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ウェブニュースより
衆院3補選 全敗の自民に「顔を洗って出直せ」…立民幹部、裏金解明や政治改革を要求 岸田政権のゆくえは ―― 衆院の3補欠選挙は28日投開票され、いずれも立憲民主党の候補が制した。派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る逆風にさらされる自民党は島根1区で議席を奪われ、東京15区、長崎3区では候補者を立てられずに不戦敗。実質的に3議席を失った形で、岸田政権は大きな打撃を受けた。
◆東京15区は酒井氏初当選、小池知事の求心力に陰り?
公選法違反事件を巡る柿沢未途氏=自民離党=の辞職を受けた東京15区では、立民新人の元江東区議酒井菜摘氏(37)が、無所属新人で前立民所属参院議員の須藤元気氏(46)、日本維新の会新人の元江崎グリコ社員金沢結衣氏(33)、諸派「日本保守党」新人の麗沢大客員教授飯山陽氏(48)らを大差で引き離して当選を決めた。小池百合子都知事の支援を受けた無所属新人の作家乙武洋匡氏(48)は5番手にとどまった。東京15区の投票率は40.70%で、過去最低だった2017年の55.59%を14.89ポイント下回った。
 
酒井氏は28日夜、当選確実の報道を受けて「利権やお金で動く政治ではなく、国民の声を受け止めて動く政治を掲げた。一定の理解を得た」と述べた。自民派閥の裏金事件が追い風となる中、共産党が自前候補を取り下げて支援に回った。
金沢氏陣営は、馬場伸幸代表や吉村洋文共同代表ら党幹部を相次いで投入。「政治とカネ」を巡り政権を攻撃する一方で立民批判も展開したが、有権者に浸透しきれなかった。
乙武氏は、小池知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」を母体とする「ファーストの会」の推薦を受けた。自民は相乗りする方針だったが、地元の反発もあって見送り、公明党も支援に踏み切れなかった。小池知事は、21日投開票の目黒区長選で支援する候補が敗れ、今回の選挙では乙武氏が大敗。求心力の陰りを指摘する声も上がりそうだ。
島根1区は自民の細田博之前衆院議長の死去、長崎3区は裏金事件を巡る谷川弥一氏=自民離党=の辞職を受けて実施された。
   ◇
◆がんや不妊治療乗り越え、区議時代は医療施策に尽力
立憲民主党新人の酒井菜摘さん(37)は「政治とカネ」を巡る政権批判の受け皿として幅広い層からの支持を集め、次点に大差をつけて初当選した。
 
当選確実の報を受けた午後8時過ぎ、喜びに沸く事務所であいさつに立った酒井さんは「市民と野党の共闘候補として、みなさまに支えていただいたことは一生、忘れられません」と共産、社民両党の支援を受けた選挙戦を振り返り「まっとうな政治を実現していきたい」と力を込めた。
酒井さんは看護師・助産師として地元の病院で勤務後、区議2期を務めた。がんや不妊治療を乗り越えてきた自らの経験を語り、がん患者支援や医療施策などさまざまな声を行政に届けてきたことなど、区議時代の実績を強調した。子どもを大切にする社会の実現や、ひとり親支援の充実、保育士配置基準の見直しなども掲げ、子育て世帯の共感を広げた。
立民は、泉健太代表、長妻昭都連会長ら党幹部が連日応援に駆けつけ、自民批判を繰り広げた。勝利を受け、長妻氏は事務所で「はっきりと自民の政治改革案、裏金の実態解明に落第点がついた。顔を洗って出直せということだ」と語った。(井上真典)
   ◇
◆裏金だけじゃない…「聞く力」なき自民体質への審判 政治部長・関口克己
衆院3補選で、自民党は不戦敗を含めて全敗を喫した。真相究明に後ろ向きな裏金事件が逆風となったのは間違いないが、敗因はそれだけだろうか。安全保障やくらしに直結する重要課題について、国民への説明を尽くさず、国会での熟議も避けて決めてしまう安倍政権から岸田政権へと続く自民党の体質を否定する審判だと思えてならない。
岸田文雄首相は先の訪米中、「日本は米国の最も近い同盟国」と言い切り、バイデン米大統領との会談では日米軍事協力の強化で合意した。専守防衛を掲げる日本が、米国の戦争に巻き込まれる危険性を高めかねない表明は、国民的議論を踏まえたものなのか。国賓待遇を受けた高揚感で世界に語るべき言葉ではない。
国民のくらしに目を向けても、同じように映る。
 少子化対策の財源として公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」。首相は「実質負担は生じない」と、国民の理解とはほど遠い説明を繰り返す。紙の保険証は12月に廃止し、マイナンバー保険証に一本化する。そこに高齢者や医療機関の不安に寄り添う姿勢を感じ取ることは難しい。
 物価高に苦しむ国民生活を立て直す気概を、私は首相からくみ取れない。「聞く力」を失った政権に対する国民の信頼は底が抜け、政治不信は頂点に達していることを示したのが、今回の選挙ではなかったか。
 補選が終わったばかりであることを承知の上で言いたい。首相はただちに衆院を解散し、国民に信を問うてほしい。それが「聞く力」がまだ残っていることを示す唯一の方法だから。    【東京新聞 2024429 0600分】
 
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1932/02/04
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