみられる観賞植物があります。花の美しい木としてはヤマブキ、アセビ、ハギ、ツバキ、フジ、サクラ、ウツギ、ツツジ、アジサイ、ナシ、センダン、ネムノキの12種があり、庭木としてはマツ、タケ、カエデの3種があります。また、草花にはナデシコ、ユリ、ススキ(ハナススキなど)の3種があります。このうち、ススキは積極的に植えられたかどうかは不明ですが、いちおう庭の植物に含めると日本の自生植物は18種となります。これに前出の渡来植物11種を加えた29種が、万葉人の庭に植えられた樹木と草花ということになります。
  
 
庭に植えられた29種のうち、樹木は22種、草花は7種で、圧倒的に樹木のほうが多いのです。これは、野生種を含めて考えると、いっそうはっきりします。花の美しい自生の樹木は16種で、このうち12種は栽培もされています。これに対して花の美しい草は20種を数えるが、栽培されている形跡があるのはわずかに4種です。万葉植物は、草本類が82種、木本類とタケ・ササ類が78種と、ほぼ同数となるので、明らかに栽培には花木好みが現れているといえます。この傾向は、個々の植物が歌にどのくらい詠まれているかという総数からもつかむことができるのです。
 
万葉植物のうち、もっとも多く詠まれた植物はハギで141首、これに次ぐのがウメの118首、さらにマツ79首、タチバナ68首、サクラ50首と続く。一方、草本類ではアシ50首、スゲ(スガも含む)49首、ススキ(カヤ、オバナなども含む)47首が上位を占めます。花の美しい草ではナデシコが1位で26首詠まれ、オミナエシ14首、ユリ10首、カキツバタ7首などがこれに続きます。
 
 
また、野の花の観賞は季節に差があり、春の美しい草花はスミレ、オキナグサ(ねっこぐさ)、カタクリ(かたかご)くらいしか登場しません。これに対し、夏から秋にかけては15種の花の美しい草が詠まれ、山上憶良の秋の七種(くさ)の歌(巻8「萩(はぎ)の花 尾花葛花(をばなくずはな) なでしこが花 をみなへし また藤袴(ふぢはかま) 朝顔(あさがほ)が花」)も花を中心に据えた選択です。
 
 
ところが、『万葉集』には春の七草がなく、春の代表花であるスミレですら、山部赤人が歌ったように摘み草の対象にされていました(巻8「春の野に すみれ摘みにと 来()し我(われ)そ 野をなつかしみ 一夜寝(ひとよね)にける」)。
 
 
厳しい冬を過ごした万葉人は、春にはまず、食用として草花をみていたようです。


 

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