瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
Albrecht Dürer(アルブレヒト・デューラー, 1471~1528年、ドイツのルネサンス期の画家、版画家、数学者)が製作した銅版画に『メランコリアⅠ』という作品がある。
この作品については批評家や美術史家達が460年間議論し続けてきたという。現代の用語法では「憂鬱症(メランコリカー)」は精神障害者を意味するが、古くアリストテレスは憂鬱質を「真摯で精神的創造力を具えた素質」とみなしていた。
Marsilio Ficino(マルシリオ・フィチーノ、1433~1499年、イタリア・ルネサンス期の人文主義者、哲学者、神学者)はその著『健康な生活について』の中で、「「全て偉大なる芸術において卓越せし者は、ことごとく憂鬱質なりき」と述べているが、1513年と14年の間に制作されたこの銅版画の神秘的な図は、羽を付けたが人物が悲しみに沈んだ姿をして座り、Greyhound)(グレーハウンド)の犬と子供(putto、プットー)が横にいる場面である。背景には建設中の家があり、さらに海が光線を浴びて滑らかな表面を見せており、その上に虹がかかっている。3つの像の周囲には様々な物、実用品が置かれている(砂時計、はかり、梯子、魔法の正方形(数字を足すと何時も34になる)、指物師や石工の使う道具、釘と石の多面体)。
23.9×16.8cmの大きさの紙には哲学、魔術、数学、錬金術等の当時の知識が詰め込まれているのである。又「学問や芸術の合理的想像的世界」を表現しているとも、自己の芸術への絶望と希望が投影された、デューラーの精神的な自画像ともいわれている。
Hippocrates( ヒポクラテス, BC460~377年、古代ギリシアの医者)は人間は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁からできていると述べ、血液が多い人は楽天的、粘液が多い人は鈍重、黒胆汁が多い人は憂鬱(メランコリーの語源は黒胆汁である)、黄胆汁が多い人は気むずかしい気質を持つとした。『メランコリアⅠ』は四体液説(四性説)における人間の4つの性格の一つ「憂鬱」をテーマにしたもので、天使が頬杖をついている。その顔つきは尋常ではなく、今にも発狂しそうな表情であり、頬杖のポーズは憂鬱気質をあらわし、天才の資質である。天才の挫折をあらわすとか、霊感を受けている場面であるとか、いろいろと解釈されているとても難解な絵ようである。そして、この図を眺める者は誰でもそれら象徴物の意味を問わずにはいられないだろうが、それは謎につつまれているかのようである。なお、メランコリアⅠの「Ⅰ」は憂鬱質の第一段階を示すものだと解釈されているらしい。
よく観ると絵の右上部に魔方陣ががある。魔方陣というのはn×nの升目に数を入れて縦・横・斜め、何れの和も一定になるようにしたもので、nが3なら三方陣、nが4なら四方陣、nが5なら五方陣と呼ぶ。用いる数はふつう1からnの二乗の自然数である。この「メランコリアⅠ」のま方陣では、
横の和 16+3+2+13=5+10+11+8=9+6+7+12=4+15+14+1=34
縦の和 16+5+9+4=3+10+6+15=2+11+7+14=13+8+12+1=34
斜めの和 16+10+7+1=13+11+6+4=34
そればかりでなく、四隅にある数の和、真ん中の4升にある数の和なども34になる。
16+13+1+4= 10+11+7+6=3+2+15+14=5+9+8+12=34
さらに、縦・横それぞれの真ん中の直線で4等分したそれぞれの枠の4数の和も34になる。
16+3+10+5=2+13+8+11=9+6+15+4=7+12+1+14=34
魔方陣はこうした神秘的な性質を持っているため、昔は占星術の対象になったこともある。
Heinrich Cornelius Agrippa (ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ)という人は、3次から9次までの魔方陣を作り、それを7つの惑星に結びつけていた。当時は月と太陽も惑星扱いだったが、それぞれ3次魔方陣を土星に、4次魔方陣を木星に、5次魔方陣を火星に、6次を太陽に、7次を金星に、8次を水星に、そして9次魔方陣を月に当てはめていたのである。
メランコリアⅠの魔方陣について赤地で表わした15、14がこの版画が作られた年をあらわしているという。尤も同じ年の5月にDürerの母親が亡くなっているので、それを記したのだいう説もある。そして、和が34であるのは、15+14+5(1514年5月)=34 のように仕組んだというだが、四方陣の1列の和は34に決まっているのでどうもこじつけ臭い。
四方陣に使われる1から16までの和は136で4列になっているのだ、136を4で割れば34ということになる。なお、1列の和は三方陣では15、五方陣では65、6方陣は111、7方陣は175であるが、一般にn
方陣の場合、等差数列の総和は (初項+末項)×項数÷2 で求まるから、
(1+n²)×n²÷2=n²(n²+1)/2 これを列数nで割って n(n²+1)/2 で求められる。
これを用いる、八方陣の1列の和は 8(8²+1)/2=4×65=260、
九方陣の1列の和は 9(9²+1)/2=9×41=369 と計算できる。
この作品については批評家や美術史家達が460年間議論し続けてきたという。現代の用語法では「憂鬱症(メランコリカー)」は精神障害者を意味するが、古くアリストテレスは憂鬱質を「真摯で精神的創造力を具えた素質」とみなしていた。
Marsilio Ficino(マルシリオ・フィチーノ、1433~1499年、イタリア・ルネサンス期の人文主義者、哲学者、神学者)はその著『健康な生活について』の中で、「「全て偉大なる芸術において卓越せし者は、ことごとく憂鬱質なりき」と述べているが、1513年と14年の間に制作されたこの銅版画の神秘的な図は、羽を付けたが人物が悲しみに沈んだ姿をして座り、Greyhound)(グレーハウンド)の犬と子供(putto、プットー)が横にいる場面である。背景には建設中の家があり、さらに海が光線を浴びて滑らかな表面を見せており、その上に虹がかかっている。3つの像の周囲には様々な物、実用品が置かれている(砂時計、はかり、梯子、魔法の正方形(数字を足すと何時も34になる)、指物師や石工の使う道具、釘と石の多面体)。
23.9×16.8cmの大きさの紙には哲学、魔術、数学、錬金術等の当時の知識が詰め込まれているのである。又「学問や芸術の合理的想像的世界」を表現しているとも、自己の芸術への絶望と希望が投影された、デューラーの精神的な自画像ともいわれている。
Hippocrates( ヒポクラテス, BC460~377年、古代ギリシアの医者)は人間は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁からできていると述べ、血液が多い人は楽天的、粘液が多い人は鈍重、黒胆汁が多い人は憂鬱(メランコリーの語源は黒胆汁である)、黄胆汁が多い人は気むずかしい気質を持つとした。『メランコリアⅠ』は四体液説(四性説)における人間の4つの性格の一つ「憂鬱」をテーマにしたもので、天使が頬杖をついている。その顔つきは尋常ではなく、今にも発狂しそうな表情であり、頬杖のポーズは憂鬱気質をあらわし、天才の資質である。天才の挫折をあらわすとか、霊感を受けている場面であるとか、いろいろと解釈されているとても難解な絵ようである。そして、この図を眺める者は誰でもそれら象徴物の意味を問わずにはいられないだろうが、それは謎につつまれているかのようである。なお、メランコリアⅠの「Ⅰ」は憂鬱質の第一段階を示すものだと解釈されているらしい。
よく観ると絵の右上部に魔方陣ががある。魔方陣というのはn×nの升目に数を入れて縦・横・斜め、何れの和も一定になるようにしたもので、nが3なら三方陣、nが4なら四方陣、nが5なら五方陣と呼ぶ。用いる数はふつう1からnの二乗の自然数である。この「メランコリアⅠ」のま方陣では、
横の和 16+3+2+13=5+10+11+8=9+6+7+12=4+15+14+1=34
縦の和 16+5+9+4=3+10+6+15=2+11+7+14=13+8+12+1=34
斜めの和 16+10+7+1=13+11+6+4=34
そればかりでなく、四隅にある数の和、真ん中の4升にある数の和なども34になる。
16+13+1+4= 10+11+7+6=3+2+15+14=5+9+8+12=34
さらに、縦・横それぞれの真ん中の直線で4等分したそれぞれの枠の4数の和も34になる。
16+3+10+5=2+13+8+11=9+6+15+4=7+12+1+14=34
魔方陣はこうした神秘的な性質を持っているため、昔は占星術の対象になったこともある。
Heinrich Cornelius Agrippa (ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ)という人は、3次から9次までの魔方陣を作り、それを7つの惑星に結びつけていた。当時は月と太陽も惑星扱いだったが、それぞれ3次魔方陣を土星に、4次魔方陣を木星に、5次魔方陣を火星に、6次を太陽に、7次を金星に、8次を水星に、そして9次魔方陣を月に当てはめていたのである。
メランコリアⅠの魔方陣について赤地で表わした15、14がこの版画が作られた年をあらわしているという。尤も同じ年の5月にDürerの母親が亡くなっているので、それを記したのだいう説もある。そして、和が34であるのは、15+14+5(1514年5月)=34 のように仕組んだというだが、四方陣の1列の和は34に決まっているのでどうもこじつけ臭い。
四方陣に使われる1から16までの和は136で4列になっているのだ、136を4で割れば34ということになる。なお、1列の和は三方陣では15、五方陣では65、6方陣は111、7方陣は175であるが、一般にn
方陣の場合、等差数列の総和は (初項+末項)×項数÷2 で求まるから、
(1+n²)×n²÷2=n²(n²+1)/2 これを列数nで割って n(n²+1)/2 で求められる。
これを用いる、八方陣の1列の和は 8(8²+1)/2=4×65=260、
九方陣の1列の和は 9(9²+1)/2=9×41=369 と計算できる。
この記事にコメントする
プロフィール
ハンドルネーム:
目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
sechin@nethome.ne.jp です。
sechin@nethome.ne.jp です。
カレンダー
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 9 | 10 | 11 | |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
最新コメント
[爺の姪 01/13]
[レンマ学(メタ数学) 01/02]
[m.m 10/12]
[爺の姪 10/01]
[あは♡ 09/20]
[Mr.サタン 09/20]
[Mr.サタン 09/20]
[ままだいちゅき 09/20]
[ままだいちゅき 09/20]
[ままだいちゅき 09/20]
最新トラックバック
ブログ内検索
カウンター